7月18日 せみ
「最近、蝉の鳴き声が聞こえぬのう…」
そうか?朝うるさいと思うけど
「昔は一日中鳴いておったぞ。どうしたのかのう」
悶々と考える漱印を横目に境内を眺める。
暑いからか湯気が立っているように思えた。
暑いから蝉ももたないのでは…
「暑いのか?ふむ暑いからか…」
そういえば漱印は暑さを感じないのか…羨ましい。
じっと漱印を見ていると何やらニヤニヤしてくる。
「そんなに熱い視線を送ってきても何もやらぬぞ」
やはりと言うべきか、くだらない事を考えていた。
「こんにちは」
「香取さん、こんにちは」
麦わら帽子に白いワンピースを着た香取さんがいつものお参りに来ていた。
「漱印くんどうしたんですか?」
先程の仕返しにお茶を取りに言ったのだ。文句を言っていたが、お菓子をあげないと言うと意外と言うことを聞いた。現金なヤツめ…
「もう少しで来ると思いますよ。」
「そうですか…」
漱印がそばにいないと見えないんだな
「何がじゃ」
「急に来るなよ」
そう言うなと言いながらお茶を渡してきた。
「こんにちは、漱印くん」
「小夜ちゃん、こんにちは。そういえば蝉ってどう思うかの?」
「え、えーと夏だと思うかな…」
ほれ見ろと言わんばかりにこちらを向く漱印。
何も言えずじっと漱印を見つめた。




