131/206
4月23日 しじみ
「今日のお味噌汁貝入りじゃの」
お味噌汁にほっこりしているとしみじみと漱印が呟いている。
昼はポカポカするけど夜は薄いカーディガンを羽織ってるくらいには肌寒い。
「あさり美味しいの、若葉ちゃんまた今度もしてくれぬか」
貝の殻をちまちまと剥きながらそう言ってきた。
「これアサリじゃなくてシジミじゃないの」
「む?アサリじゃろ。シジミってハマグリの小さいやつじゃ」
「いや違うと思うけど、そもそもその3つ違うやつだし」
「そんなことない若葉ちゃん、これアサリじゃろ」
「おばあちゃんこれってシジミだよね」
「2人ともご飯中に喧嘩はダメですよ、確かにこれは喜雨が言う通りシジミですよ、貝殻黒っぽいでしょう」
悔しそうな顔をしている漱印をしたり顔で見ていると、おじいちゃんが笑った。
「何だか兄弟喧嘩みたいだな。シジミもアサリも酒蒸しにすると絶品だぞ、今度ばあちゃんに作ってもらおうな」
「それは雨水がツマミとして食べて残りの日本酒を飲みたいだけじゃろ」
さっきまで言い争ってたのにその言葉に激しく同意した。




