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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第76話 神聖槍

 驚いた表情の竜王マーロンは、私の顔を見て、「アリアナ殿、竜神タウルス様の

 願いを聞き届けていただき、ありがとうございます。すぐに、鍛冶場にご案内し

 ます。今、竜神様より啓示が有り、アリアナ様が竜王国を守護する聖槍を作って

 いただけると解りました。他の皆様には、私の部屋でお茶を飲んで寛いでいて下

 さい。私は、アリアナ様を鍛冶場に案内するように仰せつかりました。では、ア

 クア、皆様を私の部屋に案内してくれ。アリアナ様、私がご案内いたします。ど

 うぞ、此方え。」竜王様の後について行く私を、呆れたように見つめるママの視

 線を受けながら、私は「ママ、オリハルコンお礼にくれるそうよ。」と言うと、

 途端に目の色を変え、「アリアナ、頑張って。」と応援してくれる。手を上げて

 答え、竜王様についていった。


 竜王城の鍛冶場は、結構な広さがあり、数人のドワーフが取り仕切って剣や槍を

打っていた。殆ど人間用のサイズと変わらない武器を作っているので、全て竜人族

用の武器なのだろうと思えた。そのことを竜王さまに聞くと、ドラゴンは普通ブレ

スや魔法で戦い、自分の爪や角と牙が武器であるから、剣や槍は使わないとの答え

であった。しかし、竜神様は、竜王さま用の聖槍を作ってくれと言ったので、その

ことを言うと、竜王さま自身も驚き、首を傾げたが、何かを悟ったようで、さらに

奥の部屋に案内された。そして、そこには、竜神様の言っていた先代と先々代の竜

王の角と、2t以上は有ろうオリハリコンの塊が、用意されていた。

 「竜王様、お願いがあるんですが、竜王様の本当のお姿を見せて頂けませんか?」

 と私が言うと、「良いですよ。」とあっさり承諾してくれた。すぐに竜体に戻っ

 て見せてくれた。虹色に輝く鱗に覆われたクリスタルドラゴンの姿は、芸術品の

 美しさと、溢れる魔力の力強さを併せ持つ、生きているアートそのものであった。

 「ありがとうございます。それでは、これから作らせていただきます。」私は、

 ひと言礼をいって、一本の角と500キロのオリハルコンを魔力で包み込み鍛冶

 魔法で錬成する。イメージは竜体の竜王の戦いの姿で創造する。鍛冶魔法により

 高温に熱せられ、圧縮と冷却を繰り返し、最後に黄金の光に包まれて、その光が

 消えたとき、空中に一本の虹色の穂先を持つ黄金の槍が浮かんでいた。擬人化し

 て、私の作業を見ていた竜王の手にその槍がゆっくりと収まった。500キロの

 オリハルコンと、先代竜王の巨大な角を全て使った筈なのに、180cm程の長

 さの普通サイズの槍である。しかし、竜王の手に収まった槍は生きていた。恐る

 恐る鑑定してみる。


竜王角槍:大魔道師アリアナ作

銘  :ヤスカ

レベル:神聖槍

使用者:竜王限定

価格 :設定不可

能力 :自動サイズ調整機能、自動修復機能、魔力増幅機能(10倍)


