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6月9日 えんにち
賑やかだな…
肘をつきながら縁日にきたお客さんを眺める。
夏祭りもあるのに6月の中くらいに縁日がある。
雨が降らなくて良かったのかもな
ばんやり空を見上げると、漱印が顔を覗かせていた。
急な顔面にひっと情けない声が漏れた。
「急になんだよ、ビックリするだろ」
「店番今日はないんじゃなかったかの、せっかくの縁日じゃ。楽しもうぞ」
あまり気乗りしない。そもそも人が多い場所が苦手だ…
「そうなのか…じゃあ小夜ちゃんと一緒はどうじゃ」
…余計ハードルが高くなった気がする。漱印じゃだめなのか
「わしは駄目じゃ、面白くない」
何故か断言される、そもそも香取さんが来るか怪しい…
「そろそろ来るはず…」
辺りをキョロキョロと見回す漱印…いるわけないだろ。
ふと自分も見回すと目を見開いた。
「見つけたようじゃの、ならば行ってこい」
押し出されて香取さんの目の前に躍り出た。
「こんばんは」
「こんばんは…」
若干引かれてる気がする…
「あの、一緒に縁日回りませんか?」
「え、あいいですよ。」
どこか小っ恥ずかしい気になる。漱印になにか買っていくかと意味がわからないことをずっと考え続けた。




