南西の大洞窟に行こう
そのあと身体を綺麗に拭いてから、シュミーロの愛情セットボックスに手を入れて別の服を取り出す――
花々が咲き誇る、華やかながらも落ち着いた雰囲気のある町並みの見える丘に、一人佇む幼女。
幼女の周りに、様々な色の光りに包まれた幾つもの精霊が現れた。
すると、精霊達は微笑み俺の周りを浮遊する。
息吹をそっと吹きかけると、精霊達は消え去りそこに現れたのはゴスロリ服を纏った俺だ。
幼女の為の妄想演出が終了。俺の身体にまた何か力が漲る。
この服も他の服同様に、特別な能力向上効果があるようだ。
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ゴスロリ服セット (黒色) 使用中●
-【専用神武具】
双剣 魔剣ダインスレイフ
魔剣ティルフィング
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ゴスロリ服セット(黒色)は黒を基調としているが、繊細なレースと光沢がある黒き生地の二重仕立てで、フリルが沢山付いており下は勿論ミニスカートだ。
頭には美しい花飾りが飾られたカチューシャと、リボンが両サイドに付いている。
ツインテールに髪型が自然に整われ、胸元には白のフリル付きの小さな黒いリボンが付いている。
それに、白ストッキングと黒い靴がセットになっている。
所謂、可愛すぎる幼女にとって相応しいであろうゴスロリ服だ。
そして、これにも伝説的な武具が付いている。
……ロリコンヤロウ、今度は魔剣かよ!
俺達は、大浴場の大休憩場に有る大きなテーブルで朝食を済ました。
食事の後、まだ日が昇り切っていない空を見上げながら大通にでた。
俺は、スノーを最速で走らせる為にシルクを胸元にインしアイビーを抱っこする。
すると、スノーが俺の足下にきて大きくなってくれたのであの言葉を叫ぶ!
「アイビィィィィィィー、ジャストォー・イーン!」
俺がゴスロリ服のスカートを捲り上げて、アイビーを入れようとするとシルクが割って入る。
「ちょっと、そこの変態幼女待ちなさい! ってキャー」
「ふぇー? あれ? シルクどこいったの?」
シルクがいつの間にか俺の胸元から消えて、スカートの中から出てきた。
「また、アイビーをスカートの中に入れようとしたでしょ。って言うか、私ごと入れるなー」
その後、シルクに女の子としてダメとこっ酷く叱られた。
そして、シルクから絶対領域内モフモフ禁止令を受けた……だが、俺は諦めない。
帰る時に、シルクの隙を見て実行だと心に誓うのであった。
アイビーをしっかり抱っこして、スノーに再度搭乗。
説明しよう! 搭乗と言っているのは理由がある。
アイビーを自身のスカートの中にジャストインすることで、昔のロボットアニメであった搭乗シーンを叫んだ言葉と共に思い浮かべたからである。
俺達は、南西の大洞窟に向かうべくフォレストムーン王国にある西門に向かった。
スノーが王国の西門を出ようとすると、歩哨達が笑顔で手を振っている。
どうやら、城の騎士達が交代で見張りをしているようだ。
俺は西門の歩哨達に、南西の大洞窟に調査しに行く事を伝えていると、道中で騎士団第九中隊が検問して通行止めをおこなっていると情報をくれた。
通るには歩哨が今書いてくれている書状と、王様から頂いた黄金のプレートを見せる必要があるらしい。
俺は情報の報酬として、西門の歩哨達に人数分のパンケーキと暖かいロイヤルミルクティーを渡して次の検問に向かべく西門の騎士達に
「騎士の皆様、お疲れ様です」
そう言って可愛らしくお辞儀をし、たまにはスノーのように語尾を付けるのも新鮮かもという思いで
「私達は、今から南西の大洞窟に行ってきますね。なので、騎士の皆様もお仕事頑張って下さいぅにゃん」
と、いつもより可愛い声音で、一昔前のぶりっ子アイドル風に両手を握り胸の前でガッツポーズとるようにして、スノーの語尾を少し真似するように言うと、
「「「女神様、かっ、可愛い!」」」
と歩哨達は声を揃えて言った。
そのあと、歩哨達はだらしない顔をしているのに気がつき
「「「オッホン……女神様、お言葉痛み入ります。御武運を!」」」
と、改めて言った。
俺が笑顔を向けて手を振ると、歩哨達も頬が緩んだ顔で俺が見えなくなるまで手を振っていた。
「フムフム……今みたいにすると、確かに可愛いわね」
シルクが、首元から顔を出して頷くように呟いていた。
