チート校舎と寮? 誕生? 1
こうしてリリーは、アイビーに光り魔法による浄化を行いウンディーネも召喚して水でも洗浄をおこなった。
序でに、フォレストムーン王国の危機を無意識のうちに未然に防いだのであった。
アイビーがびしょ濡れ狼になっていたので、肌の潤い水分を残し魔法でアイビーの表面上の水滴だけを取り去り乾かしてあげた。
毎朝お風呂に入っているうちに憶えた魔法であるが、実はドライヤーで乾かした方がアイビーの毛がフワフワになるのだ。
恐らく、マイナスイオンなど何らかの特殊なものが働いてフワフワになるのだろう。
まあ、アイビーは女性用のヘアケア製品を沢山使用しているので、これ位の事ではパサつきもしないだろうけれどね。
あれ? そう言えば天狐八尾狐のロリ服セット(多彩色)に付いてくるケモミミ尻尾の毛が元のフワフワな毛に戻ってる。まあ、いいや。
「ワン、クウーン、ワオーン?」
『リリー様、これで僕清潔になりました?』
「うん。もう大丈夫よ」
シルクが、アイビーの元に来てもう付いていないか確認している。
「口の毛に付いていたのね……アイビー、口開けてみて」
「アァー」
「口の中も無し、お腹の毛にも無し、尻尾にも付いてない。もう、アイビー大丈夫よ」
どうやら、シルクの確認も済んだようだ。
「ふぅー、これでアイビーが綺麗になったわ。ウンディーネちゃん、ありがと」
「リリー様、召喚して頂きありがとうございます」
あれ? 温泉で初めて会った時のウンディーネの表情と変わった?
切迫した空気が感じられないし、凄く穏やかな表情になっている。
ウンディーネも、こうしていると凄く可愛い美少女だ。
ユグドラシルから
『「それは、是非ウンディーネに伝えてあげて下さい」』
と『心情』が伝わってきた。
「ウンディーネちゃん、会った時より見違えるように凄ーく可愛くなったね」
俺がそう伝えると、ウンディーネの水色の頬と耳が真っ赤に染まり恥じるように口を開く。
「アワ、アワ、アワ……はにゃー!」
プシュー!
まるで、大量の湯気が立ち上る鍋のように頭の上から湯気が出ていた。
大精霊といっても、今は恥じらい方がアニメに出てくる美少女のそれである。
「リ、リリーしゃま、ありがとうごじゃいましゅ」
そう言って、ウンディーネは言葉を噛みながら湖に戻っていった。
「ユグちゃん、ウンディーネちゃんが……」
「リリー様、ウンディーネの緊張が変な風に解れたようです……ユグが、後で言っておきます」
ユグドラシルは相手が大精霊であっても、その者の薫りから様々な心情を捉える事ができるらしい。
ウンディーネの緊張が解れたことは良いことだが、変な風に解かれたって……ユグドラシルが、ウンディーネの為に心情で無言を貫いている。
ユグドラシルは、本当に召喚仲間思いの良い子だ。
……今俺が思った事で、一瞬ユグドラシルの心が揺らぎかけたけれど耐えたようだ。
「う、うん。でも、叱らないであげてね」
「はい」
これ以上ユグドラシルの心情を読み取ろうとすると可愛そうなので、今度はアイビーにもう一度何も付いていないかを俺自身で確認をする。
本当は抱き上げて確認したいのだが、何か付いていたら嫌なので左右に横移動して首を傾げる。
「うん、もう何も付いていないわ。アイビー、シルクと違うんだから今度から変な物銜えないでね」
「……」
俺の言葉に、アイビーが答えようとしたが何も言わなかった。
しかし、シルクが噛みつく。
「私も、あんな汚らわしい物銜えないわよ! っていうか、黒い悪魔を倒していた時にアイビーが黒い悪魔を噛みついたんでしょ」
シルクの言動に、アイビーが
「ワン、ワン、クウーン? ワン、クウーン、ワンワフ? ワンワン、ワオーン」
『シルクと違って、僕あんなばっちいもの噛まないよ? あれは最後、黒い悪魔を倒そうとした時にシルクが失敗して黒い悪魔の死骸に突っ込んだからだよ? だって、黒い悪魔の死骸にシルクが埋まっていたのを助けたのは僕なんだもん』
と、真実を伝えたアイビーの言動に
「私を? ……」
シルクは何も言えなくなった。
