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第二話 Fクラス


 Fクラスの校舎までの道、俺達は自己紹介も兼ねてお互いの異能力について会話していた。


「俺の能力は【万物を調理する者】だぜ? 戦闘能力ねえし、味は俺の腕にかかってるしよ〜。そりゃレベル1なワケだぜ」

「それって、木とか石でも調理する事ができるの?」

「ああ」

「そりゃすげぇ。しかも味まで付けれるのか。サバイバルとかではかなり便利じゃないか?」

「そうなんだよ、つっても俺が料理を上手くならないと味も美味しくはならないんだ。それに食べられるだけで、栄養分とかは普通の食材じゃねえと補給できねえからなー」


 そう言って包丁で食材を捌くジェスチャーをする。

 

 まあ、そりゃそうか。

 それだけデメリットがなきゃ、レベル1なんてやってるわけねえよな。


「僕のは《冷気を出す程度の能力》、レベル1だよ」

「へえ。でも、それなら結構戦えるんじゃないか?」

「ほ〜ら、涼しいでしょ〜」

「おー、こりゃあ真夏日にいいな」

「本当だよ、夏はレイキの隣をキープしとかないとな」

「はははっ。そりゃあ嬉しいお誘いだね」


 んー、でもひんやりする程度の冷気なら戦闘には役立たないか。

 でも真面目に夏はレイキの隣を予約しとこうかな。


「それでユウジのはどんな異能力なんだ?」

「俺のは《物体を引き寄せたり、遠ざける程度の能力》だよ。同じくレベル1。まあ、その名前の通りだな」


 実際にその辺に落ちていた石を引き寄せてみる。

 ふよふよと浮かんで、俺の手に収まった。


「へ〜、でもこの中じゃ最強じゃないか?」

「そうだね。僕なんか足元にも及ばないよ」

「いや、それはどうかな? 例えば高い場所とかであそこに冷気を送られると……」

「うへー! 想像したくねぇ!」

「あはは、たしかにそれは試したことが無かったね。今度やらせてよ」

「「絶対やだよ!!」」


 そんな話をしている内にあっという間にFクラスの校舎に着いた。

 大きさは結構あるけど木造でボロボロ、いつ倒れてもおかしくないって感じだ。


 校舎に入って教室に向かうとすでに他の生徒が席に着いていた。一番後ろの席が空いていたので俺達は三人で固まって座る。


 この教室は異様に空気が重たく、俺達も教室に入ってからは話していない。


 暇だし、クラスメイトの顔でも覚えとこうかな。


 んー、目立ってるのは二人かな?


 一人目は背丈が高く、ガタイも良い大男。多分、身長2mくらいありそうだ。背中に大剣を背負っているし、そういう能力なんだろう。


 二人目は女性だった。長い赤髪だが、染めてるってわけでも無さそうだ。この時間も小説を読んでいて真面目そうだ。


 ぱっと見だとこのクラスで最強はこの二人のどちらかかな?


 と、その時だ。

 ガラガラと教室の扉が開かれて、そこから一人の男が入ってきた。


 染められた青髪に耳にピアス、ネックレスや全部の指に指輪を嵌めて、ズボンにはチェーンも付けている。


 いつの時代のヤンキーだよ! と、ツッコミたい!


「うーっす。俺が担任のギンジだ。まー、とりあえずよろしくな。俺に迷惑かけるなよー」


 教卓に着くまでの間に手短に挨拶を告げる男、ギンジ先生。

 そして教卓についた所で、一人の女子生徒が手を挙げた。


「先生、一つ質問いいですか?」

「おう」

「教師がその様にアクセサリーを付けているのは風紀的にどうなのでしょうか? 私は風紀委員に入る事を決めているので見過ごせないのですが……」


 おお、言った!

 さっきの赤髪の女の子が言ってくれた!


「これか? あー、まあ、許可取ればお前らでも服装は結構変えられるもんだぞ? 例えば能力的に何かを操作する場合にその道具を持ち歩けなきゃ操作できねえだろ」

「なるほど。確かにその通りですね。すみませんでした」

「いやー、いいよ、そういうのメンドクセーから」


 ぐでーっ、と教卓に体重を預けるギンジ先生。

 やる気なさ過ぎだろ、大丈夫かこの教師。


「んじゃ、何しようかねー。まあ、自己紹介でもしてもらうか。適当に前の奴らから言ってってくれ」


 このままギンジ先生は授業を続けるらしい。

 

 まあ、自己紹介だけだし、別に良いか、とみんなも納得して話を進めるみたいだ」


 まず、俺から見て教室の前の扉に一番近い生徒が立った。


「えーっと、僕の名前は草壁ハルト。異能力はーーーー」


 と、そんな感じで自己紹介が続いていくと、大男の順番が回ってきた。 


「俺の名前は石蔵タイゾウ。能力は《剣の重量を操作する程度の能力》、レベル2だ」


 おお! と教室が湧いた。

 これまでレベル1ばかりだったし、レベル2って言うのはかなりの逸材なんだ。


「凄え、レベル2だってよ!」

「Fクラスになんでレベル2がいるんだよ!」


「むぅ。テストの点数で、少しな……」


 どっ、と教室が湧いた。

 岩蔵は掴みはバッチリだな。


 そして俺の感も当たってた。

 ふふふ。俺の目も腐ってねえぜ!


 それから何人か進み、もう1人が出て来た。


「私は鳳凰院アスカ。能力は《炎を操る程度の能力》レベルは……………………1よ」


 赤髪の少女、鳳凰院アスカは着席し、

 そして、教室は静まり返った。


 にしても鳳凰院か。

 三十年前の戦争からこの国の中枢を担い、上流階級の地位を盤石にした一族。俺でも聞いた事がある名家だ。


 そんな彼女がなぜ、無能のFクラスにいるんだ?その疑問は解消される事なく、順番は次に向かう。


 それから残りのメンバーも自己紹介が終わり、今日の授業は終了となった。


「あー、終わったー!」

「終わったね〜」

「終わったなー」


 まあ、この三人は怠けてるだけだが。


「なあ、この後ゲーセン行かね?」

「どうすっかな」

「何だ、俺に負けるのが怖いのか?」

「なんだと!? 俺はな、UFOキャッチャーなら誰にも負けない自信があるぞ!!」


 もう、どのくらい凄いのかを示そうと、右手を大きく後ろに回した。その時だった。


















 むにゅっ






















 むにゅ?


 何だ、この右手で包み込んでいる幸せな感触は!


 むにゅむにゅ


 何となくだが、これは離さないといけないと分かってる!


 むにゅむにゅ


 だが、この手が離さないんだ!

 揉む手が止まらないんだ!!


 むにゅむにゅ

 

 恐る恐る、その方の御尊顔を見る。


「〜〜〜〜〜っっっ!!!」


 そこにいたのは顔を真っ赤にした鳳凰院さんだったとさ。

 あははは、髪の毛と一緒でお顔も真っ赤だー。


 むにゅむにゅ


「いい加減離しなさいよ!」

「うわっ、ごめん! 感触が良すぎて、つい…………」

「〜〜っ! 許せない、私にこんな辱めを受けさせるなんて!」


 鳳凰院さんは胸ポケットから手袋を取り出し、俺に投げつけた。

 条件反射で受け止めてしまうと、鳳凰院さんがにやりと笑った。


「受け取ったわね……!」

「え? これ、なんかヤバいやつ?」


 二人に助けを求めてみると、うんうん、と温かい目で頷かれた。

 いや、どう言う事だよ!!!









「小鳥遊ユウジ! 私と決闘しなさい!」









ここまで読んでいただきありがとうございます!


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