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8月23日 にゅうどうぐも
セミが鳴いて静かとは言えないが、何時ぞやのアイツは夏休みの宿題が終わらないのか最近来ない。
うるさい奴が1人居ないだけでも穏やかな気持ちになるな...
「入道雲じゃ、今夜の天気は危ういのう...」
漱印くらいなら別にいいか...
「漱印くらいとは...失礼じゃぞ、お主」
「それは失礼...入道雲ってアレ?」
大きい雲を指差しながら尋ねる。
「うむ、あれが入道雲じゃ。夕方か夜か大雨が降るやもしれん...若葉ちゃんに言ってくるのう」
そう言って走っていった、元気だな...
「こんにちは」
「こんにちは、香取さん」
いつも通り、香取さんが参拝に来た。
「香取さん傘持っていますか、午後雨が降るらしいです」
一応漱印の言ったことが気にかかり、香取さんに訊いた。
「そうなんですか、こんなに天気良いのに...多分大丈夫ですよ」
笑みをこぼしながら答える香取さん。
すると途端に激しい雨が降り始めた。
思わず目を合わせると、どうしようと小声が聞こえた。
「傘持ってきます、待ってください」
裏から傘を取りに向かった。
雨が降るならもう少し後にしてくれたら良かったのに...




