ラグジュアリーVIPルームで……
王妃と王女達と会話を楽しんでいると、ホテルの前に着いた。と同時にアイビーから『従者テレパシー』が入った。
『「リリー様、ライムさんだけ見つかりません。どう致しましょうか?」』
『「あっ……。うん、今見つけたよ。アイビー、ありがと」』
俺がライムお姉さんを見つけると
「あら、リリーちゃんお帰りなさ……い。王妃様、王女様方、お越し頂きあり……」
王妃がライムお姉さんの改まった言葉を遮るように伝えた。
「改まらなくて良いわ。ごめんなさいね。リリーちゃんに無理言って来たの。王族であっても、リリーちゃんの秘密を知っている仲だから気にしなくて良いわよ」
「ライムお姉さん、連絡も無しにごめんね。王妃様と王女様達にもお越し頂いたので、今日は六階のラグジュアリーVIPルームとエグゼクティブラウンジを貸し切るね」
「は、は、は、はい! リリーちゃんに、おま、おま、お任せするわね……」
本当は予想だと、王子や王女が久しぶりに帰還されたので、募る話も有るしお菓子の件も有るので今日はお城で泊まると思っていた。
しかし、王妃とパープルちゃんがこのホテルを甚く気に入ったようで第二王女まで引き連れて来てしまったのだ。
しかも、ライムお姉さんだけ連絡がつかずに不意に王族と三名と対面させてしまった。
なので、王妃達のことは任せてと伝えてから六階までの専用エレベーターを使い王妃達と共にラグジュアリーVIPルームにやって来た訳だが……ライムお姉さん固まっていたけれど大丈夫かな? 少し、心配だ。
メイド達と護衛騎士数十名は、六階に近い五階の部屋を開放し交代で仮眠を取って王妃様の護衛と御世話をしてもらう事にした。
王妃達を案内すると第二王女が王国を一望できる窓から外を眺めた。
「すっ、凄いわ! 城以上の豪奢な部屋だわ。部屋は凄く広いし、景色も絶景ね」
夕方にやって来たので、辺りは既に暗く多くの家の窓から漏れる光でいっぱいだった。
「どう? ここなら城で療養するより、何倍もいいでしょ?」
「ええ、お母様」
「お、御姉様? ご機嫌は、治りましたか?」
パープルちゃん、まだ気にしていたんだ。
第二王女の表情、初め会った時に比べて随分穏やかになっているのに……よっぽど怖かったのかな?
「勿論よ! お母様とパープルが、リリーちゃんと仲良しで本当に嬉しいわ」
そうだ、折角だし王妃様にはお酒もご用意しよう。
「メイド長さんエグゼクティブラウンジに、その奥の扉から行けるので、王妃様が飲酒される場合はそちらでどうぞ」
「リリーちゃん、そのお部屋は何ですか?」
王妃様が質問してきたので、王妃様とメイド長をエグゼクティブラウンジに案内した。
「ここは、お酒を嗜むレディーやジェントルマンの方々専用のVIPなお部屋です」
メイド長が辺りを見渡し、
「これは……リリー様? 城にも、ここまで素晴らしいパーティー会場はございませんよ? ですが、ここまで豪奢で贅沢な会場が紳士淑女のお酒を嗜む専用のお部屋だなんて……」
「リリーちゃん、何もかもが豪奢ね。お酒の好きな、王やアプリコットもここまで素晴らしい会場なら何も言えなくなるわよ」
王妃とメイド長が眼を輝かせて、エグゼクティブラウンジを見ていた。
お部屋と、食事だけでは物足りないかな?
