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2月13日 ふくらすずめ
「何してるの」
普段は境内をぐるぐる回るか、受付で座っているのに今日は屈んでいる漱印。
「何もしてないぞ、こっちには何も無いぞ」
怪しいな
漱印の言葉を無視して近づくとチュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえる。
漱印の足元を見ると雀が4羽もいた。
「…何してるの」
「うむ…その雀たちが地面をつついてる姿が可愛らしくての、何かやりたいと思ったのじゃ」
「前に言ってたこと覚えてないの、野生動物には餌付けしたらダメだって」
「分かっておるが…だってこんなに可愛いのじゃぞ」
「そんな顔してもダメなものはダメだろ」
目を潤ませて訴えてくるけど、狸の件で懲りたと思ったのに
「雀太るくらい餌付けしすぎたんじゃないの、雀ってそんなに膨らんでなかったはず」
「これは冬の雀じゃ、ふくら雀って呼ばれる縁起の良いものじゃ、縁起が良いものにお礼を渡しても良いじゃろ」
俺がダメだと言っても餌付けしそうだな
話が終わらないと諦めて受付に戻ろうとすると、漱印がわしの勝ちじゃとニコニコしながら米粒を再び撒き始めた。




