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別の転移魔法陣と、白いフワフワ

 【カトレアSIDE】


 ここが森だった事も幸いし花の中偉聖霊ユグちゃんの力、森の地形を操作して目的地までの道のりを直進できるとうい特異能力にも助けられ、必死に走った私達はリリーちゃんの少し前まで到着した。



「……ねえ、リカステ? リリーちゃん眠っているけれど、抱きついているあの白いフワフワ何だと思う?」



 ここ、Dクラス冒険者パーティーでも狩れる狩り場よね? 

 なんで、この森にあの白いフワフワが存在するの? 

 私、もしかしたら氷獄に来ているのかな? 

 知らない間に、全員で転移魔法陣に入っちゃった? 

 と言うか、縄張りに私達いて大丈夫なの? 

 あの白いフワフワ見ていたら、氷獄の悪魔ドッペルゲンガーなんて小物にしか見えないわ。

 私、夢でも見ているのかな? ええ、絶対そうよ。



「おい、カトレア? 現実を見ろよ? あの白いフワフワ、馬鹿でかい牙と角が生えているよな? いや、待て……俺が、可笑しいのか? この森に、存在するわけが無い。きっと、眼の錯覚だ。間違いない、夢だ。さっき倒した、氷獄の悪魔ドッペルゲンガーも夢だったんだ」



 私に加えて、リカステも信じられないようで混乱していた。

 無理も無いと思う。

 だって、信じられない光景が少し離れた所から見えるのだもの。



「お二人とも、お気を確かにして下さい。ディーネ、貴方も脅えてカトレア様に抱きつかない事」

「ユグちゃん先輩、脅えるなと言われましてもディーネには無理です」



 大精霊様が脅えるほどの、白いフワフワ。私達も脅えて当然だわ。



「はぁー、ディーネ貴方もまだまだです」



 ユグちゃんは気丈に振る舞おうとしているけれど、私にもユグちゃんがそうしている事が分かる程の白いフワフワ。



「ユグちゃん、スミレも気づいたのだけれど……あの白いフワフワ、リリーちゃん危ないよね?」



 スミレちゃんは、リリーちゃんの事の方が心配で仕方がないようね。

 冷静な判断が、つかないようだわ。

 Aランク冒険者の私やリカステすらも、戦意を喪失するほどの白いフワフワですもの。



「いえ、恐らく危なくは無いかと……ですが、あの方の心情をお読みすることはスノー様同様不可能です。ここに向かう過程で、既に気配を感じておりましたのでカフェバー&レストランに飾られている花の微精霊を使い、スノー様をお呼び致しておりますので今暫くお待ちください」

「えへへー、愛らしいフワフワモフモフばい」



 暢気に寝言を言っているけれど、って、えっ? イヤー! ダメよ、リリーちゃん? 

 いくらフワフワモフモフしているからって顔、顔! 押しつけないでー。

 食べられちゃう。食べられちゃう。



「ユグちゃん、リリーちゃん寝言を言って顔を押しつけたわ。ねえ、どうしよう? 食べられないかしら?」

「カトレア様、あのお方は幼い子に優しいと聞き及んでおります。ですので危険は無いかと……」



 ユグちゃんも、自身無くなってきたのかな? 

 一瞬前に出ようとしたけれど、思い止まったわ。



「ひぃー……ユグちゃん、今一瞬あの白いフワフワがお目々を開かれたわ」

「カトレア様、どうやらスノー様がお見えになったようです」



 ユグちゃんが、ホッとした顔になった? スノーちゃん、一体何者? 

 どこからともなく、スノーちゃんが現れたけれど……やっぱりこれは夢? 

