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リリー達の旅立ち1

 次の日、知らない天井を見上げ目を覚ました。



「……ここ何処?」



 あっ! そうだった。

 昨日、四匹の幼狼を生き返らせた後に宴が再開――更に異常な盛り上りをみせ、そのままモフモフ達と一緒に寝ちゃったんだ。

 でも変だ? 外で寝ていたはずなのに……

 もしかして――俺は、誰かに埒されたのか? 



「こんなにも、可愛いものね……」



 俺は自信の全体像を見て、呟いていた。

 すると、掛け布団がモゾモゾ動く――えっ? 何?

 俺は恐る恐る掛け布団の中を覗いてみると、両側にスノーとアイビーが丸まっていた。



「はうー、何? 何なのー。かわゆす。モフモフクッション」



 俺の声音に、目を覚ましたスノー達が朝の挨拶をする。



「リリー様、おはようございます。うにゃん」

「クウーン、ワン」

『おはようございます。女神様』


「スノー、アイビー、おはよ。ねえ? ここは、どこなのかな? 私、お外でモフモフ達と寝ていたと思ったのだけど」

「ワン、ワオーン、ワフ」

『女神様、ここは妖精王の特別な客室です』



 俺の質問に、アイビーが答えてくれた。

 そして続きを、スノーが答える。



「妖精王が、リリー様をこちらまで運んで下さったのです。うにゃん」

「あら、妖精王には悪い事したわね。あははは」



 俺は、内心で一瞬思念した犯人像を妖精王と重ねた事に謝った。

 妖精王……ロリ誘拐犯と間違えてごめんね。

 俺は気分を切り替え、目覚めの一時に二匹に顔を寄せて撫でながら満面の笑顔になる。



「じゃあ皆起きた事だし、準備して妖精王の所に行きましょうか」

「はい、リリー様。うにゃん」

「ワン、ワン」

『はい、女神様』



 部屋を出ると妖精メイドがいたので、声をかけようと近くに行くと美しい礼儀作法で深くお辞儀をして、



「女神様、ご機嫌麗しゅうございます」



 と、笑顔を向けてきた。

 俺も妖精メイドに見習い、テレビドラマで見た貴族の挨拶であるカーテシーをして笑顔を向ける。



「ごきげんよう。妖精王は、どちらに?」

「王は、聖大樹の側にある城の謁見の間にいらっしゃいます」



 俺は妖精メイドの笑みに、初めて行ったカーテシーが間違っているのでは? と思い、少し恥ずかしくなって、いつもの口調に戻してお礼を伝える。



「メイドさん、教えてくれてありがとっ」



 俺は妖精メイドにお礼を伝えて部屋を後にした。

 妖精達は皆、本当に美しい。容姿だけでなく、気品もある。

 その中でも一際美しいのが、シルクだ。

 まあ、少し残念な性格ではあるが――アイビーからのシルクマル秘情報だから、間違いないだろう。


 ふっふっふー。俺は、可愛いモフフサの言うことは信じるのだ。

 俺達は妖精王の別邸の部屋を出て暫く歩くと、聖大樹の側に着いた。

 妖精王の城は、一万年以上前から存在するらしい聖大樹の側にある。

 なので、お礼も含めてスノーとアイビーを連れて城にやって来たのだ。



「スノー、アイビー、この聖大樹凄いね。妖精の村にあった大木数十万本分の大きさかしらね」



 俺とスノー達が巨大な聖大樹を眺めていると、妖精メイド達がやってきて妖精王の所に案内してくれた。



「王様ご機嫌麗しゅうございます。昨日はお食事とお部屋、有り難うございました」

「いや、こちらこそ感謝する。女神様の美味しい御馳走を食させて頂いた。お礼の宴をする筈が、こちらが御馳走して頂いた形になった。で、どの様なお礼をするか迷っておったのだ。それで、妖精族に伝わる秘宝を贈ろうと思う」

「え? いえ、お礼は結構ですよ。私は貴方達が信仰する女神サラ様の名代なのですしね。また、妖精村に来る事が有れば、食事と寝床を頂ければそれで良いので、ね?」

「むう! 確かに女神様に、そう言われては何も言えないが……。あい、分かった。女神様……では、妖精の村と妖精狼(フェアリーウルフ)の迷いの森――我が治める全ての者の絶対の信仰と協力を、お約束致そう」

