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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第57話 世界樹セーラ

 ギルドでたっぷりお金を稼いだ私たちは、すこし早いが宿泊施設に帰り着いた。

 まだ、父イルシャは城から帰って来ていなかった。3人でまず、お風呂に入り疲

れを取る。ソファーに寝そべり、異空間収納からイカ焼きを出して、3人で食べな

がら、父イルシャの帰りを待つ。30分位待っていたら、疲れ切った父が帰ってき

た。「おかえりなさい、パパ 随分疲れているけど、何かあったの。」と聞くと、

 「いや、魔物相手の方がパパには向いてるんだ。政治的な話し合いは、ママの方

 が得意なんだけど、今はママが居ないから、仕方ないんだけどね。でも、人間界

 にも、真ともな奴がいることは解ったぞ。カムール王国のピエル王子ってのに会

 ったが、面白い奴だぞ。お前たちにも、そのうち紹介する。腕はまだまだ、ひよ

 っこだが、性根は座っている。あんな人間もいるんだと、見直したぐらいだ。只、

 18才ということで、お前たちとは少し歳が離れているから、遊び相手には出来

 ないと思うがな。」と疲れた割りには結構雄弁に話てくれる。

 反対に、クロシアとシロエは頷いて聞いているだけだが、私は、ピエル王子の名

前が出たときから、気が気では無くなっていた。一瞬の怒りに任せて思わず殺しか

けた相手の名である。まだ、謝罪できていない。何であの時、あんなに怒りが湧い

たのか、後から考えれば不思議でならない。黄金の女神アリア様も言っていたが、

謝罪のチャンスは来るんだし、紹介された時に誠心誠意謝罪するしかないと覚悟す

る。只、今パパからピエル王子の名を聞いたとき、何か重要なことを忘れている様

な気がした。女神アリア様がなにげに言った言葉がなんだったか思い出せない。ま

あいいかと今は無視する。私が考え込んでいたので、心配したパパが、

 「アリアナ、どうかしたのか? 今日は議会のオグリオさんの親父だという長老

 に会って来たんだろう。何か嫌なことでも言われたのか? 何ならパパが長老評

 議会にいつでも乗り込んで取っちめてやるぞ。」というので、慌てて

 「何も無いから、心配しないの。私たち世界樹祭への出席まで、一週間の余裕が

 できたんで、オグリオさん付き添いなら、ハンターギルドの依頼受けてもいいよ

 ね。パパは大公国の特使だから会議が続くんでしょ。本当は、パパと一緒に依頼

 受けたいんだけど、特使のお仕事の方が大事だし、危ないまねはしないから、い

 いかな?」心にもない、おべんちゃらを言って父の了解を取ろうとする。

 「ああ、パパもそっちの方に行きたいんだが、女王や閣僚たちが離してくれんの

 だ。オグリオさんに頼んどくから、お前たちも、無理な依頼は絶対受けるなよ。」

 と言って、了承する。ちょろい。

 その後4人でレストルームにおもむき、夕食を取ってそれぞれの寝室に戻った。


 眠りについて、しばらくすると、また真っ白な部屋にいた。

 「鈴も鳴らしてないのに、また何で呼ばれるんですか?」と、女神アリアに文句

 を言おうとしたら、ちょっと、様子が違うのに気が付いて言葉につまる。何故か

 解らないが、光の白に包まれたアリアの領域ではないことが本能的に感じられた。

 薄い緑の影が、嬉しそうに私の周りに集まってくる。敵意や害意は感じられず、

まるで一緒に遊んでと纏いつく幼児のようだ。

 「あなたたち、だめでしょ、お客様が戸惑っておられるじゃないの。さあ、世界

 樹の中に戻っていなさい。」と声が聞こえたので、その方を見ると、薄緑のドレ

スを纏った、黒く長い髪の女性がこちらに浮かんだまま移動してきた。目は私と同

じエメラルドグリーンだが、肌はアリア様同様に真白で、大人の女性と言うよりも

私、女子大生ですと自己紹介されるぐらいの若々しい雰囲気である。その女性が、

 「随分まえにエデンに着いたのに、いつまで待っても、私の元に来て下さらない

 から、今日は私の方から出向いてまいりました。私はこのエデンを守護する世界

 樹のセーラと申します。アリアナ様が、このマースにお生まれになった時から、

 お会い出来るのを楽しみにしていました。今回、私を奉る世界樹祭にあなたをお

 招きするように巫女たちに命じたのは、あなたに直接お会いして、願いを叶えて

 頂きたかったのです。」と言うので、慌てて、

 「私に神様のお願いなんて、叶えられるとは、思いませんが、何かお間違いじゃ

 ないですか?」と、反論すると、別の声が、

 「そうです。アリアナにそんな義務はありません。アリアナは私の後継者として

 このマースに生まれたのです。ゆくゆくは、黄金の光の女神を引き継ぐための勉

 強中ですから、セーラの頼みを聞き届ける義務なんて、有る筈がないのです。」

 黄金の光の女神アリアが、出現していた。神様同士なのに仲が悪いのかななんて

考えに気を取られていると、セーラ様が、

 「世界の浄化を司る女神の言葉とも思えません。マースに生まれる悪意の塊であ

 る悪魔に全てを委ねた魔王が生まれるのですよ。その害悪を排除するためには、

 勇者たちの誕生が必須うです。今このマースにおいて、その勇者たちに力を授け

 る聖剣や聖杖を誕生させることができるのは、アリアナ様だけです。私の枝をア

 リアナ様に授けて、勇者が生まれ求めたときに、そのものに最適な聖杖を作り、

 授けていただきたいと願うのはわたくしの驕りでしょうか」このままでは、神様

 同士喧嘩になりそうとおもったので、二人の間に入り

 「子供の前で、神様同士の言い合いは、教育上よろしくないとおもいますよ。そ

 れに、アリア様、私は今日は鈴を鳴らしていません。強引にセーラ様に招かれた

 のも事実ですが、そこにアリア様が割り込むのは、如何かかと思いますが、どう

 でしょうか? セーラ様の頼みをまず聞き、それにどう答えるかは、私が判断す

 ることでしょう。お二人ともこれからどうされますか?」と聞くと、二人の神様

 は顔を赤くして恥ずかしそうに眼を逸らした。「アリアナ様、今日はわたくし帰

 ります。突然の介入お許しください。」と女神アリアが姿を消す。セーラ様への

 お詫びがないのは戴けないが、もう一方はどうするのかなとセーラ様を見ると、

 「お見苦しいところを見せてしまいました。お許しください。先程、興奮してア

 リアに言ってしまいましたが、今回、世界樹祭にお招きした訳は、わたくし世界

 樹の枝をお譲りして、一度、聖杖を作って頂きたかったのです。来る時に勇者が

 あなたさまを探し当て、聖剣と聖杖を求めた時、応えられるか確認したかったの

 です。」「いいよ、面白そうだから作って見るよ。でも、聖剣は、神剣に成っち

 ゃうかもしれないよ。素材によるけどね。」と答えると、

 「おお、作って頂けますか。では、明日にでも、世界樹の元においで下さい。巫

 女たちには、啓示しておきますので、夢でセーラに呼ばれたと言って頂ければ、

 私の空間に誘います。宜しくお願いいたします。」セーラの言葉が消えるとその

 白い世界も消えてしまい私は眠りついたようだ。

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