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リリーvs巨大ゴーレム5

 これなら――

 これも俺が手にすると、錆が消え去り、まるで鉄ではない代物へと激変し猛々しくも激甚な佇まいが感じらた。

 通常長槍は、柄となる部分は耐久性があり、しなやかな木製が多い。

 しかし、この長槍は全て鉄で出来ており、短剣とは違いかなり重み……いや、違うな。

 重みでは無く、重圧と言い換えた方が良いだろう。


 長槍を覆う、神々しいまでの魔力が短剣より格段に上だ。

 しかし、こんなにも扱いにくい長槍、誰が使っていたのだろう? 

 恐らく、強靱な肉体をもつ歴戦の勇士であろう。

 全てが鉄であるが故に、折れても溶かし何度も鍛え上げることでこの長槍ができあがったというわけだ。


 しかし、不思議と手に馴染む。まるで、木の棒(コエダちやん)のように……。

 今まで、木の棒(コエダちやん)が最高の友だったが……この子も、お気に入りになりそうだ。

 握るその手だけはでなく、俺の全身にまでその漲る力が伝わってくる。

 ……そうか、この姫ロリ服セット(薄紫色)と相性がよく、この武器の真の力を発揮できるというわけか。

 ならば、



「貴方の真の力を見せなさい」



 ――長槍が、俺の言葉に応えるように煌々と輝きだした。


 

「貫け! 神槍グングニール!」


 

 ――――。――――。――――。――――。――――。――――。……



 無音の中に、光りだけが音を奏でるように――その神々しいまでの魔力を帯びた鉄の長槍は巨大ゴーレムの左胸部のコアに突き進む。

 投げる刹那、【マウスLV1】を使用し、巨大なゴーレムの背部に瞬間移動。

 ジャンプして途中で上下を反転させ上空に賢者の魔法で足場を作り、逆さ向きで巨大ゴーレムに背を向けた状態でそこに踏ん張る。

 刹那、巨大ゴーレムの左胸部を突き進んできた槍は俺が腕を上げるとまるで運命に従ったかのように右手に戻り



「花楓院流・役枝・使の型」



 刹那、俺は身体(カラダ)を横に回転させるように捻り、その槍を再び巨大ゴーレムの背後から右胸部の澱みの魔石に技名と共に切り返す――

 次の瞬間、



 ギュォォォォォォ、ドギュルルゥゥゥゥゥゥ! 



 まるで、音を立てるのを忘れていたかの様に俺が元いた場所で音が唸りをあげる。



「【【神槍・雷光・燕返し!】】」



 シュッ。――――。――――。――――。――――。――――。――――。……



 投げた瞬間、再び音が消え去る。

 刹那、俺は上空で上下を元に戻すように回転し、元の場所へ再び【マウスLV1】を使用し瞬間移動。

 次の瞬間、



 ジュドォキュルル、ジュドォォォォォォ! 



 俺が巨大ゴーレムの背後にいた場所で音が唸りをあげる。

 そして、俺は戻って来た槍を左手で掴み巨大ゴーレムに背を向けた状態でアイテムボックスに収納した。

 俺の投げた鉄の長槍は、巨大なゴーレムの分厚い左胸部を貫通してコアを破壊――更に右胸部の澱みの微粒子魔石を同時破壊に成功したようだ。

 澱みの微粒子魔石は、黒い霧となって消えていった。


 また消え去る瞬間「……ハ、ゴク……ブ……」音なのか声なのか不明な何か? 

