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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第81話 竜鱗大盾

 息子と妻に両腕を取られ、やっと転移魔法の衝撃から解放されたドラクリオさんは二人にいままでのことを、説明している。これは大分時間がかかりそうなので、私は展示されている武具を見て回ることにした。剣やハルバード、鎧、盾となんでも置いているようだ。ミスリル銀を使ったショートソードもある。その中で、特に注意を引いたのが、竜の鱗を貼り合わせた盾である。あのエデンで倒した赤竜と似たドラゴンの鱗を使用している。上段・中段・下段にそれぞれ鱗を貼り合わせ、ミスリル合金で補強している。神刀のさくらや、ぼたん、あやめ以外では聖剣ぐらいしか、この鱗に太刀打ちできないように見えた。只、鱗を繋ぎとめるミスリル合金を狙えば、通常の剣や槍で、盾から鱗を除去できるように思える。ドラクリオさんは家族への説明が終わったようで、盾に見入っている私の傍に来て、

 「この盾のために、オリハルコン鋼が欲しかったんじゃ。見ても解るように、折角のドラゴンの鱗が死んでしまっている。とても売り物には成らん。ミスリルでは、ドラゴンの鱗の持つ魔力に負けてしまうのが、原因じゃ。そこでオリハルコンを使うことを思いついたが、ニューセルムにそんな希少金属は無かった。で、竜王国のモンクを思い出して一年前に旅立ったんじゃ。半年かけて竜王国に辿り着き、モンクを探し当て、一緒にオグリ山に連れて行ってもらったんじゃ。それ以降のことはアリアナ様もご存知の通りですじゃ。」と打ち明けられた。

 「この成竜の鱗はどうしたんですか?よく手に入りましたね。」

 と聞くと、

 「あんたの母上『白銀のブリザード』が、魔樹海から出てきたSランクモンスターの、ギガホーンを討伐した時に儂は思いついたんじゃ。ギガホーンが北方の平原に侵入してきた経路に逸れドラゴンが住み着いていた谷が有ったことを。それで急いで弟子たちと、その谷に行ってみたんじゃ。そしたら、やはりそこで、ギガホーンとドラゴンが戦った跡をみつけたじゃ。ドラゴンの死体は無かったから、追い払われたようじゃが、この赤い鱗が5枚落ちておった。ギガホーンの突進を受けた時に剥がれたようじゃな。儂らは、付近を隈なく探したが、残っていたのは、この5枚の鱗だけじゃった。2枚の鱗は、1枚ずつ使用して片手盾を作ってみたが、ミスリルに馴染んで問題なかったんじゃが、3枚使用するとミスリルでは駄目じゃった。」

 やっぱり赤竜の鱗に間違いないと私は確信した。Sランクの魔獣には赤竜の意識支配は通用しなかったようだ。しかし、この盾が、オリハルコンを使用することで、どうなるか見てみたくなった。聖盾を作るには、竜王様の鱗を使用しなければならない以上、ドラクリオさんがこの赤竜の盾を完成させる様子を見ていたいとお願いする。

 「いや、儂も本当は、この盾を仕上げたいのはやまやまですが、アリアナ様に頂くオリハルコン鋼は、先に大公さまの剣を作る約束でしたじゃ。」

 「いいの、いいの、おじいちゃんの剣はいらないから、盾の方を完成させちゃってよ。私はそっちの方が見てみたいもの。」と説得する。

 「では、早速、鍛冶場の方へご案内します。そこへオリハルコンを出していただけますか?」というので、「うん、そうしよう。」と赤竜の盾を担いだドラクリオさんについて行く。途中、ママに少し遅れるけど、夕方までに帰ると思念で連絡を入れておいた。鍛冶場は、結構広い立派なもので、4人の弟子が息子さんと作業中であった。私は一番奥の炉の前に案内されたので、そこに、1個10キロに小分けしてオリハルコン鋼のインゴットを、50個積み上げた。あげるのは100キロと話していたので、その量に驚いたドラクリオさんは、

 「量が多すぎます。儂は10個頂ければ充分ですが、」と言ってきた。

 「いいの、貴方のつくる盾を見る勉強の代金に40個おまけします。」と言うと、

 「本当にいいんですか?この10キロのインゴットが市場価格でいくらするか、ご存知ですか?金の3倍の価格でも買えない希少金属ですよ。」と正直にうちあける。

 「解ってます。そんな事より、早く赤竜の鱗の盾を完成させて下さい。」と仕事を急かした。

 ドラクリオさんは、まだ何か言いたそうであったが、すぐに目の前の炉に火炎石を投入して火を入れた。オリハルコンは、鉄のような金属と異なり、石炭等の火力では加熱できないため、特別の炉が必要となる。ドラクリオさんは旅に出る前に、オリハルコン用の炉を制作してあり、燃料となる火炎石も用意していたのだ。炉の中の炎の色が、赤からオレンジ色に、それから白に変化してもまだ、オリハルコンを投入しない。ようやく白い炎が透明に変って2個のインゴットを投入した。次に盾型に3枚の赤竜の鱗を真中、上側、下側の順に少し重ねて並べていく。何時ミスリル合金の枠から取り外したのか気付かなかった。2個のインゴットの色が炎と同じ透明に成ったら直ぐに取り出し、盾型に並べハンマーで伸ばしていく。畳一枚ぐらいの盾型一杯に打ち伸ばすと、また2個のインゴットを炉に投入する。同じ作業をもう一回行って、炉の火を消す。どうやら完成したらしい。赤竜の鱗を三層構造のオリハルコンで保持する見たことも無い盾が出来上がった。赤竜の3枚の鱗の魔力を3層のオリハルコンが吸収して、盾全体に衝撃防御の魔法効果を纏っている。思わず鑑定して見ると、


竜鱗大盾:ドラクリオ作

原材料 :赤竜鱗&オリハルコン鋼

レベル :伝説級

能力  :受けた物理衝撃を9割軽減、魔法衝撃を9割無効化

     重量5割軽減化

価格  :国宝クラスにつき未設定




 


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