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8月12日 ちらし
朝ごはんができるのを待っているとチラシが目についた。
手を取って広げると、スーパーの目玉商品がポップに紹介されている。
なんとなく見ちゃうんだよな
お菓子や炭酸飲料だけでなく調味料、カップ麺まである。
「どうした、何か欲しいものでもあるか」
「え、そういう訳じゃないけどね。こういうチラシって見たくならない?」
「まああると読みたくなるな、何かいいのあるか」
「これがいいってのはないけど漱印だったらお菓子とかに食いつきそうだなと」
「なるほどな、みりん安くなってるな…あとで確認してから頼んでもいいか?多めに渡すからそれで菓子を恵んでくれ」
「いいの?漱印甘やかしすぎてる気がするけど」
「まあ頭が上がらないな、喜雨はどうだ」
ちらっとおじいちゃんの方を見ると優しい目で見ていた。
「子供みたいって思ってるかな、神様だって言ってるけどそう見えないし…感性は人って感じじゃない気はするけど」
「まあそう思うよな、でもなあ居たら楽しいぞ。最近まではいなかったからな、寂しくさせたのかもな」
その言葉がやけに重たげで少し空気が湿っぽく感じた。