俺が気を失っている間に、シルクはアイビーに助けられたのだ。
つまり、シルクは意中の相手に助けられたと言うわけだ。
種族も大きさも違うけれど、幼馴染みの二人は凄くお似合いだと思う。
白馬の王子様が、危険にさらされている王女様を救う。
やはり、夢物語なのだろう。現実はコードネームGに埋もれているシルクを銜えて助けるアイビー……。
それってもしかして、シルクにもコードネームGの残骸が付いている可能性が……俺は直ぐ様シルクにもブレスド ピュリフィケイション セレモニーを行った。
「ちょっと、リリー? なんで、私だけまた浄化魔法をかけたのよ」
先ほどの超広範囲浄化魔法で既に消えているはずなのだが、やはり気になったのだ。
「良い話だったのだけれど、なんとなく、まだシルクに残骸が付いているようで背筋が凍ったの……」
「はぁー、もういいわ。リリー、着替えるからこれ洗っておいて」
シルクはアイビーの後ろでコソコソ着替えると、俺に今着ていたドレスを渡してきた。
やっぱり、シルクも気になったんだ……。
そう言えば、寮も序でに建て替えようと思って調べたら黒い悪魔がいたんだった。
近辺マップ表示画面を開けて、確認するとその存在は寮から消えていた。
俺とシルクとアイビーで話していると、王達も魔物の軍勢の調査が終わったようだ。
「リリーちゃん、四方の歩哨達と周辺偵察騎馬騎士達から報告が上がってきたぞ。葵ちゃんの言うとおり、全ての魔物の軍勢は消失したようだ。今回も、リリーちゃん達に助けられたな。この国の王として、心から感謝する」
「いえ……」
俺は、それしか言えなかった。
だって、アイビーを綺麗にしたくて浄化魔法を無意識に発動したのに――自身が知らぬうちに元凶であったアンデットエンペラーとドラゴンゾンビ、それにアンデットの軍勢九百万体を倒していたなんて言えるわけがないんだもん。
アイテムボックスに、よく分からない沢山の骨とか武器とか素材とか魔石とか、宝石の付いた王冠とか杖とか入っているし、倒したアンデットの計数測定が八百八十八万八千八十二体になっているし……。
ユグドラシルが
『「リリー様、怪我の功名ということわざもありますし」』
と『心情』が伝わってきた。
「リリー様、そろそろZクラスを……」
俺が勘考していると、宰相が声をかけてきた。
そう言えば、カトレア先生達を待たせてそのままだった。
そろそろ、痺れを切らして来るかもしれない。
「うっ、うん。宰相さんごめんね、脱線して。あっ! そうだ。どうせなら、寮も建て直しても良いかな?」
「あっ、はい。リリー様が宜しければ、こちらとしては助かります」
「じゃー、宰相さん? 一端、この寮をアイテムボックスに収納して移動させますね」
「……はあ?」
宰相には俺の言っている意味が理解できないようだ。
まあ確かに、この地に支柱を立てて埋まっている建物をアイテムボックスに入れるなんて、実際に見てみないと分からないよね。
「皆さん、下がってくださいね」
俺が騎士達に伝えるが、王族を守護しているので下がろうとしてくれない。
「皆の者、下がれ。これは、王命である。リリーちゃんに、従いなさい」
「「「「「はっ!」」」」」
俺のアイテムボックスの事を、巨大ゴーレムやホテルの件で理解している王が俺の言葉を皆に伝えてくれたようだ。
俺は寮をアイテムボックスに収納して、大広場の端に再建築した。
たったそれだけで、騎士達が戦いていた。
寮を端に寄せると、大広場はかなり広いことが分かった。
ここの冒険者学校は、貴族が大半を占めている。
身なりの乏しい者が見当たらないのは、その理由からだろう。
冒険者ギルドの紹介状を貰った者は、俺を含めなければ数名らしい。
つまり、お金を稼ぐ為に冒険者になったにも拘わらず学校に通うと、学費や食費それに宿は賄えるが装備を揃えるための貯蓄が困難となり、卒業後D~Cランクの資格を得るが装備が整えられないせいで、難易度の高いCランク以上の依頼を受けることが困難となる。というわけか……。