暫くスノーに乗って走いると、次の検問が見えて来た。
なので、スノーにスピードを落としてもらい検問の前に行くと中隊長が走ってきて跪く。
「怖れながら女神様。これより先は南西の大洞窟に向かう道のみです。現在我らは、南西の大洞窟に向かう者に制限をかけております」
道中、冒険者達の姿を一切見かけなかったのは、やはりギルドより通知されていたからであろう。
俺は中隊長に理由を述べ、西の門の歩哨達の書状と王様から頂いた黄金のプレートを見せた。
すると、中隊長と騎士達は頷き
「「「【女神様承りました。御武運を】」」」
と、そう言って検問を開いてくれた。
俺は、王国から距離が有って恐らく携帯食しか食べて無いであろう中隊長と騎士達に、今持っている食材で体力と精の付く料理をパパッとスキルで作り中隊長に渡した。
すると、中隊長と騎士達は泣いて喜び全員が跪き俺を見て言う。
「我ら王国騎士団第九中隊は、これより王国だけではなく女神リリー様の騎士として誇りを持ち命を懸けてこの検問の任に付きます。たとえ、大洞窟でスタンピートが起ろうと決して怯まず撤退致しません」
確かに騎士達は、国や近辺の村に危険がおきる場合に備えて検問などで通知やある程度の魔物なら排除するだろうけれど――この人数では、余程の事が起きない限りスタンピートが起きれば確認しつつ撤退し報告するよう上から指示が出されている筈なんだけれど……
「え? ダメよ。危なかったら、お願いだから撤退してね。その時は、私が何とかするからね?」
感無量した中隊長と騎士達は俺から見えなくなる迄、涙を流し両手を振って送り出してくれた。
俺は気持ちを切り替えて検問施設から離れると、スノーに乗って走り出す。
スノーが検問施設から、かなり距離を取ると加速しだした。
スノーが、どんどん加速するとシルクとアイビーが抱きついてくる。
「お風呂でフカフカになった、スノーとアイビーの毛触りは最高ばい!」
「リリー、スノー様速すぎ! 私もアイビーも、落ちちゃうから、落ちちゃうからー」
俺が調子に乗ってスノーの毛触りを堪能する様に、抱き着いているせいなのかスノーが更に加速――シルクとアイビーは怖さのせいか、もう何も言ってこないで必死である。
もう既に、パープル王女の馬車を助けに入った時より加速している。
俺は少し心配になり、スノーに『眷属間テレパシー』をおこなった。
『「スノー、私は落ちても平気だと思うけど、このスピードは流石にシルクとアイビーが落ちちゃったら危ないんじゃない?」』
『「リリー様が落ちる心配は御座いません。うにゃん。それに、リリー様に付き添っているシルクとアイビーも落ちる心配は御座いません。うにゃん」』
『「スノー、どういう事なの?」』
『「スノーの加護により、どんな不安定な状態で有ったとしても、リリー様自ら降りると考えない限り、安全な状態でアイビーとシルクも落馬しない様に守護されています。うにゃん!」』
スノーが更に加速すると安全装置が強固に働いた為か、俺達に当たっていた風と衝撃が無くなり無風になった。
しかし、アイビーの震えが更に強まりシルクが白目を剥いて気絶していた。
スノーの高速移動でソニックブームが起り、道沿いの近距離にある一部の木々が薙ぎ倒されていく――仕方がないので、自身が見えている範囲にある薙ぎ倒された木々をせっせとアイテムボックスに収納していった。
これだけ薙ぎ倒される木々が多いと、このスピードでスノーが走る場合は対応策を考えた方がいいな――いや、確かに俺がいた世界の車より遥かに早くて時短にはなるのだけれどね。
でもね、ちょっと自然に対する被害がね……と、熟々勘考させられたリリーであった。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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リリー「シルク、大丈夫?」
シルク「……平気よ。少し……しちゃったけど」
アイビー『シルク、僕の上でしたよね?』
シルク「余計なこと言うな、バカ犬」
アイビー『僕がいなかったら、スノー様の上でしていたんだよ』
シルク「それには、感謝するけれど……嗅ぐな、変態犬」
リリー「シルク、今度からスノーに乗る時は下に厚めの布でも敷く?」
シルク「恥ずかしいから、リリーまで言わないでよ」
皆を神聖魔法で洗浄しつつ、対応策を勘考するリリーであった。