「あっ、そうだ! ラグジュアリーVIPルーム専用の、大きなお風呂も有りますよ」
「えっ? 私入りたいわ。御姉様、リリーちゃんと一緒に入りませんか?」
パープル王女の声音がしたので、後ろを振り返ると第二王女と一緒についてきてたようだ。
俺はスノー達に、帰って来るよう眷属・従者テレパシーをおこなった。
「スノー、葵、お帰り。シルクとアイビーは?」
「リリー様も、お帰りなさい。うにゃん」
幼虎のスノーの可愛いさに、王女達がスノーを引っ張って行った。
どうやら王女二人は、猫派なようだ。スノーは幼虎だけれどね。
王女二人がスノーの真似をするように「にゃん、にゃん」言っている。
スノーの語尾は「うにゃん」なんだけどね。
「リリー様、お帰りなさいませ。スノーさまは王女様達の元に行かれましたので私がお伝えしますの。シルク様とアイビー様は表で固まっていたライム様を運搬中ですの」
「えっ? ……ライムお姉さんあの後まだ固まったままだったの?」
「そのようですの。ですが、元に戻られた様ですのでシルク様とアイビー様はもうすぐ到着されると思いますの」
「葵、教えてくれてありがと」
暫くすると、シルクとアイビーが帰ってきた。
「シルク、アイビー、お疲れ様。アイビー、ライムお姉さんをよく運べたわね」
「ワン、ワン、ワオーン」
『僕は重力を操れますので、シルクと二人なら人でも運べるのです』
「そうだったんだ。アイビー、シルク、ありがとね」
「アイビーがいくら重力を操れても、ライムさんはあれが大きすぎて本当に運びにくかったわよ?」
……シルク、ライムお姉さんのどこを持って運んだんだろう? 本当に、謎だ……。
ユグちゃんも「そうですね」と言っていた。
俺は、王女と遊んでいるスノーに戻ってきてもらい、葵と一緒に人型に変化してもらうと、王妃と王女達だけでなくメイド達までもが【まあ、可愛いわ】と言って騒ぎ出した。
「パープル? 私、リリーちゃんに会えたことを神様に感謝するわ」
「お姉様、リリーちゃんは女神様ですよ」
「うふ、そうだったわね。優しくて可愛い女神様、貴女と出会えた事を心から貴女に感謝致します」
「お姉様、私も同じですよ」
「「クス、クス。クス、クス」」
二人の王女は互いに笑顔を向け合い、メイド達によって服を脱がせてもらっていた。
どうやら完全に仲直りしたようで、なによりだ。
ここのお風呂は、ラグジュアリーVIPルームに合わせてかなり大きいのだけど、温泉が無いんだよね……俺がそう勘考していると、ユグドラシルが姿を現した。
「リリー様、寛ぎの効果が有る花の薫りを振る舞いましょうか?」
「ユグちゃんお願いできるかな?」
「はい、喜んで」
そう言って、仄かに花の良い薫りが漂いだした。
「リリーちゃん、良い薫りね。この薫りはユグちゃんね」
俺がアイビーを洗っていると、王妃が側に来た。
ユグドラシルが俺の左側で姿を現すと、裸でカーテシーを王妃に行い
「王妃様、喜んで頂いて何よりです」
と言った。すると、王妃も裸でカーテシーを行い
「ユグちゃん、ありがとう」
と言った。
ユグドラシルは見た目が小さくて可愛いから良いが、王妃は俺より背がかなり高いので少しはあれを隠して欲しい。
王族なので、恥じらいも何も無く堂々としているがライムお姉さんよりは少し小ぶりであるがあれがポヨンポヨンと揺れて目を合わせづらいのだ。
「リリー様、ごめんなさい。ユグが余計なカーテシーを行ったばっかりに……」
とユグドラシルの心情が感じられた。
なので、「ごめんね、ユグちゃんは悪くないからね」と心情で応えた。
俺がアイビーを洗い終えると、シルクも身体を洗い終えてアイビーと一緒に大きなお風呂の浅瀬に浸かりに行ったようだ。
俺が身体を洗っていると、メイド達に身体を洗ってもらった王女達が眼前に来た。
二人してしゃがみ込み、
「「リリーちゃん、肌が綺麗ねー」」
と言って、ペタペタ触ってくるのは止めて欲しい。
第二王女のあれは、王妃に似て育っているのでまたも眼を合わしづらい。
パープルちゃんも、順調に育っているようでこちらも眼を合わしづらい。
と言いますか、俺は二人の王女にあちらこちらと触られたりあれを押しつけられたりと、なかなか身体を洗うことができなかった。
ようやく洗い終えたのは、シルクとアイビーが上がった頃だった。
「リリー様、お疲れ様です」
「ユグちゃん、ちょっと疲れたよ。精神的に……」
「リリー様、ゆっくりとお浸かりください」
「ユグちゃんありがと」
俺はそう言って、いつものように奥の湯船の端に手を置いて外を眺めていた。
そう言えば、確か十五歳まで容姿を変更出来るようになっていたんだ。
今はシルクも上がったし、王妃と王女二人もメイド達と共に今から上がるようだ。
誰もいないなら、少しくらい大きくなっても平気だよね?