「あははは、大げさになっちゃったけど、女神サラ様ではないですし、気軽に接してもらえれば助かりますので」



 俺は妖精王と王妃、それに世話になった妖精メイドと妖精料理人達、臣下達にお礼を伝える。



「ありがとう皆。それでは、私達は、そろそろ行きますね」



 妖精王城の外の出口付近まで見送られていると、城の入り口から慌てた様子でシルクが飛んで来る。



「ハーァ、ハーァ、ハーァ……。まっ、待ちなさいよ! また、私を置いて行くつもりだったんじゃないでしょうね?」



 え? アイビーはここにいるでしょ。

 いつもなら、アイビーの上に……



「あ、わす……(ケホケホ)シルク、はよこんね何しよーと?」

「ねえ? 今忘れてたって、言いかけたでしょ! ねえ? 言いかけたでしょ!」



 半泣きのシルクが落ち着いた所で、俺は城の皆に別れを告げた。

 そして村の出口に、スノー、アイビー、肩にシルクを乗せて向った。

 村の出口に着いた俺たちは、妖精達と妖精最長老と妖精狼(フェアリーウルフ)達に見送られ、迷いの森の出口に向おうとしていた。

 アイビーが先頭を走り、振り向く。



「ワンワン。ワフー、ワン、ワン」

『女神様、僕が迷いの森の出口までご案内致します』


「ありがとうアイビー。お願いするね」

「ワフー、ワン」

『あっ、シルク僕の上に乗ってね』


「うん、アイビー、首の上に乗るわね」



 俺がアイビーに案内をしてもらおうとすると、スノーも話しかけてくる。



「リリー様ご報告します。うにゃん」

「スノー、どうしたの?」

「リリー様の権限が上がった事で、スノーの能力が向上しました。うにゃん」

「能力向上?」

「はい。能力向上により、スノーの一部能力解放が今完了致しました。うにゃん。騎乗できます。うにゃん」

「え? 騎乗って、スノーに乗ることが出来ようになったの?」

「はい。大きくなる事でリリー様が普通に走るより、早く走る事も可能です。うにゃん」

「そうなんだ」



 幼少の頃、動物園でポニーに乗ったことはあるが、虎には乗ったことが無い。

 まあ、乗ろうとしたら、普通囓られるよね。

 況してや、小さな子供なんて――ペロリと食べられてしまう。

 でも、夢だったんだよな……大きな虎に乗ることが。だって、手触り良さそうで可愛いし。

 俺が幼少の頃の夢に浸っていると、スノーが言葉を続ける。



「但しですが……リリー様のお姿を、小さくして頂く必要がございます。うにゃん」

「小さく?」

「はい。五歳のお姿、専用騎乗となります。うにゃん」

「え? ばってん昨日スノー、バリふとかなっていたばい?」



 ぽっぷん! 



 俺の頭の中で、眼鏡をかけた女神サラの女教師バージョンが出てきた。



「ヤッホー。皆久しぶりね。私の説明のお時間よ」



 今度は俺の頭の中で、子供の頃の俺が出てきた。



「先生おねがいしまーす」

「今日は【バリふとか】について教えるわよ。そんなに難しい言葉ではないよねー。でも出番が無いから、自ら登場したの。テヘッ」

「はーい」



 子供の俺が席に座ると、女教師バージョンの女神サラが説明する。



「【バリ】とは、【とても】という意味よ。以前に教えた【ちかっぱ】も、同じ意味合いなの。でもね、気軽に使う言葉が【バリ】よ。例でいうとね――【大好きなの】は【バリすいとーと】で、力強く強調して使う場合の【ちかっぱ】で、例としては【もの凄ーく大好きなの】が【ちかっぱすいとーと】にあたるの。皆分かったかなー」

「あーい」

「説明は以上よ。また少し難しいと思われる方言が出たら説明するわね」

「はぁーい。先生ありがとーございまーす」



 妄想説明劇場が終了し、現実に戻る。

 俺が疑問を投げかけると、スノーが側に来る。



「あの力は……サラ様がリリー様の緊急時に、使う事を許された特別な力でした。うにゃん。ですが、昨日のリリー様の力はサラ様の予想を遥かに超えていました。うにゃん。サラ様に頂いた全ての力を使う事で、相殺するしか方法がなかったのです。うにゃん」

「じゃー、また幼女に戻れと。……でも、アイビー達が追い付けなくなるんじゃ?」

「ご心配は、ございません。うにゃん。アイビーを、リリー様が抱っこすれば。うにゃん」

「あーね! それは、本当に嬉しい誤算ばい!」



 俺はアイビーのモフモフが堪能できる事が嬉しくて、さっさとステータス画面から簡易リセット機能を選択した。



 【リセット】(※年齢及び髪と睫毛色)

  リセット? 【はい】 【いいえ】


 【はい】を選択。



 身体が少し暖かくなり縮み、髪や睫毛がピンクゴールドに変化した。

 すると見送りに来ていた、妖精最長老が騒ぎ出した。



「やはり間違いなく女神様じゃった! 女神様! 女神様! 女神様!」



 女神様ご本人だと言っているが、気にしない事にする。

 着ていた服がブカブカになったが、後に服の機能で丁度いいサイズになった。

 そう言えば昨日と同じ服だし、変更した方が見た目女の子だからいいよね? 

