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なにかが少しずつ変わりはじめる  作者: ゴルゴンゾーラ
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強引な会社の先輩が俺の家に泊まることになった

「泊めて欲しい」


と言い出した会社の先輩。




「えぇえ!ウチですか!?」


突然のことで戸惑う。




「だって俺のアパートには、ちさとが待ち伏せしているし」


「仮に待ち伏せしていなくても、夜中に来てドアをノックされたら隣近所の迷惑になるし」


「また自殺するって騒がれたら部屋に入れるしかなくなるし」




クマさんは次々と、ウチに泊まりたい理由をまくし立てた。




「う~ん、確かにそうですねぇ」




困った。できれば会社の人間はウチに泊めたくなかった。


それには、ある理由があった。


会社の人間に知られたくない理由が。




「1週間くらいで良いからさっ。着替えなんかは、外回りのときスキを見てアパートから取ってくるし」




クマさんには会社で世話になった過去があった。


俺が入社したてで右も左も分からないときに、指導してくれたのは、クマさんだった。


ノルマの数字が足りないときは、「今回だけな」とこっそり情報をくれ、なんとか乗り切ったことも数回あったっけ。




「困りましたね」




クマさんの頼みごとは大抵二つ返事の俺が、黙っているのをみて不審に思ったらしい。


「まずいのか。青山、一人暮らしって言ってたよな」


「はぁ。まぁ一人暮らしですけど」


「そうか。彼女がくるのか」


「今付き合ってる人は特にいないんですよね」




そこまで言ってハッとした。


アホか!


「彼女が来る」とか「実は家族と住んでいる」


とか嘘をついて、断ればよかったのに。




「じゃあ問題ないな。明日早いなら、そろそろ行くか」


クマさんは、伝票をつかむとカウンターの椅子からサッと立ち上がった。




強引なクマさんの流れにまんまと乗せられている。


はっきり断れない自分に腹が立つ。




どうすればいいのか、アタマを高速で回転させたが、なにも浮かばなかった。

会社の人間を家に泊めたことで、のちのち面倒なことがたくさん起きた。

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