8月29日 なつやさい
「すごく綺麗な野菜ねぇ、今夜はこれにしようかしら」
おばあちゃんの荷物持ちで付き添い、帰り道の途中に八百屋を通りかかると夏野菜が並んでいた。
「すみません、トマトとナス、キュウリください」
はーい遠くから声が聞こえる。
「はいはい、トマト、ナス、キュウリね。500円ね」
おばあちゃんが用意している間に店主が素早くビニール袋に野菜を入れている。
「ありがとうございます!」
「こちらこそありがとうございます。美味しそうですね、またお願いします。」
「今日の晩御飯はなんじゃ」
帰ってきて早々に漱印が尋ねる。
「今日は夏野菜カレーにしようかしら、お手伝いしてくださる?」
仕方ないのうと手を洗いに行く漱印。
「喜雨もお願いできるかしら?」
二つ返事で自分も手を洗いに向かった。
「トマトは4等分にしてね、お肉はどうかしら」
俺たちを指示しながらサラダの準備をするおばあちゃんに感銘を受ける。
「トマト切り終えたかしら、それじゃあお肉のところに入れてちょうだい、ナスはもう切れてるからね」
いつの間に...
「あとはルーを入れて煮込めば完成よ、お願いね」
「水入れなくても良いのか?」
「お水はトマトの分で出るから大丈夫よ」
そう返すと納得したのか素直にルーを入れた。
「それではいただきましょう、いただきます」
いただきますと挨拶をすると直ぐにカレーに手が伸びた。
トマトの酸味にナスの食感、初めて夏野菜カレーを食べたけど、凄く美味しい...
隣をチラッと見ると半分くらい減っている、流石漱印だな。
「おかわり!」
はいはいとおばあちゃんが奥に向かった。
漱印のことを小馬鹿にしたけど俺もおかわりするかな




