カレー
今日はあまり時間も残っていないし、夕食を作って待ってくれている桃花にも悪いので、基礎的なことを教わっただけでお開きとなった。
「今日はありがとうございました。あと1週間よろしくお願いします!」
「うん、それは別に構わないんだけどね、なんでクリスティーナと戦うことになっているんだい?」
やっぱり気になっちゃうよな。
でも素直に話すわけにもいかないし、なんて伝えれば納得してくれるだろうか?しばらく考えこむ。
「いや、今話したくないなら話さなくてもいいよ。ただ、いつか僕に教えてくれると嬉しいな」
顔に出てしまっていたらしく、気を遣わせてしまった。
「もちろん、いつか話せるときが来たら絶対に伝えます!」
「そっか、また明日ね!あ、そういえば、君なんて名前なの?」
うっかりしてしてた。
このまま名前を告げずに別れてしまうなんて、とんでもない失礼をするところだった。
だが、俺にはハンドルネームのようなものは無いので、素直に本名で拓真と伝える他なかった。
こういうので本名は少し変かなと思ったが、本名でそのままやっている人もぼちぼちいるらしく、特別変というわけではなく安心した。
その後、帰宅方向が真逆であったので、お互いに手を振って別れる。
カラトさんの後ろ姿がとても大きく見えた。
「おかえりなさい、拓真さん!遅かったですね?」
「色々とあってな。おっ、この匂いはカレーか。疲れた体に染みて最高だな」
「お疲れ様でした。お風呂はもう沸いてるので入っちゃってください。その間に私が準備しちゃうので」
桃花のその言葉に甘えて先に風呂に入ることにした。
ザバーっという音と共に湯船につかりながら今日の出来事を振り返る。
マジで今日は疲れたな、それに自分からふっかけたとはいえ大変なことになったもんだ。
俺も全力でやるつもりだが、正直勝てるビジョンが見えない。
でもまあ、なってしまったものは受け入れるしかないのだから、今日は大人しくゆっくりするとしようか。
そう決意し湯船から出て、タオルで体を拭き、桃花の待つリビングへ向かう。
桃花が準備してくれたカレーを食べながら、今日あった濃密な出来事を話すと、桃花は意外にもそこまで事態が深刻ではないだろうというような態度であった。
「そうなんですか。でも、拓真さんならきっと大丈夫だって信じてるので心配はしてません!」
「なんでお前はそこまで俺のことを信頼できるんだ?俺のどこにそんな要素がある?」
そう尋ねると、桃花はニコッと笑って答えた。
「だって、今も昔も拓真さんは拓真さんですもん。それは変わりません!」
桃花は初めて会ったときに、俺のことを全て知っていると答えていた。
だから、俺がこれを成し遂げることが出来る俺が知らない要因が見えているとでもいうのだろうか。
「まあ、俺以上に俺のことを知っていそうなお前が言うならきっとそうなんだろうな」
「はい!!」
そう元気よく返事をされて、俺も自信が湧いてきた。
根拠とかはよくわかんないけどね。
食事を終え、ダラダラとした時間を過ごしたのちに、眠くなってきたので寝ることにした。
明日は土曜日で学校が休みなので、朝から練習ができる。
カラトさんには明日の朝からお願いしてあるので、それに遅刻しないようにしなければと意気込んでいると、中々寝付くことができなくて俺は、遠足前の小学生か!と自分を戒めていた。
更新頑張ります