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元魔王女の子を見つける




 1人の元魔王の少年と、あれからだいぶ落ち着いた犬の1匹はとある理由から急ぎで、村なり集落を求めて森の中を歩き続けていた。



 「おい犬、我輩そろそろお腹がすきすぎて、せな……ぐぅぅぅぅぅるるるるるー、も、もうダメだぞ……お腹が物凄い音をたてるからさらにお腹が空いてくるぞ……友達を作る前にご飯を作りたいぞ……」


 「え!? 木の実をちゃんと食べなかったり、そこら辺に生えてるキノコを食べなかったり、途中で殺した見たことの無い、燃えたボアを主が食べなかったからだよね!? あのボアは油がいい感じにのってて美味しかったなあ、もう1頭出てこないかなあ」


 「犬だけずるすぎるぞ……せめて我輩がボアの捌き方が分かっていれば」



 確かにあるにはあったぞ、木の実やキノコ……だ、だけど、だけだだぞ、あんなに酸っぱい木の実を誰が食べられるんだ……口が物凄い勢いですぼんでいくんだぞ……食べられるわけがないぞ。



 キノコはキノコで色がヤバすぎるし、絶対に食べちゃダメな、キノコなのには間違いないぞ、なんなのだあの毒々しい色したキノコは……あれを食べろとか犬は我輩を殺す気しか感じられないぞ。



 「ぐぅぅぅぅぅうううぅぐるうぅぅうぅぅぅ、お、お腹の中で爆発魔法が炸裂してるぞ……」


 「あ、主! 餌が来たよ! 前の方に少し離れてるぐらいの所!」


 「バカか犬! 食べ物が来ても我輩は捌けぬぞ!? どうやって食べるのだ! 犬は本当にバカか!? バカだろ!? バカだったぞ……」



 物凄い音をお腹からたてながら、少年が小さな声で呟きつつ項垂れていた。

 犬の言葉を聞き、ガバッと少年は顔を上げ、動物が来た所で捌けず食べられない事から犬を怒鳴りつけた。



 「あ、主……そこまで言わなくても……酷いよ……今度の餌はちゃんと裁かなくても食べられるのに」


 「なに!? ほ、本当か!? 捌かなくていい餌とは何だ!?」


 「え、えっと人間の女の子だね! 丸呑みだよ! さっきのボアに比べて、かなり小さいから大丈夫だよ!」


 「…………おい犬、どこが大丈夫なんだ? 我輩がどうやったら人間の女の子を丸呑みできると思ったんだ? あ、いや答えなくてもいい、それよりすり潰されてリリースされるか? それとも氷漬けにしてからマグマの中に転移させて解凍されるか? 好きな方を選んでいいぞ?」


 「ヒッ……じょ、じょじょ冗談だよ主!? や、やめて、お、おおおおおおお願いしますっ、ちょちょちょちょちょちょっとした犬ジョーク何だよ……!? 魔力がすごい溢れてるし目が本気の目をしてて、こ、ここここ怖いよ主……? ね、ねぇ主、ほ、本当にゆ、許して、ご、ごめ、ごめんなしゃ、ごめんなしゃい……お、お願いしましゅ、こ、殺さないで……」



 少年が怒気を放ちつつ魔力をだし威圧し、ゆったりとした口調で喋ると、犬はガタガタと体を震わせあらゆる所から水分を解放し、伏せの体勢になりつつ許しを得ようと必死に頭も下げている。



 見た目は少年でも、元とはいえ魔王は魔王。空腹により、ただでさえイライラしていて、そこで犬の笑えない冗談を言われた魔王の少年の、その圧力は計り知れず、犬は必死にひたすら少年に頭を下げ続けている。



 「はあ、仕方がないな許すぞ。我輩もごめんだぞ、犬にそんな酷いことをしたりしないから大丈夫だぞ? だから頭も体も上げてくれ」


 「ほ、ほんと……?」


 「本当だぞだから早く体を起こして、どんな女の子か教えて欲しいぞ。我輩と初めての友達になってくれるのか気になる所だな。そして友達になれたら村なりを案内してもらってご飯を買うぞ! 寧ろそこが肝心だが、犬の姿を見てその女の子は怖がったりして逃げたりしないかが不安だぞ? 折角の初めての友達候補とご飯が逃げるとか泣きたくなってくるぞ?」





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