6月12日 だがし
「懐かしいのう」
目を輝かせる漱印に呆れる。
壁に並んだ駄菓子を見回しながら、目当ての品を探す。
こうやって見ると結構あるんだな…
スーパーでも売ってるはずだが、この辺のスーパーは無いと豪語されお使いで来た駄菓子屋。
ようやくあった…
小さい頃におじいちゃんから貰ったラーメン味のお菓子を手に取ると
「しかし高くなったのう…前はもっと安かったような…」
そうか?50円くらいで安いと思っていたのだが漱印はそれでも高いという。
「前はそれ30円じゃ倍くらい上がっておる」
指をさしながら主張してくる。
これもあれもと言うけど最近のお菓子は100円を超えるものがあると言うのに…むしろ安いと思うけど…
じっと手にある駄菓子を眺めていると奥からおばあさんがやってきた。
「昔は安かったけど今はねぇ…子供のお小遣いで買えるギリギリなのよ…」
「そうですか…」
「良かったらラムネどうかしら、1本100円よ」
ラムネと瞬間移動してきた。しょうがない。
「じゃあ2本ください」
「ありがとうねぇ、じゃあ400円だね」
しれっと2袋持ってくる漱印をジト目で見る。
お釣りを受け取り店を出る。少し蒸し暑いな…
隣でポンと小さい音が聞こえた。




