186/207
9月29日 まねきねこ
ころんとした形の招き猫が受付に置かれている。
「これどうしたの」
「わかばちゃんが気に入ったみたいで受付のお供にと、愛らしいのう」
「これってどっちの手が上がっているの?」
「左手じゃな、人を招く方じゃ」
「じゃあ右手がお金なのか」
お金じゃなくて人を招く方に惹かれるところがおばあちゃんらしいな
少しつついて倒そうとしてみたが、起こり上がりこぶしみたいな構造をしてたからか倒せなかった。
「お主その招き猫が可哀想じゃぞ」
「ごめんてちょっと出来心で…少し意地悪したくなっちゃった」
「あまり悪さはしない方が良いぞ、わしが言うのだからの」
たしかに漱印は何か変な力持ってる感じがするからな
慌てて招き猫を撫でるといつもの参拝客じゃない人が来ていた。
面白半分でもう1回撫でてみるとまた違う人が来た。
まさかな
漱印の方を見るとニヤリと笑っていた。
今度から招き猫にかつお節か煮干しでも置いとこうかな
恐る恐る母屋に向かうと後ろからニャァと猫の鳴き声が聞こえた気がした。




