5月25日 そうだん
「大丈夫ですか。」
そんな言葉が聞こえ、顔を上げる。
「大丈夫です。」
小夜さんが何か言いたそうな顔をしているけれど、分からない。
…
なにか聞こえた気がするが気のせいだ。
「あの、何かありましたか。」
小夜さん大きな声出せるのか…そんなことを考えていたからか、反応が遅れた。
「あ、すみません。大丈夫です。」
「大丈夫じゃなさそうだから尋ねてます。何かありましたよね。」
小夜さん睨むと怖いな…
「大したことじゃないですよ。」
「そうですか、じゃあ話してください。」
え…
「大したことじゃないなら、別に話してもいいねすよね。話してください」
語気を強めて詰め寄る小夜さんにたじろぎながら、抽象的に漱印の話をした。もちろん神様の話は無しで。
「そうですか、あの子と喧嘩したんですね。なら、謝って仲直りすればいいじゃないですか。」
「簡単に言いますね…出来ることをしてくれと頼んだだけです。謝らなくてもいいはず…」
「でも、したくないことを強制したのも事実ですよ、謝りましょう。」
こちらをじっと見つめてくる…俺が悪いのか…
「悪いですよ」
なぜ分かるんだ、俺は分からないのに。
「顔に書いてます、自分は悪くないって」
…漱印帰ってきてくれ、俺が悪かったから、空を仰ぎながら思った。




