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南西の大洞窟調査4

「私に、分かるわけがないでしょ。それに、リリーまた職業変更したでしょ? その職業の説明見てみたら?」

「シルク、ありがとう」



 俺はそう言って、自身の職業を【マウスLV1】を使用して確認することにした。

 取得した職業を剣聖から順にクリックしていく――あっ! これか……精霊召喚。

 詳細を見ると――精霊が見えるようになり、その精霊が認めた者、又は打ち勝った者に対して従属や(エニシ)(キズナ)刎頸(フンケイ)の交わり等により召喚する事ができるようになる。


 召喚者の能力により召喚獣も能力を向上させ、縁、絆、刎頸の交わり等が強くなればなる程更なる進化を遂げる。進化することで、召喚同調合体……

 まだ説明は続いたが、見えるようになった職やそのスキルがある程度分かれば、今はそれだけでいい。

 だって、まだ大洞窟の先は長い。

 愚図愚図していたら、明日になってしまう。


 詳細情報


                   職業 賢者

                     ←  →⇖

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 【賢者スキル】

   ・全スキルコンプリート

   ・魔力還元

   ・精霊召喚

      ⇖【詳細】

        精霊が見えるようになり、その精霊が認めた者、又は……

   ・魔法鑑定


 

「シルク、分かったわ、賢者のスキルの中に精霊が見えるスキルがあるみたい」

「じゃあ、リリーも精霊を顕現できるようになったのね」

「見えるようにはなったのだけど、条件が有るみたいなの」

「条件って?」

「……絆だから」

「ねえ、リリー。私、最近悟ったのだけれど、貴女がそういう仕草と意味深な言葉を使っている場合って、アニメとかいうもののセリフを使っているんでしょ?」

「ふぇぇぇぇぇぇー。 なしてー? シルク、そげんことしっとうと?」



 シルクに内冑を見透かされた事に、驚きを隠せないリリーであった。



 ぽっぷん! 



 俺の頭の中で、眼鏡をかけた女神サラの女教師バージョンが出てきた。



「私の説明が必要なようね」



 今度は俺の頭の中で、子供の頃の俺が出てきた。



「先生おねがいしまーす」

「今日は【なして】と【そげんこと】と【しっとうと】について教えるわよ」

「はーい」



 子供の俺が席に座ると、女教師バージョンの女神サラが説明する。



「【なして】とは、簡単に言うと【なぜ】という意味よ。そして【そげんこと】とは【そんなこと】という意味。最後に【しっとうと】とは【知っているの?】という意味なの。つまり【なぜ? シルク、そんなこと知っているの!?】と言う意味なの。分かったかなー?」

「あーい」

「説明は以上よ。また少し難しいと思われる方言が出たら説明するわね」

「はぁーい。先生ありがとーございまーす」



 妄想説明劇場が終了し、現実に戻る。


 俺は念のために、パッシブスキルから威力向上の叡知無比(エイチムヒ)をパッシブから外した。

 威力を調整できるとはいえ、今のは最低限に魔力を抑えた筈なのだ……なのに、あの威力。

 気の緩みで、もし魔力を抑えきる事ができなければ――いや、叡知無比を外せば恐らく。



「あはは、魔法の威力が少し強かったみたいね。シルク、今度から手加減するからポカポカ叩かないで……」

「リリー、貴女の魔法異常すぎよ! 何なの? あの威力と、大きさは……凝縮された魔力で炎が変色していたけれど、もう既にファイアーストームすら越えているんじゃない? 今度から、気をつけてよね! 少しチビッタじゃない」