 あちゃー、またやってしまったみたいだ。しかし、竜王様の顔は、驚きと喜びに

溢れているので、結果オーライにしておこうと、次の竜人族の勇者用の製作に取り

かかる。しかし、竜人族の勇者のイメージが解らない。慌てて竜神タウルスに呼び

かける。「タウルス様、竜人族の勇者に会わないことには、戦うイメージが湧きま

 せん。どの様な方なのか、教えて下さい。」と、思念で問いかけると、すぐに、

 私の視界が、山岳地帯地帯で戦う、一人の青年を捕らえた。「この男が、竜人族

 を纏め、竜人達の国を作る男じゃ。まだ、啓示されておらんから、魔力も、力も

 微々たるものじゃが、勇者の啓示を受ければ、竜王に匹敵する力を得る筈じゃ。

 勿論、竜体化もできる様になるので、竜王の槍と同等の聖槍を作ってやってくれ

 ぬか?」頭の中にタウルスの言葉が届く。その青年をじっと見つめ竜体化した姿

 をイメージすることができたので、「解りました。やってみます。」と答え、再

 度、先々代竜王の角と、オリハルコンの塊に鍛冶魔法を施す。しかし、出来た槍

 は、同様に180cm程の長さだが、穂先が漆黒の黄金の槍であった。あれ、失

 敗したのかと心配になり、鑑定してみると、


竜王角槍:大魔道師アリアナ作

銘  :オーラン

レベル:神聖槍

使用者:竜人の勇者限定

価格 :設定不可

能力 :自動サイズ調整機能、自動修復機能、魔力増幅機能(10倍)


 能力も力も同等の神聖槍だった。「ねえ、オーランあなた何故穂先の色が黒いの

 よ?」と直接聞いてみると、「これは、創造主さま、色はどの様にも変えられま

 す。ヤスカと同じだと、見分けが付かなくなって終いますので、我が主となる勇

 者が手にするまで、色を落として能力を隠しておきます。ご心配にはおよびませ

 ん。」と、慰められてしまった。私はオーランを手にまだ、ヤスカを手に惚けて

 いる竜王マーロン様の元に歩いて行った。ようやく我に返った竜王様にオーラン

 を差し出し、

 「この槍は、竜人族の勇者が現れたとき、竜王陛下が、授ける神聖槍です。その

 竜王様の神聖槍ヤスカと同等の力と意思を持っています。本物の勇者が手に持っ

 たときに、はじめて穂先が虹色に変化し、隠している能力が現れるでしょう。ど

 うか竜王陛下が保管して下さい。これは、竜神タウルス様の意思です。」と言っ

 てオーランを手渡した。

 「大魔道師アリアナ様、神聖槍ヤスカを私に授けて頂いたことに、感謝いたしま

 す。この槍が有れば、竜王国内に悪魔が侵入する事は不可能だと解りました。私

 は、我が民を、悪魔の生け贄に取られずにすむことが、何よりも嬉しく思います。

  しかも、この槍は、私が竜体に戻ったら、竜体用のサイズに変化し、擬人化し

 た場合は、この人間用サイズに戻るそうですね。尚且つ、私の魔力を10倍に増

 幅するでは有りませんか。たとえ魔樹海からSSランクの魔物が侵入してきても、

 私一人で対応出来そうです。ああ、すいません。あまりの嬉しさにアリアナ様に

 は、すべてご存知のことでした。解りました。確かに、神聖槍オーランは、責任

 を持って、お預かりいたします。それで、お礼の方は、オリハルコン鋼だけで宜

 しいのですか?この城の保管庫には現在10tのオリハルコンしか有りません。

 この竜王都から南に210キロのところにオグリ山があり、そこが我らのオリハ

 ルコン鉱山であるが、その山を礼にしたい。鉱山技師の話では、埋蔵量は、1万

 t以上あると聞いて居る。このマースで最大のオリハルコン鉱山じゃが、どうか

 な?満足してくれるかな?」と言われ、「勿論、結構ですが、余りに高額な報酬

 ですが、宜しいのですか?」と聞くと、「はは、この2本の槍の対価としては、

 まだ安いくらいじゃ。しかも、オグリ山は魔物も多く、なかなか採掘に苦労する

 山でな、そなた達には動作もない相手でも、竜人族には命がけの採掘になって終

 うのじゃ。私は、オリハルコンのために民の命が失われるのは、我慢出来ない。

 それなら、いっその事、オグリ山をアリアナ殿に譲った方が民を失わずにすむと

 考えただけです。」と、内幕まで披露してくれた。「解りました。それでは遠慮

 無くオグリ山を頂きます。」あはあ、オリハルコンの鉱山主になっちゃった。


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