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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第75話 竜神タウルス

 昼食を済ませると、直ぐに青竜アクア様が迎えに来られた。全員宿泊施設のロビ

ーに集合していたので、待たせることもなく、竜駕籠に乗り込み竜王城に向かう。

 城と言っても岩山にしか見えないので、どうやって入るのかと思っていたら、何

のことはない。中腹まで飛んで駕籠のまま入城である。そこで駕籠を降り、擬人化

したドラゴンに守られた扉を通り岩山の中に入ることができた。驚いた、中は、大

理石の敷き詰められた床に円柱の、まるで中世の城の中と同じだった。アクア様の

後ろについて行くと、謁見の間に案内される。一段高い場所に置かれた王座に座っ

て居るのが、竜王様だろう。虹色の髪と、水色の瞳が私たちを出迎えてくれた。

 「さあ、もっと近くに来て下さい。私が、当代の竜王マーロンです。ここには、

 私の側近の4将軍しか居ませんので、礼儀や作法は、お気になさらず、さあ、も

 っと近くに来て下さい。」

 「これは、ありがとうございます。私は、この子たちの母親のマリア・クミロワ

 です。今回、娘たちの付き添いです。先ずは、エデン王国のお二人、風刃の魔女

 キャスルさんと、近衛隊長のオグリオ・ロカ氏をご紹介しますね。」

 「竜王陛下、今回はお招きありがとうございます。」とキャスルさんとオグリオ

 氏がお礼を言う。

 「いやいや、良く来て下さった。礼を言うのは私の方だ。今回、無理を承知で、

 赤竜の遺体を引き渡して貰った。しかも一切剥ぎ取りもされていない状態で返し

 て頂いた。謀反人とは言え、我が眷属であった者ゆえ、有難い。重ねて礼を言い

 たい。キャスル殿、オグリオ殿それから3人のお嬢さん方、本当にありがとう。」

 「いえ、竜王陛下、私たちは、そこの白銀のブリザード様のお嬢様方の補助的な

 働きしかしておりません。誤解のないように言っておきますが、今回の討伐の指

 揮は、そこのアリアナ様が執りオグリオ氏や私は実戦部隊のシロエ様とクロシア

 様の援護を勤めただけです。」あちゃあ、言わなくても良い事を言ってくれちゃ

 ったよと思ったら、「あまりご謙遜されませんように、5人でチームを組まれて

 調査中の討伐と伺っています。」と竜王様が言ってくれたので、ホッとしたが、

 「そうよ、娘たちだけだったら、細切れの死体しか残らなかったかもしれなくて

 よ。手加減することを、まだ教えてないもんね。」なんてことを、ママが言い出

 す。「それはそうと、竜王様、そちらにおられる方たちをご紹介戴けますか?」

 と、ママがニコニコしながら催促する。

 「おお、そうじゃ、そこに居る青竜アクアは既に自己紹介済みだろうが、この者

 は、白竜フロフトじゃ、西南方面軍将軍を務めておる。その右手が、紅竜オーラ

 魔族界方面軍将軍じゃ。最後に北方面軍将軍の黒竜ガルゴラじゃ。そうそう、白

 銀のブリザード殿は、既に面識があったかの。」と紹介された。気持ち悪い微笑

 みを浮かべたママが、黒竜ガルゴラを見詰めて、「ガルゴラちゃん、霜焼けは治

 ったの、あんまりオイタしちゃダメよ。あたしの可愛い娘たちに手出しするんだ

 ったら、今度は霜焼け程度じゃ済まないわよ。」と、瞬間に黒竜の傍に移動して

 頬を撫ぜながら囁いている。でも、皆に聞こえてるよママに注意する気にもなれ

 ない。早速、喧嘩を売る付き添いってどうよと思いながら、まあ、完全にビビっ

 てしまった黒竜を見ると、かわいそうにさえ見えた。

 「白銀のブリザード殿、もう、その辺で勘弁してやってくれ。そやつもつい先頃

 まで、元の魔族界方面軍将軍の職を解かれ謹慎しておったのじゃ。じゃが、そな

 たの娘たちの実力には私も興味が湧いてきた。特にアリアナ譲がこの謁見の間に

 入ってこられてから、ずっと6人を守るように張っている防護障壁は、神の技に

 等しいものがあるからのう。」あちゃ見破られてたのかよ。「すみません。竜王

 様には、見破られてしまいましたか。今まで誰も気付かなかったので、癖になっ

 ていました。竜王様を信用していなかった訳ではございませんので、ご容赦下さ

 い。」と素直に謝って防護障壁を解除する。4人の将軍たちは、気付いていなか

 ったようで、全員、目を見張っていた。序でに、私の魔力も1%まで隠蔽してい

 たのを5%に上げて、竜王様の発している魔力と同等にしておく。シロエとクロ

 シアの魔力は元々、竜王様と同程度なので、魔力隠蔽を解除した。一度に膨れ上

 がった私たちの魔力に、4将軍は、身体を強張らせ、キャスルさんまで驚いてい

 る。「ははは、この3人相手では、我も敵わぬな。竜王軍全軍で戦わなくては、

 一瞬で、竜王国を滅ぼされる程の力じゃな。クミロワ大公国は、3人のSランク

 ハンターだけでなく、こんな後継者まで持っていたのか。竜神さまが、直接啓示

 してまで、竜王国へ呼ぶように言った意味がやっと理解できました。」

 今、竜王さま、変なこと言ってたよ、竜神さまの啓示って何よ。と私が考え込ん

だ途端、私の意識は、白い部屋の中に入っていた。

 「ようこそ、女神アリアの娘よ。儂が竜神タウルスじゃ。そなたに世界樹セーラ

 同様、この竜王国を守る聖槍を作ってもらいたいのじゃ。しかも、2本もな。1

 本は、現竜王マーロンが竜王国を守るために、もう1本は、竜人族より生まれる

 勇者に授けるためにじゃ。ここに、今は亡き先代竜王と先先代竜王の角が有る。

 これと、オリハルコンを使い聖槍を作ってほしいのじゃが、頼めるかの? 礼に

 竜王の角は渡せぬが、竜王国に有るオリハルコンを好きなだけ持って行くがよい。

 竜王には儂から啓示しておく。勿論、竜人族の勇者に授けるのは、竜王にさせる

 ので、そなたが保管する必要はない。この角は竜王の血を持たぬものが、長時間

 所持すると、竜血に侵される可能性があるでのう。そなたは大丈夫だとは思うが

 念のため、竜王に保管させようと思う。」「はああ、やっぱりそんな事だと思っ

 た。只の観光に呼んでくれる筈ないよね。いいわ、何時作ればいいの?」と私が

 聞くと、「これから、竜王にそなたを、竜王城の鍛冶場に案内させる。そこに材

 料は揃えさせて置く。」すぐに意識が謁見の間に戻る。時間は一瞬だったようで、

 私と竜王以外、何事も無かったように会話を続けていた。

 

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