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第五話 勝った


「勝った……? 俺が、本当に……?」


 勝ったという実感が無かった。


 俺が自分で締め落として倒した鳳凰院さんが転がっているが、それでも実感がない。


 まだ、締め付けていた時の感触が残っている。

 身体中が炎の熱に焼かれ、ピリピリと痛みが走っている。

 能力の使い過ぎで頭が痛い、体力も身体も限界だ。


「うおおおお! やったな、ユウジ!」

「うん、正直ここまでとは思ってなかったよ」


 はい、冷やしてあげるね。とレイキが能力で身体を冷やしてくれた。

 ひんやりして気持ち良い。


 スッ、といつの間にか石蔵が立っていた。

 無言だが、剣を返せってところだろうな。


「ありがとな」

「うむ」


 俺から剣を受け取って背負い直した。

 かっこいいな、武人って感じがする。


「……レベル1とは思えぬ、闘いだった」


 最後にそれだけ告げて、石蔵は帰路に着いた。

 決闘の内容だけにしか興味はなかったみたいだが、あれだな。レベル2の石蔵に褒められると嬉しいな。


 その時だ。クラスメイト達がドッ、と押し寄せて来た。


「凄かったぞ!」

「あの時ってどうやったんだ!?」

「あの炎の剣、熱くなかった!?」


 質問が多過ぎる。


「静かに」


 身体の芯に響く、重たい声が聞こえた。

 その方向を見るとギンジ先生と目を覚ました鳳凰院さんがいた。


「鳳凰院式決闘は小鳥遊ユウジの勝利とする。よって、勝者の権利として鳳凰院アスカは小鳥遊ユウジにメイドとして従属する事を約束された」


 あっ、そういやそんな約束してたな。

 まさか勝てると思ってなかったから……。


「いや、ちょっと待ってくださいよ」

「何だ?」

「そのメイドってやつ取り消しても良いですか?」


 流石に鳳凰院さんにメイドさんってのは酷い気がして……。


「馬鹿か、お前は。鳳凰院は名家だ。そんな家の名をかけて、鳳凰院家の跡取り候補が決闘を申し込んだ。それを取り消せば「相手に負けた上に情けをかけられた」として、鳳凰院アスカの家での立場は危うくなるぞ」

「それは、確かに……」

「まあお前が決めた事だ。てめえの言葉には責任持てよ」

「はい」


 これは本気で鳳凰院さんが俺のメイドさんになるのか。まあ、楽しみっちゃ楽しみなんだけど。


「よし、では今日はこれで解散とする。小鳥遊、細かいことは後で決めてくれ。とりあえず鳳凰院は俺が保健室に運んどくから、お前らはさっさと帰れ。………………ったく、メンドクセーな」


 おう、最後の言葉がなきゃ、なんか良いこと言ったなこの先生。で終われたのに。






 鳳凰院さんがメイドになるってことは部屋にも来るのかな?

 明日か明後日か、いつになるか分からないけど、この汚部屋を何とかしないとな……。


「よし、片付けよう!」


 俺の能力を使えば掃除も楽だし。


 だが、思ったよりも早く鳳凰院さんは俺の部屋に来ることになった。


「家を追い出されたから、メイドをするのにもちょうど良いし今日からここで暮らすわ」


 そこにいたのは大きなキャリーケースを持った、メイド服を着た鳳凰院さんだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


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