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屋台のおじさんは策略家? 

 俺は王子の話を聞き終えるまで、王妃とパープル王女と王子にまで取っ替え引っ替えで膝の上を渡る羽目になったのだった……

 改めて王妃様にお風呂の件を伝えると、快く城に備蓄してある木材や鉄材などの資材を貰い受ける事ができた。

 必要な資材をアイテムボックスに収納。

 そしてパープル王女から嘆願された約束を守るべく、王女の案内で大きな食材置き場にやって来た。



「リリーちゃんこちらです。好きな食材を、好きなだけどうぞ。ですので、お姉様のご機嫌が治る位お菓子お願いしますね。実はお母様も、凄く楽しみにしているの」

「はい、承りました。パープル王女のお好きなお菓子があれば、そのお菓子を多めにお作り致しますね」

「リリーちゃん、余所余所しいです。公ではない場所では、敬語は禁止なの。めっ! ですよ」

「あはははは……なかなか慣れないのよ。だから、パープルちゃん許してね」

「はい。リリーちゃん、大好き……」



 パープル姫は自信が一番年下で妹が欲しかったのか、二人でいる時は俺にべったりだ。

 もしくは……俺って妹キラーなのか? いやいや、そんなはずはない。

 だって俺は自身で言うのも変だが、元世界の職場では一部でミセスキラーとも呼ばれていたからだ。

 いや、職場の来店客層がミセスが多かったのも原因だと思うわけで――

 しかし、妹の鉄壁のガードで何も無く……ふりふり。



「リリーちゃん、頭を振ってどうしたの?」



 パープル王女が、小首を傾げて俺を見つめる――

 幼女の容姿をしているおっさんに、そんな純粋な双眸を向けてこないで……



「パープルちゃん、何でもないの」



 そんな言い訳をしている場合じゃなかった。

 俺はパープルちゃんの期待に応えるべく、営々とお菓子を作り続けた。

 そしてお菓子はクッキー類を大きな木箱、二十箱満タンに入れ湿気が来ない様にした。 まあ、誰かが木箱を開けて中身を手にするまでは、作りたてなのだが……。


 これも、昨日木箱に一箱分入れたが一日もたなかったらしい。

 人数分の甘みを抑えた上品なフルーツタルトも同じように作ったら、大好評だった。

 王妃様とパープルちゃんに毎日欲しいとお強請りされたが、王妃と王女が太ると王様に申し訳がないと思ったので、十日に一度届けるという事で納得してもらった。


 どれだけ食べるんだ、王妃と王女は……次に会う時、太っていないか心配だ。

 次に、空の樽を三十樽用意してもらい、十五樽に葡萄酒を、十五樽に果汁ジュースをスキルで作成して封をした。

 これだけあれば、流石に一日二日では無くならないだろう。ふー、やれやれ。


 俺は王妃達に別れを告げて、宿屋に帰る前に冒険者ギルドに寄って南西の大洞窟について新たな情報が無いか聞く事にした。

 それにしても重傷だった王子達の呪いを打ち消した、エリクサーレインが変化した魔法――天より舞い降りし、聖なる光 アルティメット ベネディクション セレモニー の威力と範囲は凄まじかった。


 途中で気がついて、無理矢理範囲指定を王城だけに指定するように変更したが、恐らく指定しなければワールドマップに表示されていた、この国全体に及んでいただろう。

 それと、一瞬だけだが自身の魔力に多くの精霊達の魔力が重なり合った感覚がした。

 しかし、次の瞬間元に戻っていた。


 今回は微精霊ちゃん達に、本当に感謝だな――俺は、思わず口にする。「微精霊ちゃん達、皆心から感謝するわ」すると、瞬きした瞬間煌めく粒子が踊るように『お役に立てて光栄です』と答えた気がした。

