21/207
5月31日 なかなおり
「漱印、ドーナツあげるから出てきて」
ドーナツを乗せた皿を縁側に置いた。
水曜日は結局雨が降らなかった。火曜日の大雨が嘘のように地面も走れる状態で、中止になると思っていた生徒は体操服を持ってくるように家まで帰ったそうだ。
その次の日はまた大雨だった。隣のやつは喜んでいた。俺は嬉しい気持ちなのかホッとした気持ちなのか複雑な気持ちになった。
ここ数日を思い出していたら、ドーナツが宙に浮いていた。
「漱印だろ、この前はごめん。軽率な発言だった。ごめん」
口につくような謝罪しかできない自分に腹が立つ。漱印に返答はない…
「…この菓子はなんじゃ。穴が空いとるようじゃが…そういう物か」
「ドーナツっていうお菓子、食べたことないかなって思って…」
「とりあえず顔を上げよ、表情が分からぬ。」
漱印の顔悲しそうだな…
「そうか…そうか」
ドーナツを両手に包んで幼稚園児みたいだな。
「む、それは失礼じゃないか。せっかく許そうかな〜と思っておったと言うのに、まったく」
膨れっ面に安堵した。よかった…
ほれと半分に分けたドーナツを渡された。
渡されたドーナツがいつもよりも甘く感じた。