 このサイズだと初めに着ていた、女神の衣装を着る事ができる。


 だからイメチェンで着ようかと考え、後ろを振り返って最長老妖精を見た……

 この服着ると絶対余計に騒ぎだす気がすると思い、着るのをやめた。

 俺はそういえば使えなかった【シュミーロの愛情セットボックス】の事を思い出した。

 そう考えていると、シルクとアイビーが二人して目を白黒させていた。



「「女神様が、縮んで髪の色が変わった!」」



 二人揃って同じこと言ってる。本当に二人とも仲良しだ。



「スノー、もうちょっと待っててね。確か、シュミーロセットボックスが使えるはずだから」



 あの使えなかった服、確か権限は第一級下位管理者から使用可能だったはず。

 俺は、シュミーロのセットボックスを開いた――



「――――。――――」



 無言の時が流れる……。

 辺りには小鳥の囀りと、小川の流れる音が聞こえる。

 そして、遠くで最長老妖精の騒ぎ声が聞こえてくる。

 やはり、俺の世界の管理者はロリコンだった……



「スノー衝撃的事実ばい! うちの世界の管理者は、ロリコンやけん。女神サラ様に伝えりー」

「うにゃん?」



 衝撃の事実が発覚したが、今は後ろで騒いでいる最長老妖精が気になり早くこの場から立ち去りたかった。



「くっ……後ろの方で最長老妖精が騒いでいるから時間も無さそうだし、初めに手にした花魁ロリ服セット(多彩色)を着るしかないよね?」



 様々な美しい着物の生地が流れるように目の前を通り過ぎる。

 鮮やかな着物生地が織りなす色とりどりの風景と庭には美しい日本庭園。

 その風情溢れる景色をバックに、俺が両手を広げて一人佇む。

 そんな妄想の中で俺は花魁ロリ服に袖を通す。



「リリー様、よくお似合いです。うにゃん」

「ワン、ワフ、ワン」

『女神様、よくお似合いです』


「鮮やかで、とても美しい生地の羽衣だけど……ぷっ、ぷっ、クスクスクス。私は、ノーコメントよ」



 実際は、花魁ロリ服セットに手を翳し、服を着ると考えるだけで1秒もかからずに自動で装着されのだが。

 先ほどの美しい生地や日本庭園は、俺の妄想だ。

 せっかく美幼女が着るのだから、演出が無くては勿体ないよね? 


 そうそう――

 心配して下さっているお兄様お姉様方、御安心下さい。

 この服も、ちゃんと履いてましたよ。

 でも、ロリ服の下着は――お兄様お姉様方のご想像に、お任せ致しますね。

 ……俺は誰に言ってるんだ。


 モフモフ達は、似合っていると褒めてくれる。

 でもシルクだけが褒めた後、笑っている……

 幼女なのに大人びた装いが、シルクのツボにはまったのだろうか? 


 花魁ロリ服セットは、何重にも美しい様々な色が織りなす……一言で言えば着物だ。

 但し、首元が少し開けた大人びている折り重なった着物であり、腰帯から下の着物の丈は短くミニスカートのようだ。そして、丈のある下駄を履いている。

 丈のある下駄が、歩きにくいかと思ったが不思議と気にならない。

 しかも、力が漲る気がする。


 他のロリ服セットにも、何か能力が上がる仕様になっているのかもしれない。

 しかし、今は戦闘モードではない。

 なので、大した能力上昇ではないと思っている。

 基本的に俺は、モフモフ達が気に入ってくれたら他はそこまで気にしないのだ。

 似合ていると言ってくれたモフモフ達二匹を、撫でて抱きしめた。



「はうー。かーゎいー。モフモフ、ハッピィー・フェスティバール」



 俺が二匹を抱きしめて幸せな気分に浸っているとシルクが声をかけてくる。



「女神様、そろそろ行かないと五月蠅いのが来るわよ」



 遠くで騒いでいる、最長老妖精の事をすっかり忘れていた。

 俺が慌てそうなのを見越してか、スノーが子猫の大きさから大型犬クラスの大きさになっていた。



「スノー、ありがと」

「うにゃん」



 スノーが大きくなったので、専用の鞍を付けた。

 俺はアイビーを「モフモフ大ちゅき」と言って抱き寄せた。

 その言葉に、シルクがなぜか「ムスッ」としている。

 もしかして、シルクにも愛情表現してあげた方がいいのかな? 

 シルクを左肩の上に乗せて、少し顔を寄せてみた――



「女神様、あまりくっ付かれたら落ちちゃうじゃない」



 あれ? 違ったの? まあ、いいや。

 俺はスノーに騎乗し、シルクの案内のもと迷いの森の出口まで向かった。



「みんな―、行っくよー! スノー、レッツらゴー!」

「うにゃん!」

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

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