 そんな何かが、地響きの音と砂埃にかき消された。

 コアと澱みの微粒子魔石を破壊された巨大ゴーレムは倒れ、衝撃で辺りを地響きと共に揺らし光となって俺のアイテムボックスに収納された。

 それと同時に、奇妙な闇の霧を纏う門が三つとも崩れるように消えていった。

 俺は後ろを振り向き、短剣を投げて出来た天井の穴から差し込む太陽を指差す。



「この地に太陽が有る限り」



 セリフを言いつつ、ポーズを取る。

 更に賢者魔法で、無駄にど派手な色とりどりの煙幕と爆音の演出を行う。



「リリーが太陽に代わって、成敗しちゃうぞ!」



 そのセリフと共にレベルアップのファンファーレが鳴り響く。



【♪♪、♪~♪♪、♪♪、♪♪♪♪~♪】



【システム 下位管理者案件を解決しました】

【ピピッ! 限界突破スキルにより中位管理者案件に進化しました】

【システム 中位管理者案件を解決しました】

【魂が新たに進化しました】

【おめでとうございます】

【管理者LV4にup致しました】

【第3級中位管理者になりました】

【第3級中位管理者権限取得により能力の一部が解放されました】

【全ての職がグレードアップしました】



 また、管理者LVが上がってしまった。

 職まで、グレードアップしたらしい。と言うか、今の職業でも十分チート職なんだが……。

 それに、今スノーに管理者レベルが上がった事を報告すると、また妖精村での事のように驚きそうだしな……。

 落ち着いた場所である宿屋に帰ったときにでも、報告するか。



「みんなー、お疲れさまー! 魔物が復活するという時間制限があると、気疲れで結構大変ね。でも、どうにか巨大ゴーレムを討伐できたわ」

「リリー様、お疲れ様です。うにゃん」

「ワン、クウーン」

『リリー様、お疲れ様でした』


「リリー? さっきの天井を指さしての物言いと、ど派手な爆発の演出は私凄く突っ込みたいけれど……そんな事より、さっきの武器は一体何?」

「え? あっ! シルク、絶対に秘密よ。冒険者ギルドで、ちょっと借りてた中古の短剣と長槍よ。でも、短剣はどこかに行っちゃった。テヘッ」

「リリー、さっき叫んでいたじゃない? 神剣レーヴァティン! 神槍グングニールってぇぇぇぇぇぇ!」



 シルクの怒声のような叫びに、一瞬驚かされたが……



「えへへっ、ちょっとした勢いで言っちゃったの。なので、気にしないでね。それに、勢いは戦う時には大切なのよ」



 俺は苦笑いをシルクに向けたが、シルクが納得しない様な顔をする。



「大体ね、いつもリリーは……モゴモゴ」



 何か言いかけたので、シルクの口にクッキーを突っ込んだ。

 すると、一瞬で食べてしまい【もう、仕方ないわね】と言って、催促するように手を出した。

 仕方がないのでクッキーを出すと、リスの様に沢山のクッキーを口に頬張っていた。

 普通の魔物を倒すより、手間がかかるシルク……もしかして妖精王は俺にシルクを躾けてほかったのか? ……いや、俺の考えすぎだろう。


 そんな事より――俺はこの部屋に魔物等の反応が無いかワールドマップ検索で確認した。

 幸い、この異質な巨部屋における魔物の反応やこれ以上の変化は無いようだ。

 それに今し方、元々大洞窟にいた魔物が復活しだした。

 本当に、ギリギリの戦いだったようだ。

 もし一瞬でも判断を誤り、時間が経過していたら恐らくこの大洞窟の崩壊は免れなかっただろう。


 あのゴーレムが、何を目的にし、あの地下五階にどうやって行ったかも不明である。

 恐らく――大洞窟は冒険者がよく行く狩り場であり、死亡した魔物を吸収するのが容易だったのだろうな。それで力を蓄え……しかし、真の目的が分からない。

 何か、この地にあるのだろうか? 