「ワン、ワオーン、クウーン……」

『シルク、妖精の王女様なのに粗相(ソソウ)するなんて……』


「アイビー、仕方がないでしょ。それに、そう言うあなたこそ地面が濡れているわよ」



 二人のコントじみた会話に笑みを浮かべ、俺達は先を進むことにした。

 洞窟で炎魔法は流石に危ないと考え、下級風魔法のエアダガーを使用する事にした。

 しかし、エアダガーもシステム変換でエクストラエアダガーに変換されていた。

 魔力を調整できると説明文があったが、魔力を調節する蛇口は俺が今まで考えていた物差しでは測れない物なのかもしれない。

 これもエアダガーも大きい気がするが、さっきのファイアーダガーよりはマシである。


 まあ、毎回グレートダブルシールドを張らなくてはならないのは言うまでも無い。

 だって、尋常ではない爆風のような風が魔法を放つ度に過ぎ去っていくんだもん。

 水や土魔法も考えたけれど、水は洪水になりそうだし、土は地震が起きそうで洞窟内では最も使用を避けたい魔法であったからだ。

 先を急ぐ俺達は、地下一階、地下二階と同じように魔物の塊を切り裂いていった。

 エアダガーは、上下に二つ連続で放つだけで大小様々な魔物の大群がいても対処可能なのだ。


 同時に、牙蝙蝠、大鼠、ゴブリン、オークが倒される度に、絶え間なくアイテムボックスに自動収納されていく。

 しかし、威力を抑えてはいるがエアダガーを詠唱する度に、別の意味で崩壊しないかと恐怖に怯えながらも俺達は地下三階を目指した。

 地下三階からは、牙蝙蝠、大鼠、ゴブリン、オークは消え去り、代わりに、スケルトンナイトが溢れ道を阻むように数十体出てきては俺達が視認する前に襲いかかってきた。

 俺は途中で拾った木の枝で、スケルトンナイトの弱点である心臓部の魔石をくり抜く様にして瞬時に倒す。


 時にはエアダガーで、魔石部分を除いた部位を全て切り刻み倒していった。

 地下三階の中層からは、道を塞ぐ用に所々に大きなアイアンゴーレムがスケルトンナイトと共に道を阻んでいた。

 アイアンゴーレムは、大きく力強かったが動きが鈍かった。

 このアイアンゴーレムなら、シルク達でも倒せるだろう。



「シルク、アイビーと一緒にアイアンゴーレム倒してみる?」

「そうねー、一体試してみてもいい? 私、スケルトンナイトとアイアンゴーレムは、倒したことがないのよ。でも、スケルトンナイトとアイアンゴーレムが集団で現れた時はリリーお願いね」

「うん。いいよ」



 そう言って俺は、スノーを抱いてシルク達の様子を窺った。



「アイビー、連携して行くわよ」

「ワン、ワン」

『シルク、了解』



 シルクは、アイビーに手を翳す。



「森を守護する風の精霊よ! 我は妖精の王女シルク! 我が命に従い、彼の者に風の加護を与えん! 攻撃を、守護を、敏捷を向上させよ! ウインド ハイブリッド アーマー!」



 アイビーの身体(カラダ)を、風が覆った。



「ワン、ワオーン」

『シルク、ありがとう』



 アイビーは素早い動きで、アイアンゴーレムの前面に体当たりをする。



 ドガーン! ズシーン!



 アイビーの質量から考えると、動くはずも無いのだが――アイアンゴーレムは大きな音と共に後ろに倒れた。

 そして、倒れたアイアンゴーレムに風を纏った自身の爪で胸部をガリガリと切り裂いてゆく――一方では、シルクが魔法を詠唱させていた。



「森に流れし豊かなる水よ! 豪雨に乗じて滾る水を吐き出し穿て! フラッシュフラッド!」



 シルクが魔法を放つと同時に、アイビーがシルクの魔法の軌道上から横に翻る。

 次の瞬間、アイビーが傷つけたアイアンゴーレムの胸部のコアをシルクの水魔法が破壊した。



 プニ、プニ、プニ! 



 俺はスノーの肉球でシルク達に向かって拍手をする。



「シルク、アイビーお疲れ様。シルク、アイビーにかけた風の加護も強力だったけれど、今の水属性魔法はかなり強力だったね」



 俺にもさっきの魔法はあるが、ここで使うのは流石に怖い。

 間違いなく、溺れる自信がある。

 自身の下側を見て――だって、水に浮いてくれそうな脂肪とよべるものが無いし……

 シルクが、俺を見据えている。



「リリー、ちょっと待ってね。息整えてるから……」



 どうやら、かなり魔法を消費したようで息が上がっていた。

 でも、魔法の説明をしてくれるようだ。



「今の水魔法は、水属性魔法の中でも貫通力が凄まじいの。でも、魔力消費が激しすぎて連発はできないの。風の魔法と違って、風精霊の協力もないから私の場合は魔力をかなり消費するわ。はぁー、流石に疲れたわ。リリー、後は任せるね」

