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4月29日 びんじゅーす
久しぶりに駄菓子屋に来ると霧島がいた。
「きうに漱印、ここ来たことあったのか」
「霧島久しいの」
漱印と霧島がハイタッチしている横をすり抜けて店内を見ていると見慣れない飲み物が置いてある。
「これペットボトルに入ってるやつだよな」
「きうー何か面白い物見つけたのか」
「霧島はこれ見た事ありますか」
「んー違うやつなら見たことあるけどこれ瓶に入ってるやつもあるのか」
「どうしたのじゃ」
「漱印は見たことある?」
「懐かしいの…珍しいものなのか」
霧島も驚いた表情をしている。
「ふむ時代が変わったからと思っておったが、あるのじゃな」
「いつの話だよ」
「雨水が子供の頃の話だからざっと50年ほど前じゃな」
「それ昭和ってことだろ、幸子さん瓶開けるやつある?」
「あるよ、買うかい」
「3本お願い」
まいどと言って慣れた手つきでフタを開けている。
「俺飲むって言ってないんだけど、ほら120円」
「いいって今日小遣い貰ったから、それより飲もうぜ」
そう言って強引に渡して瓶をカチンと鳴らした。




