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8月30日 はいきんぐ
「やはり山はいいのう、綺麗じゃ」
「もう少し秋になってからの方が綺麗じゃない?」
チッチッチと言いながら指を振る漱印。
なんだよ、そのお子ちゃまですね〜みたいな反応
「確かに赤や黄色に色付いた山も風情があって良いものじゃ…じゃが、緑を堪能できるのが僅かだと思わぬか」
言われたらそう思うけど
何だか言いくるめられている感じが否めない。
「両方素敵ですね、私は自然に囲まれるハイキングが癒されて好きですよ。おじいさんはどうですか。」
「俺は遠出ってだけでも楽しいぞ、それに家族で行くってなるとより楽しいな」
おばあちゃんとおじいちゃんは違うんだな
前に登った山よりも緩やかで会話する余裕があるのか、夕食後の団欒みたいに話を弾ませながら展望台にたどり着いた。
神社もそこそこ高い位置にあるけど、それよりも高い位置だからか眺めがいつもより綺麗に感じる。
「風が気持ちいのう、若葉ちゃんお弁当はなんじゃ?」
漱印は眺めよりも食べ物の方が大事だよな
少し呆れながらもお弁当を楽しみな気持ちは隠せなかった。




