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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第55話 アリアナ越後屋になる

 ギルドマスターの部屋に戻った6人は、一旦ソファーに座り、キャスルさんが、

皆に紅茶を出してくれた。ホッとする。キーマさんとキャスルさんが、冷蔵・冷凍

保管庫の建造について、聞きたいことがあるようなので、待っていると、

 「アリアナ様、あの冷蔵・冷凍保管庫はどの位お支払したらよろしいのでしょう

 か? 今まであの様な設備は、見たことも有りませんので、お支払する対価が解

 りません。しかし、あの設備がハンターギルドにもあれば、買い取り素材の販売

 にも非常に有効かと思いまして、出来ましたらエルナ村の物の3倍くらいの保管

 庫を造っていただけないかと考えまして価格を知りたいのですが?」と言うので、

 「あれ、ここにも低温倉庫が有りましたよね。オーガの肉の引き取りの時に中に

 入ったんですが?」と私が聞き返すと、

 「あれは、魔法で作った氷を、部屋の天井にぶら下げた樽にいれて部屋の温度を

 下げているだけです。頻繁に溶けた氷を再氷結させるために魔法使いが氷結魔法

 をかけにはいらなければなりません。」その説明を聞いて、まだこの世界にはク

 ーラーに替る魔道具が無かったことに気がついた。またやってしまったのかな

 「そうなんですか?ニューセルムでは普通に使っていたので、まだこちらには普

 及してなかったんですね。」と誤魔化しておいて、

 「エルナ村の冷蔵・冷凍保管庫は、私が勝手に造ったものですから、代金は必要

 ありません。ですが、ここに3倍の容量の冷蔵・冷凍保管庫を造るとなると、金

 貨1,000枚は支払って頂きたいと思いますが、如何ですか?」日本円に換算

 して1億円だ。すぐには決められないだろうと思ったが、甘かった。

 「そんな価格でよろしいのですか?すぐにお支払しますので、早急に造成してい

 ただけますか?できましたら明日からでもお願いしたいのですが、」と、えらい

 食いつきがいい。ギルドマスターってどんだけ決裁権があるのよ。こんな金額を

 一存で注文しちゃっていいのかよと、心の中で叫んで、「解りました、じゃあ明

 日、ちゃっちゃと造っちゃいます。」と受けるしかなくなった。パパとママには

 絶対話さない方がいいと確信した。クロシアとシロエはいくらでも口止めできる

 が、このオグリオ氏の口も塞いでおく必要があるが、と考えて、そっと見てみる

 と、バーベキューの時に私が貸した魔短剣を手に持ち、真剣に見つめている。ど

 うも鑑定眼を持っている気配だ。クロシエとシロエが貸した魔短剣は、キーマさ

 んとキャスルさんが二人に返していたので、私が返してもらうのを忘れていたの

 だ。これは口止め賄賂に使えるかもと、時代劇の越後屋気分で、

 「オグリオ様、どうかされましたか?」とお上品に聞いてみる。

 「あ、いえ、私はどう言う訳か、小さい頃から剣の力が見えると言いますか、感

 じることが、出来ます。最初に貴方方とお会いした時も、白銀のブリザード様が

 持っておられた剣が聖剣であることも、御三方が背中に差した剣も同等以上の物

 であることも、一目で理解できました。さらに今日、肉を食べるために貸してい

 ただいたこの短剣が魔剣であることに驚いています。クミロワ大公国には、どの

 ような鍛冶職人たちがいるのかと、一度大公都キートに行ってこのような素晴ら

 しい剣を打たれた鍛冶職人に会いたいものだと考えております。」

 「目の前にいるよ。その短剣も、ママの氷雪刀吹雪も私たちの小太刀も全部私が

 鍛冶魔法で作ったものよ。」

 「ええぇぇ・・ アリアナ様は鍛冶魔法まで使われるのですか?しかも聖剣クラ

 スのものばかりとは、」言葉に詰まっている。よしここだ。

 「オグリオ様、ものは相談なんですが、今日あったことと、明日の冷蔵・冷凍保

 管庫の造成について、パパに内緒にしてくれないかな。お礼にその魔短剣をあげ

 るけど、どうかな?」と、さわやかな笑顔で、心は越後屋の気持ちで、聞いてみ

 る。即答で断る性格だが、考えてる考えてる。女好きには女、剣好きには剣を、

 「解りました。本日と明日は、私は何も変わった事を見ていません。では、今日

 は、これで失礼しますが、明日はまた朝一番にお迎えにあがります。」と、慌て

 て魔短剣を仕舞い帰ろうとするので、鎧兜を異空間収納から出して持ち帰らせる。

 「おぬしも悪よのう」と、耳元でクロシアに囁かれた。キーマさんとキャスルさ

 んには、冷蔵・冷凍保管庫の造成を受ける代わりに、全てパパには内緒にする確

 約をもらう。シロエとクロシアには、いか焼きを10本ずつで十分だ。

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