 でもでも、スノーちゃんが気にせずあの白いフワフワに近づいていってるわ。



「ユグちゃん、大丈夫? スノーちゃんが、あの白いフワフワに近づいているわよ?」

「心配ご無用です」

「……あの白いフワフワが、スノーちゃんに謝りだしたわ。ユグちゃん、どうなっているの?」

「ユグは、この件に関しては何も言えません」

「ディーネも言えません」

「二人して、秘密にしないでよ?」

「カトレア、あのケモミミっ子、食べられないよな? 俺も、流石にあの白いフワフワ相手に助けに行けねえぞ。っていうか、足が震えて腰が抜けてここから動けんし……」

「私もよ……と言うか、リカステ五月蠅いから静かにしなさい。あの白いフワフワに見つかったらどうするのよ? 私達皆食べられちゃうわよ?」

「あははは、スミレも流石にあの白いフワフワは相手には出来ないかな-? この武器で倒せる自信ないし。でも、リリーちゃんの武器ならギリギリ? どうだろう?」

「スミレちゃん、武器に手をかけて怖い事言わないで。それに、それ以上近づいたらダメよ? あの白いフワフワに、見つかっちゃうから」

「うん……」

「スミレ様、警戒しないでください。あの方の心情は読み取れませんが、スノー様にあのお方が謝っているところを見ると、危害を加えるつもりは無いようですので……ユグが何か有った時は責任を持って対処致しますので、武器をお納めください」

「うん……あっ! スノーちゃんがリリーちゃんをいつものように起こしてる」

「ぶっぷぅ! 何て起こし方してるの、スノーちゃんは? あれじゃ、リリーちゃんが驚いちゃうわ。リカステ、あっち向いてなさい」

「へい、へい」

「でも、私達は様子を見る他はないわね」

「ああ、そうだな」

「……でも、何か有った時はスミレが出ます」

「おいおい、嬢ちゃん勘弁してくれ」



 ユグちゃん、心情読めるでしょ? だから、スミレちゃんを見ててね。



『今日はユグ、大変な役回りみたいです。後でリリー様に、撫で撫でしてもらわないと気が済みません』



 と、ユグちゃんが呟いていた。



『ディーネも……』

『ディーネは、何もしていないからユグだけです』

『ユグちゃん先輩だけ、狡いです』



 私は二人の召喚ちゃん達を宥め、リリーちゃん達の様子を窺った。



        ※ ◇ ※



 【スノーSIDE】


「この気配は……リリー様、お喜びしそうですぅにゃん」

「はー……何であの白いフワフワが、こんな所に来ていますの? 住処はもっと北の方じゃなかったですの?」

「葵様も感じられたのですかぅにゃん?」

「ええ、何となくですの。でもあの白いフワフワ、変な物まで連れてきたようですわ」

「リリー様が、向かっていったようですぅにゃん」

「はー……リリー様に迷惑かける何て、あの白いフワフワ少しお仕置きが必要ですの」

「……スノーが言い聞かせますぅにゃん」

「はー、仕方がありませんの。スノー様、ユグちゃんの眷属が、先ほどから慌てるように貴女を呼んでおりますわよ? ここは、葵とシルク様とアイビー様がいれば問題はありませんの。それにこの気配から察して、あの白いフワフワがまた増えますわよ? 貴女も葵のように、リリー様をお慕いされているのでしたら恋敵が増えられるとお困りにならないのですか?」

「スノーは、リリー様がお喜びされる方が嬉しいのですぅにゃん」

「あらあら、更にユグちゃんの眷属が慌てていますわよ?」

「……葵様、ここをはお任せ致しますぅにゃん」

「ええ、勿論ですの」

「では、葵様行って参りますぅにゃん」



 それにしても、スノーの元本体であったサラ様の守護神白銀虎と力を二大する守護神黄金龍の眷属がなぜこのような場所に来たのでしょうぅにゃん? 

 スノーの分隊が消滅させられた事に、関係があるのでしょうかぅにゃん? 

