8月14日 そうめん
色つきのそうめんが涼し気に盛られている。
「今日はそうめんなのよ、おつゆ用意するまで待ってね」
漱印の顔には待ちきれないと書かれているようだ。
少しすると汁をお盆に載せておばあちゃんがきた。
「お待ちどうさま、お汁どうぞ」
オクラが入った汁を貰った。
「オクラ!夏じゃのう」
「そうめんも夏っぽいと思うけど...」
「それもそうじゃのう、いただきまーす!」
待ってましたと言わんばかりに食いついている。
思わずおじいちゃんと顔を見合せいただきますと挨拶する。
そうめんを汁につけて、オクラと共に頂いた。
冷たい汁にオクラの食感がアクセントになっていて美味しい。
「美味しいかしら」
ニコニコしながら感想を待つおばあちゃんに控えめに頷いた。
「美味しい!汁も冷たくて食から涼しくなるようじゃ...若葉ちゃんありがとう」
箸を止めずに感想を述べる漱印に呆れる。
「若葉、美味しいぞ」
おじいちゃんもお礼を言うのか...俺も言うべきか...
「お主、声に出さぬと伝わらぬぞ」
じっと見つめる漱印から目をそらす。
おばあちゃんもこちらに期待してるのかチラチラと見てくる。
「あ、ありがとう、おばあちゃん。美味しいよ」
小さく呟いてそうめんに集中し始めた。
なぜだかより冷たく感じた。




