第61話 謝罪
雨で稲刈りが出来なかった。
乾くまで、動けない
火曜日に投稿する予定だったけど、
今日投稿しちゃいます。
今日はいろいろやり過ぎた。まず朝一に世界樹セーラと会い、女王の神聖杖を作
成し、モニカさんの喫茶店でちょっと休んでから、今度はハンターギルドご注文の
冷蔵・冷凍保管庫を建造した。お昼が遅くなったので、ギルドの裏の空き地でバー
ベキューして昼食を済ませ、ギルドマスターの部屋でキャスルさんとキーマさん用
に2本の聖杖クラスの最上級魔杖を作ってしまった。もう充分お仕事はしたし、お
金もたっぷりあるので、後は買い物でもしようと考え、セフィールさんの店に向か
っている。そして、セフィールさんの店に一歩入って、後悔に苛まれる。なんでま
たアンタが居るのよと。私たちの姿をめざとく見つけたあの方が寄って来られた。
「これは、アリアナ様。ようやくお会い出来ました。先日は、魔弓欲しさに周り
を配慮する事もせず己の要望を皆様に強要しようとしてしまいました。本当に申
し訳ございませんでした。その日にすぐにアリアナ様が宿泊されている施設に出
向いてお詫びしなければならないのですが、エデン女王さまや、お父上との会議
に多忙を極めまして大変遅くなってしまいました。今日突然、女王様に急用がで
きたとの事で、お昼から会議が中止になり、若しかしたらここに来ればアリアナ
様にお会い出来るかと思い、お待ちしておりました。謝罪がこのように遅くなっ
てしまったことも、併せてお詫び致します。」と、先に見事に謝られてしまった。
焦った私は、半分逃げだそうとしていた身体を硬直させ、
「いえ、私の方こそ、会話に割り込まれた位で、怒りに興奮してしまい、貴方様
や、お付きの騎士様がたに危害を加えそうに成りました。本当に御免なさい。刃
物を先に抜いてしまった私たちの方にこそ咎が有り、先に謝罪しなければならな
いのは私たちです。本当に御免なさい。」「御免なさい。」揃ってクロシアとシ
ロエも謝ってくれた。
「咎などと、とんでもない。剣を帯びた3人の男に対して当然な対応です。それ
に貴女方は、誰も傷つけては居ません。お詫びするのは私の方です。」
「いえ、それはヤスイヤ商会の・・」「いい加減に店の入り口で御免なさい、御
免なさいって言い合ってないでくれる。お客が入ってこれないでしょ。」と、セ
フィールさんに二人とも叱られる。顔を見合わせ吹きだしてしまった。
「さあさあ、中に入ってお茶でも飲んでよ。」と言われ、全員で奥の応接間に案
内される。ようやく落ち着いて、ピエル王子の顔を見てると、何かとんでもない
ことを、忘れているような気がした。何かとても大事なことを聞いた筈だが、何だ
ったのか思い出せないで、考え込んでいると、私がまだ納得していないのかと思っ
たのか、ピエル王子が、「まだ何かお気に障ることが有りますか?」と聞いて来た
ので、「いいえ、違います。私、ピエル王子様の何か重要なことを、誰かに聞いた
のですが、それが何だったか思い出せなくて考え込んでしまいました。すみませ
ん。」と答える。聞いていたセフィールさんが、
「あんた達は、御免なさい、すみません。ばかりだね。もっと楽しい話題は他に
無いのかい。」と呆れられた。それからは、父イルシャの印象とか、ミューシャ
女王のフランク感溢れる会話とかとりとめも無い話題に花をさかせ、お互い宿泊施
設に帰ることになった。偶然とはいえ、父イルシャの耳に入る前に謝罪出来たのは
幸運だったと思う。
宿泊施設に帰り着くと、父イルシャが所在なげにソファーに寝そべっていた。
「パパ、今日は早かったのね、何かあったの?」と、白々しく聞いてみる。
「ああ、アリアナ、クロシア、シロエ、お帰り。はっきりした事は解らないんだ
けど、今日、突然お昼前にミューシャ女王の元に、オグリオ隊長と、モニカ護衛
隊長が飛びこんできて、女王に何か耳打ちしたんだ。そしたら急遽お昼からの会
議が中止になってしまったんだ。お前達こそ、朝からオグリオ隊長と一緒に世界
樹見学に行ってたんだろ、オグリオ隊長が女王の元に飛んで帰らなきゃならない
ような出来事は無かったのか?」と、聞いてきたので、
「モニカさんのお店でケーキと紅茶を頂いていたら、オグリオ隊長とモニカさん
が、お城に急用ができたと言って出て行ったんだよ。」と答える。
「そうか、何があったんだろうな? 明日の会議も午前中は中止と言っていたし
魔物のスタンピードぐらいなら、俺たちも手伝うんだがなあ。」と呟く。
「それはそうと、パパ達の会議っていつまであるの?」と私が聞くと、
「うん、世界樹祭までだから、後4日だな。」と教えてくれた。
「じゃあ、世界樹祭には一緒に出席できるの?」と聞くと、「勿論だよ」と返事
された。だったら、ピエル王子たちも一緒に出席するかも知れない。今日、謝罪
出来て良かったと思うのであった。