 未だに、スノーの分隊を送り続けても詳細が掴めていない所をみると分隊形成を大幅に増やして調査をする必要があるようですぅにゃん。

 リリー様にお伝えするにしても、調査が儘ならない状態ではご報告もできませんぅにゃん。

 いえ……そんなことより、今はリリー様の元にぅにゃん。



「特殊能力 眷属固有 テレポート 発動ぅにゃん」



 スノーの特殊能力の一つでリリー様がいらっしゃる近くへ参りましたが、熟睡していらっしゃるようですぅにゃん? 

 しかし、なぜ白龍は転移魔法陣から頭だけ出してリリー様と気持ちよさそうに狸寝入りしているのでしょうぅにゃん? 

 スノーが、気がつかないとでも思ったのでしょうかぅにゃん? 

 少しだけ白龍に、圧をかけて起こしてみましょうかぅにゃん? 



「白龍、起きなさいぅにゃん」

「はひぃ……白銀虎様? も、申し訳ありません、このようなお姿で」

「いいえ、リリー様が幸せそうですのでかまいませんぅにゃん。それに、スノーはスノーですぅにゃん」

「一体、どういう事でしょうか?」



 白龍は理解が乏しいのでしょうかぅにゃん? 

 黄金龍もそうでしたが、竜種は力が全てだと思っている者が多いようですぅにゃん。

 ですが、この子は確か少し伝えれば他の個体より理解が早かった筈ですぅにゃん。



「白銀虎はスノーの元本体でしたが、リリー様が第三級中位管理者になった事で、スノーは新たな別個体となりましたぅにゃん」

「別個体……理解致しました、スノー様」



 スノーの魔力量を感じ取り、白銀虎とは別個体で有ることを認識したよすですぅにゃん。

 やはり、長女だけあって弟の黒龍とは違うようですぅにゃん。

 ですが、おっちょこちょいな所は相変わらず有るようですぅにゃん。



「それより白龍、どうして転移結界陣に頭だけ出しているのですぅにゃん?」

「それが、上空を飛んでいる時に氷陰が転移結界陣から逃げるように出てきた所を見かけて強襲した所、近くにいた氷眼のサイクロプスと取り巻きを巻き込み、このような状態に。転移結界陣を破壊しようと考えたのですが、近くにある妖精の結界をも破壊する恐れがあったので困っていました。そうしたところ、私のお父様がお仕えになっているサラ様にお姿が似ていらっしゃる幼子が、私に恐れもせず抱きついて来ましてこのような状態に。魂はサラ様とは違いますが、私のお慕いしている方そっくりの殿方の薫りがしまして、癒やされる思いに浸ってついウトウトと……」



 やはり、白龍もリリー様の魂の本質に気づいているようですねぅにゃん。



「分かりましたぅにゃん。リリー様を起こし致しますぅにゃん」



 うつ伏せになっているリリー様を、仰向けにして丁寧にスノーの肉球で……スノーは幼虎体に変化してませんが、直ぐに目覚められるのでこの方法が一番ですぅにゃん。



 ぷにぷにぷに



「ひゃん!」

「リリー様、よく眠られていたようですねぅにゃん」

「スノー、起こしてくれたのね。ありがと」

「スノー様、その起こし方はちょっと……」



 白龍が、頬を染めているぅにゃん? どうしたのでしょうかぅにゃん? 



「白龍、どうしましたぅにゃん? リリー様は、この方法が一番早くお目覚めになるのですぅにゃん」



 スノーの発言に、白龍の驚愕した顔を不思議に思うスノーであった。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「ねえ、リリー? このフワフワしている物は?」

リリー「ああー、これね。フワフワ繋がりで、綿飴作ってみたの。食べてみる?」

シルク「うん……あれ? リリー、食べる前に消えて無くなったわよ?」

リリー「あれ? おかしいな? シルク、もう一度作るね」

シルク「あれ? また、無くなったわよ? リリー、甘いのに食べる前に無くなるのよ」

リリー「それは、シルクが食べたからでしょ?」

シルク「私は、少し舐めただけよ?」

リリー「だから、それが食べたって言うのよ」

    シルクの食べるという意味が分からなくなったリリーであった。

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