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8月27日 おきにいり
「久しぶりじゃの〜」
「ここ図書館だからあんまり大きい声出さないでね」
「はーい、わし本を見てくるぞ」
そう言って歴史書の方に行くのを見送った。
「これ返却です、お願いします」
本を返却して振り返ると宮沢賢治を紹介するポップが目についた。
宮沢賢治好きなんだよな
山猫に騙されて主人公たちが食材になる話や、カニの親子にクラムボン、セロに集まる動物たち、どこか不思議な雰囲気の作品で読むと惹き込まれるんだよな
そう懐かしみながら『 雨ニモマケズ』をペラペラと捲っていると背中をつんつんとされた。
「ん?漱印かどうしたの、借りたい本があるとか」
「いや大丈夫じゃ、それよりもお主は何か借りるのかの。それとか」
「いやこの作品はネットで読めるから大丈夫。でも紙の本の方が風情というか気持ち的には読みたくなるな…」
もうすぐ始業式だし学校で借りるか 、何を借りようか、久しぶりに『 銀河鉄道の夜』にしようか
宮沢賢治の作品でどれを借りようかと考えながら帰路に着いた。




