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それでもこの世界を愛そう  作者: じぇい
 第1章 ルナの娘 【アルバイノ】
7/11

07 『もうすっかり元気です。』




「ハル、少し聞きたいことがあるんだけど、いいか?」



「うん?なに?」



 今はニ人の拠点となったボロ家を出て、馬車も入れない狭い路地裏をハルに連れられ進んでいた。

 なにやら面白いモノを見せてくれると言うのだ。



「その面白いモノってなんだ?白い盗賊とか言われてるのに街を出歩いて平気なのか?」



「モノの事はまだヒミツ。大丈夫だよ多分。この路地裏に普通の人は全然こないから。みんな治安悪いイメージを持ってるみたい」



「まぁ実際に路地裏には白い盗賊が棲み付いてるんだから、そりゃ皆来たがらないだろう」



 民衆は怖がって路地裏に近づかないのなら、白い盗賊以外にもノーマルの盗賊とか、チンピラ等もいるのだろう。



 シンは自然と歩みが速くなる。



「でさ、この街に着いたときハルを見たんだけど、走るのが異常に速かったよな?それってその、真っ白い肌の種族の特性とかなのか?」



 楽しそうに歩くハルはシンに振り返らずにそのまま答える。



「うーん?まだハルと同じ人は見たこと無いよ。なんだろう。少し意識すると身体がすごく軽くなるの。飛べそうなくらいにさ」



「それって特殊能力か!それとも魔法?それとハルはどこで生まれたんだ?卵からだったりするのか!?」



「ちょっとちょっと。聞きたいことは少しじゃなかったの?」



「あぁ...そうだな。悪い」



 彼女のあまりに可愛らしいその笑顔はシンの打ちのめされた心を優しく和らげていく。



「卵からって。ハルをおとぎ話に出てくる何かだと思ってる?」



「いやだって大分そう見えるよ?」



「ハハッ。そっか」



 彼女に魅入られていると、彼女が急に止まったことに気づかず、シンは彼女の背中に軽くぶつかった。



 視線を彼女から前方に移すと目の前には、七、八メートルはあろうかという石でできた高い障壁が路地裏の道に立ち塞がるように建っている。

 そこで障壁に近づき壁面をよく見ると、黒いインクのような物で、



『あのこをおとしたい』



 そう書かれている。



「なにこれ?見せたかった面白いモノってこれ?」



 ハルがシンの指差す壁の落書きを不思議そうに覗き込む。



「え?違うよ。ハルが見せたいモノはこの壁の先」



 この壁に書かれた滑稽な落書きに何か違和感を覚える。

 この世界の文字は日本と一緒なのだろうか?



「シン!こっちこっち!」



「お?どこ行った?」



 声のする方向を辿っていくと、どうやら道にあるマンホールに似た銅製の蓋下から聞こえている。

 露出している穴を見下ろすと、五メートル程下方でハルが手を振っているのが見えた。



「ほら早く!こっち!」



「えぇ...こんなとこ降りるの?」



 ゴツゴツと壁から突き出た梯子状の取手を伝い、下へゆっくりと降りていく。



「すごいでしょここ!ハルが見つけたんだよ」



 ハルの声が反響し、この薄暗いトンネル状の地下通路に響き渡った。

 一定の感覚を開け、壁には不思議とオレンジ色の灯りが灯ったランタンが吊り下げられている。



「大丈夫かここ?奥から大蛇とか出てこないよね?巨大ネズミとか、巨大グモとか。ねぇハル?先に進むのはやめましょ?」



「シンって意外と怖がりなんだね。街の中にそんなのいる訳ないじゃん。二十歳くらいに見えるのに中身は子供みたい」



 シンは幽霊などよりも、巨大動物や巨大昆虫といった類の方が苦手なのだ。いつもそれを考えるだけで身震いする。

 異世界なだけあって、要らぬ想像をしてしまう。



「ほら行こ!今の時間ならもう観れるはずだよ!」



「チョッチョッ、まってぇ!」



 やはり彼女はもの凄く足が速く、全速力で走らなければあっという間に見えなくなりそうだ。

 地下通路内に響くハルのペタペタした足音に離されまいと必死に後を追った。



「シンおそい、おそーーーい!」



「あぁぁぁぁぁぁ!!これぞ元陸上部の力ッ!!」



 意気込み十分なものの、現時点ではかなり力のない身体であるために、脳からの命令が上手く足に伝わらない。

 十メートル程走り、通路の行き止まりが見えたあたりで石につまずいて壁まで転げ回った。



「イッたぁぁ...」



 それを見たハルの笑い声が聞こえる。



「ハッハッハ!シンほら!上だよ!」

 


「もう、元気なんだから...」



 壁の取手を伝い地上へ顔を出すと、あたり一面、青々とした植物に囲まれていた。

 前に視線を移すと、そこには四つん這いになり草むらの中から先を伺うハルがいる。



 そこで思わずハルの尻に釘付けになってしまった。



 ハルの着ている薄汚れたカーキ色のローブは太もも辺りまでのサイズな為に、四つん這いになったことでローブが胴体へと引っ張られ下生尻が見えそうになっているのだ。



 どうにかして全貌を目に収められないかと息を殺しながら見守る。



 そこでハルがこちらに振り向こうと身体をくねらせた瞬間、真っ赤なレースの下着がチラりと現れた。



 なんという意外。



「シン?ッてイヤぁぁ!」



 彼女は慌てて四つん這いの姿勢から変わりその場にぺたりと座り込んだ。

 真っ白い顔がみるみる内にあの下着の如く真っ赤に染まり、頬を膨れさせながらこちらを睨みつけてくる。



「よし。行こうかハル。どうした?」



「見たよね?」


               

「なんの事を言ってるんだよ?これから、面白いモノを見せてくれるんだろ?」



 もう既に面白いモノを見せてもらったのだが。



「あ、あぁ、ごめん。なんでもない...」



 にしても、熟れた年頃の女性でもない彼女があんな下着を付けているなど。

 悪くはない。というかむしろ良さすら感じるが。悪くはないのだが。



「もうちょっと年相応の物にした方が」



「見たんだよねぇ!?」







 



 





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