 妖精の村を蹂躙していたキメラの目的も、不明だった。


 いや、澱みの魔石が生命体なのか、その目的自体も一切不明なのである。

 しかし……今はそんなことよりも、キノットさん達の宿屋に戻って温泉でゆっくりしたいと願うリリーであった。

 帰りは借りていた長槍を片手に、スノーに乗って地上に戻る事にした。

 俺が再び五歳の容姿に戻り、スノーに乗ろうとするとスノーが何か言いかけていた。



「スノー、どうかしたの?」

「うにゃん」



 何でもないと首を振っていたので、恐らく重要な事ではないのだろう。

 俺はスノーに乗って、シルクを胸元にイン。

 シルクの様子を窺っていると、首元から覗いていたのでアイビーを自身のスカートの中にジャストインするのを諦めた。

 魔物は、チートを使用し馬に乗って槍を使用して無双するゲームの武将の如く、俺は槍を振り回し魔物を倒していく。スノーは俺達を乗せ、地上に向けて爆走する。


 防壁を上手く使いこなすことで、洞窟の壁に影響が出ないようにしているのだ。

 つまり、スノーのかなり早い爆走で地上まで出られるというわけだ。

 スノーの爆走とスノーの爆走に合わせて俺が槍を振り回しつつ魔物の変化を確認する。

 勿論、地下五階に行く道は賢者の魔法で埋めて封鎖してきた。

 しかし、数分後にはその地下に行く道や巨大な異質の鉱石で出来ていた地下はこの世界から姿を消していた。

 空洞ができると思っていたが、懸念していた空洞もできなかった。


 恐らく、現況であった巨大ゴーレムを倒した事で、大巣窟本来のシステムが働き通常状態に戻ったのであろう。

 若しくは、土の精霊が大洞窟に働きかけて元の大洞窟になったのかもしれない。

 そして、スノーの爆走のお陰で消え去った地下五階に向かう道の消滅にも巻き込まれずに済んだ。

 まあ、土の微精霊ちゃんが地下五階から地下四階に出るときに、お礼をするかのように皆で頭を下げていたので消滅には巻き込まれないだろうと予想はつくけれどね。

 それ故に、俺は気分が良かった。



「天上天下唯我独尊! かーらーのー、モフモフー」

「リリー、何を叫んでるのよ。しかも、スノー様とアイビーに抱きつきながら……」

「だって、あのゴーレムを倒して一息つこうと思っても……えいえいっと、オークのお肉十五体分ゲットー!」

「当たり前でしょ」

「ゴブリンやオークが遊びに来るんだもん」

「だってここ、大洞窟だもの。リリー、そっちにもいるわよ」

「はーい。シルク店長ゴブリン、二十体分追加注文承りましたー」

「リリー? 店長って何よ?」

「あははは。のり、で言ちゃったの」

「のりって言われても……ああ、そう言えば寝言で言っていたわね。リリー、今度はオークが三十体前方にいるわよ」

「はい、はーい。シルク店長、団体さん三十名お越しになりました」

「リリー、私の事をいちいち店長って言うの止めなさい」



 シルクと会話しながらも、俺はスノーの爆走で大洞窟の出口を目指した。

 現在、倒しながら出口に向かっているが、(ウシ)ろでリポップしている魔物は、以前の魔物のようだ。これで、一安心と言えよう。

 アイビーは何故か疲れているようで、俺の膝の上でスヤスヤと寝息を立てて眠っている。

 下は、スノーの毛並みが頗る気持ちが良い背中で、膝の上はアイビーの暖かいフサフカクッション。俺は、気分も絶好調である。


 長槍は本当に至便だ。スノーに騎乗したまま、魔物を簡単に倒せる。

 スノーの爆走のお陰で、昨日地下四階まで降りた時間の1割程度の時間で地上に戻って来た俺は、ワールドマップで再度大洞窟のリポップを確認する。

 どうやら、間違いなく正常な状態に戻っているようだ。

 俺達が地上に出ると、ちょうどお昼位だったので、お昼を食べてからフォレストムーン王国に戻る事にした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「大洞窟、元に戻って良かったわね」

リリー「うん。あそこは冒険者達に欠かせない狩り場だから本当に元に戻って良

    かった」

シルク「確かにねー。王国から遠いけれど、一番稼げる狩り場だから……もしか

    して、暇していたからリリーの後をついてきてたのかしら?」

リリー「どうなのかな? シルク、後ろ見て。私が振り向くと隠れちゃうの……」

シルク「うん。……リリー、増えているわよ。しかも、獣人の子供達が増えてい

    るし」

    獣人の子供達の様子を見て、耳と尻尾が少し気になったリリーであった。

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