確かにゲームであっても、資金が無い状態で竹槍を持って高ランクの依頼を遂行しようとは思わない。
高ランク依頼の失敗は、死に直結する事が多いからだ。
よって、通常は依頼をこなしお金を稼ぎ、日々の食費や宿代を削り装備のお金を貯め、自信と実績それに見合う装備を整えてランクアップに挑む。という事なのだろう。
冒険者にとって良い待遇の学校なのに、そこが勿体ないよな。
何か仕事と両立できる環境にしてあげれば、冒険者ギルドからの紹介者達も増えるかもしれない。
それは追々考えるとして、今はこの国の貴族や他国の貴族が多い冒険者学校の校舎と寮である。
貴族や皇族の令息や令嬢達でさえ、通っても問題ないイメージにした方が良いだろう。
それに、国王自らの来校での新校舎だ。決して粗末な建物は、否だ。
俺の元いた世界――幼少から通っていた有名私立小学校、私立中学校、私立高等学校、俺の妹が通う現在のお嬢様学校などアニメにあった貴族達の通う学校――様々なイメージをしてみる。
美しい花々が咲き誇る庭園――美しい彫刻が施され、清浄機能が付いた噴水。
大理石で敷き詰められた校庭への道や階段、学生達だけでなく職員達も笑顔で何不自由なく暮らせる施設。
それに、貴族の令息や令嬢達さえ何不自由なく暮らせる清潔な寮。
黒い悪魔はもう懲り懲りなので、黒い悪は立ち入り禁止。これは、絶対。
そして、可愛いモフモフ達といつでも触れあえる庭園や教室……おっと、これは俺の妄想だった。でも、よかよかー。無問題。それに――
俺が更なる妄想を思い描き勘考した瞬間、
「ひゃん! スノー、急に触れられると吃驚するわよ?」
スノーが、いつものように俺を現実世界に引き戻した。
「リリー様ぅにゃん」
スノーの可愛い仕草は、悪意が無いと物語っている。
葵は表情が豊かなので、直ぐに悪巧みが顔に出るんだよね。
どうやらスノーは、俺と話をしたいようだ。
潤んだ可愛い双眸で、俺を見つめてくる。
もしかして、そんな表情でいつも給仕のお手伝いをしていないよね?
そんな表情していたら、男の子が勘違いしちゃうよ?
十五歳の姿で給仕のお手伝いをするようになったが、俺も至る所から視線を感じるようになったんだよね。
特に、三人組の視線が痛い。
五歳の容姿の頃は、また違った視線だったのだけれどね……。
「ひゃん!」
はうわー、また勘考していたらスノーに現実世界に引き戻された。
「ごめんね、スノー」
俺は、スノーに『個人眷属テレパシー』を使用する。
『「スノー、もしかして私の思い描きすぎた件?」』
『「――――。――――ぅにゃん」』
『「うん、やっぱりね。分かったわ」』
俺は、密かに思い描いた想像に修正を加えスキルを口にする。
「【【神級建築創造】】」
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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冒険者学校の登校日、朝早くの出来事1
シルク「あれ? この子達、確か冒険者学校の入学試験で見たような……」
エレモフィラ「すみません、そこの美しい妖精のお嬢さん」
シルク「はい、はーい」
エレモフィラ「バレリアン、次は君の番だ」
バレリアン「えっ? 僕が言うの? エレモフィラ君が言ってよ」
ルビナス「俺様が言ってやろう」
エレモフィラ&バレリアン「まかせた」
ルビナス「妖精のお嬢さん、伺いたい事があるのだがよいか?」
シルク「いいけれど、そろそろ忙しくなるから早くしてね」
ルビナス「ああ、すまない。前に見かけたのだが、今日は青いメイド服を
纏った麗しき少女はいらっしゃらないのか?」
シルク「青いメイド服? 少女? あっ……悪いこと言わないから、貴方達
止めておきなさい」
ルビナス「確かに……。俺様は王族であるが、俺様の感が俺様よりもっと高貴
な方だと告げている。しかし、高嶺の花だとしても男なら美少女に
愛を告げねばならんのだ」
シルク「はー……仕方がないわね。待っていなさい」
続く……




