第78話 本鉱脈発見
季節の変わり目に、温度差に順応できず、
熱を出してダウンしてしまいました。
完全復調にはもう少しかかりそうです。
ごめんなさい。来週は、頑張ります。
坑道の中に入っていく。先頭は、探索能力のある私が、検知魔法と、サーチを併用しながら進んでいく。ママが私の後ろを歩き、キャスルさんを挟んでクロシアとシロエがついてくる。1キロ程、坑道を進んで、検知では解らなかった気配をサーチで捕らえる。オリハルコンの鉱脈は、あと200m程行ったところだが、その赤いサーチ上の表示は、その辺に集中している。魔物に間違いないが、今まで見たものと、合致するものが無いので、初めての魔物であることは間違いない。
「ママ、前方200mに十数匹の魔物の気配が有るよ。Cランクくらいの魔物だと思うんだけど、どうしよう?」
「任せなさい、シロエ一緒においで。」嬉々として、ママがシロエと先頭に立ち、魔物に突っ込んでいく。
私はやばいと思い、キャスルさんとクロシアを止めて、物理障壁を張り、ゆっくり後に続く。一瞬にして、私の張った物理障壁が凍りつく。
「お姉ちゃん、偉い!」クロシアに褒められた。
キャスルさんは、現状が理解出来ていないようだ。ママとシロエが一緒に行った以上、氷結魔法が可能性として一番高いと判断したが、雅か、こんな坑道で、氷結ブリザードをぶちかますことは無いだろうと思っていた私が甘かった。念の為張った物理障壁が無かったら、私たちも氷漬けにされていた。あの二人に常識を求めた私が間違っていたのか、無性に腹立たしいのは何故か、流石にこれは、一言文句を言わなければいけないと思いながら、進んで行くと、ママとシロエが、氷漬けにしたグランドアント18匹の首を嬉々として刀で切り落としている姿が目に飛び込んできた。完全な不意打ちの氷結ブリザードのようで、Cランクモンスターグランドアントは何も出来ずに氷漬けになったようだ。ママとシロエは、いそいそと、獲物袋にグランドアントを回収していく。
その二人に近付き、
「こんな坑道の中で、広範囲魔法の氷結ブリザードを使うのはどうかと思いますが、ママとシロエさんは、いかが、お考えですか?」と、嫌味を込めて聞いてみると、
「ごめんごめん、シロエちゃんたら、いつの間にか氷結ブリザードを完璧にマスターしちゃってたんだもの、ついダブルでやっちゃった。アリアナが居るから大丈夫だったでしょ。」と、全く反省していない。
溜息をついて、前方を確認すると、有りました、オリハルコンの鉱脈です。
「ママ、有ったよ。この右側の10m奥にオリハルコンの本命の鉱脈が走ってるよ。」
「ええ、ちょっと待って。鉱脈は、この坑道の先じゃなかったの?」とママが聞き返す。
「元々、細くて純度の低い鉱脈が地表に出てたのでしょうね。それを、掘り進んでいたのが、この坑道なの。でもこのオグリ山の本当のオリハルコン鉱脈は、この坑道の丁度ここら辺から右側10mのところに高純度の鉱脈が有るの。元の鉱脈の先にあるのは、残り1万tぐらいだけど、この右側を走る新しい鉱脈は、100万t以上手付かずで残っているから、しかも、凄い高純度のオリハルコン鉱脈だから、製錬する手間も掛からないものよ。」説明しながら、右側の壁に土魔法で新しい坑道を掘り進めて行くと、すぐに鉱脈に突き当たる。
「何これ、全面オリハルコンの鉱石じゃないの、こんな鉱脈見た事ないわよ。すごいもの貰ったのねアリアナ」ママが、見たことも無いような笑顔で、私に話しかけてくる。
「うん、殆ど混ざり物が無いから、魔法製錬も一瞬で済むと思うよ。ちょっと採掘、製錬してみるね。」私は魔法で採掘製錬をして、1tのインゴットを作ってみる。殆ど不純物は出てこないが、1tのインゴットを作って、10キロ程度だったので、通路に仮置きしながら、掘り進む。出来上がったインゴットを異空間収納に収めながら、掘り進んで行くと、僅か1時間程度でオリハルコンのインゴットを100個も作成できた。振り向くと、掘削しながら通路に仮置きしてきた不純物にママとキャスルさんが目を皿のようにして何か探している。
「二人とも、どうしたの?何を探してるのよ?」と聞くと、両手を広げて見せてくれる。
「オリハルコンの鉱脈の中には、いろんな宝石が混ざっているって、友達のドワーフに聞いた事があったの。で、あんたが製錬した後の不純物を調べたら、出るわ出るわ、ダイヤにルビー、エメラルドにサファイアと全部見た事も無いような大きさの原石なの。あ!、警戒は、クロシアとシロエにさせてるから、心配いらないよ。あんたも、もうオリハルコンは充分掘れたんでしょ。その不純物の中味を確認しなさい。私とキャスルさんじゃまだ、3分の一も確認できてないから、あんたは、そっちから調べて来て。」と何時の間にか、目的物が変更されていた。私も対象をオリハルコンに限定して検知していたので、それ以外は不純物に判断されるのが当然だった。しょうがないので、宝石全般を対象にして、通路に撒いてきた不純物を魔法で篩にかけていくと、確かに出るわ、出るわ、20キロコンテナ5杯分の宝石の原石が含まれていた。それを見たママとキャスルさんは、すぐに飛んできて、その中を引っ掻き回している。気に入ったものを見つけるまで、二人は動かないと判断して、後方で警戒に当たっているクロシアとシロエの傍に行き、エデンで買い込んでいたイカの串焼きを3人で食べながら、宝石に魂を奪われた女たちの姿を眺めていた。