「勿論、ユグちゃんは一緒にいても良いからね」
「はい、リリー様」
「ユグちゃん? 誰もいなくなった今、少し確認してみたいの。年齢を変更してみても良いかな?」
「どうぞ、リリー様」
「ありがと」
ユグドラシルに確認できたので、俺は恐る恐る年齢をマウスで上げていき十五歳に容姿を変えた。
年齢を変えると、今までは足がつかなかったお風呂に足がついた。
俺は変身ポーズをとって、最後にピースの間から瞳を覗かせて
「キラッ! 美少女リリー、中学生バージョンよ」
と言った。そして徐にちっぱいではなくなったあれに手を持っていき
「お椀の様な形をしている、DよりのCかな? でも、私の手で全ては覆えないわね?」
そう言って自身のあれを確かめた。
「……貴女、誰?」
「えっ?」
俺が声のする方を振り返ると、そこにはシルクがいた。
「ユグちゃん、どうして教えてくれなかったの?」
と心情で言うと、
「リリー様、ごめんなさい。見惚れていました」
と心情でユグドラシルが応えた。
シルクにどう言い訳しよう? と勘考していると
「どこから入ってきたのか知らないけれど、こんな所にいたら貴女どうなるか分からないわよ?」
と言って俺が逃げれる所を探しているようだ。
「えっ? シルク?」
俺は思わずシルクの名前を言うと、首を傾げた後
「貴女、私の名前なぜ知っているの? ああ、食事処でよく話をしているから知ったのね」
と言った。
シルクの目線を確認すると、俺の顔ではなくどうやらあれを見つめているようだ。
シルクさん? そこ顔じゃ無いから……現実逃避しないで。
「シルク? 私の顔を見て?」
「あれ? なんでユグちゃんがそこにいるの?」
「シルク様、私では無くリリー様を見て下さい」
「だから、リリーが見当たらないのよ……」
これは埒が明かないと思い、俺は年齢を元の五歳に戻した。
「キラッ! リリーちゃん見参」
俺がそう言ってシルクの前で小さくなると
「リリー貴女どこに行っていたのよ? あれれ? さっきの子は?」
と言っていた。
どうやら、俺の十五歳の容姿はシルクには刺激がありすぎて現実逃避するようだ。主に、俺のあれの大きさで……。
注意しておきますが、俺のあれと言ってもこの身体のあれだからね!
ユグドラシルから「リリー様、余計にややこしいです」と心情で言われたけれど、大事なので、もう一度この身体のあれだからね!
「シルク、迎えに来てくれたのね」
「うん」
俺は、ちっぱい仲間であるシルクの心が落ち着かないお風呂では十五歳の容姿になるのを封印することを心に決めた。
だって、シルクってお風呂ではあれしか見てない気がするし……
お風呂で苦悩する、リリーとユグドラシルであった。
その後、数日する度に王様男性組と王妃様女性組が交互に来泊してくるようになった。
王や王妃の執務は、どうなっているのだろう? と、勘考しているとパープルちゃんが教えてくれた……宰相が必死になって王や王妃の執務をこなしているらしい。
今度、宰相に何か差し入れをしてあげよう。
そうして、数日が過ぎ去り冒険者学校の当日がやって来た。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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シルク「私は誰? ここはどこ?」
リリー「シルク? ねえ? シルク?」
シルク「はっ! 私、嫌な夢見たの」
リリー「大丈夫?」
シルク「本当に、怖かったわ。だって、私だけ小さいのよ!」
リリー「――――。――――」
何も言えないリリーは、ただ黙るしかなかった。
シルクだけが、ちっぱいであることを……
シルク「私のパンケーキだけが、皆より小さいのよ」
リリー「そっち、かーい!」
久しぶりに、突っ込みたくなったリリーであった。




