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4月13日 おみくじ
「2点で1600円になります。」
代金を受け取り、2つのお守りの入った紙袋を渡す。
「学業祈願と健康祈願のお守りか」
前からあいつがやってきた。
「いつになったらわしの名前を言うかね」
そういえば心の中読めるのか...
「わしは漱印じゃ 、覚えておくれ」
悲しそうな顔で零した。
漱印か、変わった名前だな...
「神じゃからのう、まあ何時しか忘れ去られてしもうたが、昔は呼ばれておったよ」
遠い目をしながら、俺の考えを読むな。
「おみくじお願いします。」
「1回100円です。」
硬貨を受け取り、みくじ筒を渡した。
「みくじか」
いつの間に隣に...
「まあ神じゃからのう」
自慢げな顔に嫌気がさす。
小吉だったと声が聞こえる。そのままおみくじ掛けに結ぶ姿が見えた。
「小吉なら結ばず取っておけば良い物を...」
そうなのか...小さく呟くと
「結ばねばならぬみくじは凶くらいじゃよ、それ以外は大切に持って帰る方が良い。まあ後日結びに来る方がなお良しじゃがな」
おみくじ掛けにはまた1つおみくじが結ばれていた。
なぜだかもったいないと思った。