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10月29日 わふく
「こんにちは。今日は和服なんですね」
「こんにちは、着替える時間が無かったので…」
「何かあったんですか?あ、すみません。聞いていいならですけど」
「大丈夫ですよ、祖父の要望です。祖母を休ませたいからと」
おばあちゃんがあまり体調が良くないから、お気に入りのここで晩ご飯を調達することになった。
「そうだったんですね…良ければみかん持って帰りますか。少し多めにみかん貰ったので…オマケでどうですか?漱印君も食べると思いますし」
「ありがとうございます、ありがたく貰いますね」
「あ、あまり引き止めない方がいいですかね、寒くないですか?」
「大丈夫ですけど、寒そうに見えますか」
「和服って浴衣のイメージが強くて夏なら分かるんですけど…」
「1枚羽織ってますし、これ浴衣じゃないですよもう少し生地が厚めですね」
それでずっとそわそわしてたのか
「そうなんですね…そういえばご注文お決まりですか」
「じゃあこの煮物とおからの副菜をお願いします」
本来の目的を忘れるところだった
お互いに気まずくなったのかそのまま目線が合わなかった。




