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その80 悪魔の証明書

「悪魔の……証明……――?」


 ……って。

 どっかで聞いたことがあるんだけど。

 なんだっけ?


 いつだったか、ツイッターで流れてきた情報の中に……そういうワードが、あったような……なかったような……。


 うーん。わからぬ……。

 あんまり興味ない情報って、どーしてもこう、頭の中を通り抜けていっちゃうんだよねえ。


 さっと目を通したその内容は、こんな感じだった。



『キャラ設定集』

・イイダ ホズミ

 身長198センチ、体重107キロ。一応、まだ童貞(笑)

 年齢は??歳(気持ちは20代前半)

 実家から追放されたが、魔女との契約により超常のスキルを習得する。

 世界の真理を見抜く知性と、”守護騎士”の力を持つ。普段は優しいが、一度キレると手がつけられないタイプ。

 哀しい過去を持ち、愚かな両親との間に確執がある。

 産まれて初めて出会った、守るべき存在、――モモたちを溺愛し、父子に似た関係性を築くが……?


・モモ

 身長143センチ、体重29キロ。処女。

 少し垂れ目な、サイドテールの女の子。

 誰にでも分け隔てなく接する、優しい性格。5人の中では、もっともおっとりした雰囲気だが、芯の強い一面を持つ。

 家事全般をそつなくこなし、料理の腕はプロレベル。

 一応、正妻ポジ。……けど、その立場に甘んじていると、他のヒロインに負けちゃうかも……?


・レモン

 身長135センチ、体重24キロ。処女。

 つり目が特徴的な、我が家のトラブルメーカー。5人の中では、もっとも小柄。

 典型的なツンデレ気質。恋愛に関しては奥手で、ホズミとの関係はつかず離れず、といったところ。ちょっとしたワガママを言って家族を困らせることがあるが、ホズミの言うことには絶対服従。ぶっちゃけ、ホズミに一番説教される機会が多い(笑)

 少し神経質なところがあるためか、洗濯が得意。立場を利用して、こっそりパパのパンツの臭いを嗅ぐ一面も(笑) 娘同士で、パンツの取り合いになったりして(爆)


・いちご

 身長146センチ、体重32キロ。処女。

 ”俺”という一人称が特徴的な、少し少年じみた雰囲気の女の子。しっかり者で、大人びた性格。とはいえ女の子らしく、寂しがり屋な側面も。

 5人の中ではもっとも力が強く、特にタイ古式マッサージの腕前は天才的。ホズミの腰痛が悪くなったときは、いつも揉んであげている。その際、思わぬラッキースケベが発生することも(苦笑)。

 家事の担当は、力仕事全般。


・アオイ

 身長140センチ、体重28キロ。処女。

 姫カットの青髪ロングの娘。

 そんじょそこらのチャイドルよりもよっぽど可愛らしい5人の中でも、トップクラスの美貌の持ち主。ホズミのことを最初に「父」と呼ぶことになる少女(予定)。

 冷静沈着で、感情をあまり表に出すことはないが、ホズミに対して秘めたる想いを持つ。彼女がそのことを言い出せないのは、他の4人に遠慮しているため。

 もし、他の誰かとホズミとくっつくなら、自分は愛人でも構わない……くらいに思っているタイプ(笑)。

 家事の担当は、会計全般。いまは、生活用品の管理などを行っている。


・ミドリ

 身長144センチ、体重21キロ。処女。

 ひょろっとした体格の、ミドリ髪の少女。負けヒロイン枠(爆)。


 ~~~~~~続きは書きかけ~~~~~~~

 ミドリは、みんながやらなない雑用とかをやる係にする予定。



「?????」


 あたしは、しばしその内容に目を通して、首を傾げる。


――なんだろ、これ?


 っていう以外の感想はなかった。


 たぶんこれ、『空想ノート』的なやつだよね。

 「こうなったらいいな」っていう、未来の想像図を書き込むやつ。


 あたしも、授業の暇な時間に、ノートの隅っこに書いたことがあるからわかる。


――あたしが主人公の物語は、どんな感じだろう。


 ってさ。


 わあ。

 ホズミさんったら、可愛いところあるじゃーん。


 ……なーんて、のんきに構えていられるほど、あたしも鈍くなかった。

 いまどき、何が起こったっておかしくない。

 どんな些細な異常でも、見逃すわけにはいかないんだ。


 あたしが気になったのは、


・”悪魔の証明書”とはなにか。

・なぜホズミさんは、”悪魔の証明書”にこんなことを書いたのか。


 ってこと。

 それと、もう一つ。


 ここに書かれている女の子たちの”キャラクター設定”とモモちゃんたちの姿が、完全に符号している、ということ。


「……………………ふーむ」


 と、考え込んでいる間にふと、モモちゃんが顔を上げた。


「おじょーさん、どうかした?」

「いや、なにも? ……モモちゃんこそ、しばらくフリーズしてたけど、――……だいじょうぶ?」

「え? 私、固まってた?」

「うん」

「うわうわ、はずかしーな。……ときどき私、そーなることあるんだ」

「……ふーん。そうなんだ。いつから?」

「この家に、来た時からかな」

「モモちゃんは、いつこの家にきたの?」

「――? 私はずっと、この家の子供よ?」

「えっ。そうなの?」


 前、「五日前」って言ってなかったっけ?

 疑問を口にする前に、


「私、ホズミくんとここで、ずーっと一緒に暮らしてるの。ずーっとずーっと」


 モモちゃんまるで、台本のセリフを読み上げるかのように、続けた。


「私たち、ホズミくんが大好きなんだ」


 聞いて、ないけど。


 なんだか、背筋がぞわぞわしている。

 いやぁな予感がしてるのは、気のせいかしら。


「だからじぶんと、おまえのことは面倒をみきれないここでどんな目に遭ってもけっして飯田さんに文句を言ってはいけないって言ったあいつらとは、なんにもかんけいがない」

「そ……そっかあ」

「そう。そいつは、恩知らずな家族に棄てられたけれど、私にはいま、新しい家族がいるもの」


 あはははははははは。


 空虚な笑い声が、だだっ広いホズミさんの私室に響き渡る。


 モモちゃんの表情は、さっき出会った時から、何にも変わらない。

 笑顔という名の、無感情な何かを浮かべたままだ。


 すでにあたしのポケットには、”悪魔の証明書”が突っ込んである。


 もはや、疑惑は確信に変わっていた。

 ぜったいこれには、何かある。


 とにかくこれを、仲間のもとに届けないと。


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