 ん? 何か聞こえた? 幼い子供のような……いや、周りの商店に買い物に来ている子供達の声音だろう。

 冒険者ギルドに行くまでの道のりには、右に左にと商店や屋台などが沢山ある。

 俺が串焼きの屋台の側を通ると、屋台のおじさんが声をかけ笑顔で串焼きを眼前に――



「お嬢ちゃん、一本食いね」



 俺が受け取ると、シルクも欲しそうに涎をだす。



「おっと、こっちの嬢ちゃんも一本食いね」



 シルクに一本渡していると、スノーとアイビーにも気がついたようだ。



「しょうがねえな。今日はお嬢ちゃんサービスデーだ。食いね食いね」



 と、合計二十本の串焼きをくれた。

 俺がお金を出そうとすると、



「お嬢ちゃん、それはやぼだぜ。天使が俺の目の前に舞い降りた……つまり、それは天使への贈り物だ」



 そう言って、笑顔を見せた。

 俺は屋台のおじさんに『おじちゃん、女性がそのセリフ聞いたら、怖くなって身震いするかもよ……』そう言いたい言葉を飲み込み、偽りの笑顔かもしれないが――



「おじちゃん、ありがとっ」



 と、おじさんに対抗するよう俺も上目遣いであるが笑顔でこたえた。

 すると、近くを通っていた冒険者達数十人が『『『可愛い』』』と口を揃え、



「「「おやじ、俺達も同意見だ」」」



 そう言って、冒険者達は残りの串焼きを全て買い占めた。

 結果、串焼きを売っていた屋台の品物は跡形もなく全て完売したようだ。

 俺達は串焼きを食べながら、冒険者ギルドを目指す。

 シルクが二十本のうち、十六本食べたのは言うまでも無い。

 後ろを振り返ると、先ほどの冒険者数十人もついてきているようだ。


 俺達と同じように、冒険者ギルドに向かうのだろう。

 冒険者ギルドに着いたので、入り口の扉を開けると、カラーン、カラーン♪ といつもの呼び鈴が鳴る。

 一瞬ギロッと睨まれるが、俺を見た冒険者達の顔が瞬時に緩む。いつもの、ギルドの光景だ。

 中に入り、右手にスノーと左手にアイビーを抱っこしてシルクを右肩の上に乗せて受付まで歩いて行く。


 髪の色が金髪だが、一緒にいる面々が同じであるため俺だと分かったのだろう。

 特に、シルクの影響が大きいのかもしれない。大食い妖精として……

 俺が奥に進むにつれて、可愛いや、綺麗な子ね、尊い等――少し頬を染めながら奥まで来ると、早速ロベリアが笑顔で出迎えてくれる。



「ロベリアさん、こんにちは」

「え? もしかしてー、やっぱり、リリーちゃんなのー? 冒険者達の熱狂的な眼差しや、声の語調からして分かったけれど……」



 そう言って、ロベリアが少しだけ目線を上げた……と思うと膝を曲げて姿勢を低くしてきた。

 確かに、目線を下げるとお胸で見えないよね……

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「リリー、あの串焼き結構いけたわね」

リリー「うん、おじさん親切だったね」

シルク「リリー、毎日通ったら無料で串焼き食べ放題よ」

リリー「シルク、おじさんの親切心に悪いわ」

シルク「リリー、知らないようだから教えてあげる。実はね、あのおじさん策略家よ」

リリー「どうして?」

シルク「リリーはいつも気づいていないけれど、リリーの後ろ見てみて?」

リリー「何かいるの?」

シルク「ほら、今隠れた……あのおじさん、リリーにいつもくっ付いてくる連中の事見て、ニヤリとしていたの知ってる?」

リリー「知らなかった……」

シルク「だから、良いのよ毎日無料で串焼き食べに行っても、元取れるんだから」

リリー「モフモフのアイドル、リリーちゃんの追いかけ?」

シルク「リリーあれは、只のストーカーよ、ストーカー」

    シルクの言っている事を、聞かないふりしたリリーであった。

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