「ワン、クウーン? ワフワフ、ワオーン……クウーン」

『シルク、大丈夫? あんな魔力消費が激しい魔法、使う必要ないのに……僕の上で休んでて』


「アイビー、苦しゅうない近う寄れ」

「ワフ、ワン……」

『もう、シルクは……』



 俺は、シルクとアイビーの仲の良さに顔を緩ませた。

 そして、先を急ぐべくアイアンゴーレムとスケルトンナイトを次々と倒していった。

 実は、シルク達の戦いを参考にして心臓駆動部の魔石に隣接するコアを破壊していったのだ。

 スノーにも鑑定してもらったのだが、やはりコアが有るようでそこを正確に貫くと簡単に倒せた。

 面倒だと思った場合は、コアをエアダガーで切り裂くといとも簡単に倒せたのだ。

 数え切れないほどのアイアンゴーレムとスケルトンナイトを倒していくと、地下四階に向かう階段の少し手前に凄く小さな穴を見つけた。


 この大きさでは、流石に幼児位しか入れないだろう。

 しかも、かなり小さな幼児でないと……まあ、俺達ならどうにか入れるだろう。

 なので、入ってみると巨大な空洞に開けた広場が有った。

 実は、途中でお尻が引っかかりそうになって少し焦ったけれど、服をスノーとアイビーとシルクに引っ張ってもらいどうにか入れたんだよね。


 まあ、ショーツが入り口で寂しく脱げていたが……でも、スノーに取りに行ってもらったので今は穿いていますので心配して下さっている、お兄様方、お姉様方ご安心を。

 ここは、入口があまりにも小さすぎて下層部の魔物では中に入れない様だ。

 入口の状態から判断すると、冒険者すらも入れなかったようだ。

 全く荒らされておらず、幻想的に光る美しい花々、光蘚、薬草等が多量に生えていた。

 幻想的な光景に心奪われていると、シルクのお腹が主張してきた。



「ねえリリー。そろそろ休憩しない? 私、お腹空いたわ。アイビーのお腹も鳴っているしね」

「ワン、クウーン。ワン、ワフワフ」

『僕の、お腹じゃないよ。シルクの、はしたないお腹でしょ』


五月蠅(ウルサ)いわね! バカ犬」



 かなりハイペースとは言え、初めての大洞窟だ。

 時間的に、もう夕方を過ぎている頃だろう。



「そうね。今日はここで休みましょうか? たぶん、もう夕方過ぎてると思うし」



 俺は入口に賢者の魔法で隠蔽魔法を施し、防壁を展開させた。

 これで、俺達以外は絶対に中に入れないだろう……でもやっぱり、念には念を入れて二重防壁に――これで、無問題! 

 魔法を使用する度に、システムが限界突破を告げてくる……俺は、もう気にしないことにした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リリー「シルク、どこでセリフとかアニメのこと知ったの?」

シルク「リリーが、いつも寝言で言っているわ。知りたくなくても、毎日聞いて

    いれば流石に憶えてしまうわよ」

リリー「あーね。だから、水着回やお風呂回のこと知っていたのね」

シルク「そうよ。でもね、リリー……夜中に、あんな恥ずかしいこと言うのは

    止めなさい」

リリー「あんな、恥ずかしいこと?」

シルク「ちっぱいは……よ」

リリー「ちっぱいは、ジャスティス? 正義?」

シルク「それよ、それそれ! もう、恥ずかしすぎ」

リリー「でも、ちっぱい同盟は永遠に……」

シルク「リリー、それも止めなさい! っていうか、私は卒業するって言った

    でしょ」

アイビー『リリー様と同志になれるなんて、シルクは幸せ者だね』

シルク「五月蠅いわね! エロ犬」

    もしも、自身の姿が十二歳より上になることが出来れば、シルクより

    先に卒業してしまうかも? と、勘考するリリーであった。

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