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黄金の魔女王  作者: 釣り師
53/92

第53話 バーベキューでワイパーン釣り

一日3話

2回目の快挙です。自分よがりですが。

 キャスルさんの案内で、3姉妹とオグリオ氏は、ギルドマスターの部屋に入った。

 元気のない、疲れた表情のキーマギルドマスターが出迎えてくれる。応接セット

に誘われて、4人が座ると、キーマさんとキャスルさんが対面に腰を下ろした。

 「どうしたの?すごく疲れているみたいだけど。」と聞くと、

 「いえ、今、うちのギルドには高ランクハンターが殆ど残っていません。先のオ

 ーガ討伐隊全滅が原因なんですが、Bランク以上の魔物討伐に依頼するハンター

 が居ないのです。そこへ、前回オーガの群れを討伐していただいた、エルナ山に

 今度はワイパーンが3匹住み着いたようなのです。やっとオーガの群れの討伐が

 終り、エルナ村に帰ってみれば、3匹のワイパーンが空を飛び交い、家畜や人を

 襲ってきたようです。いまのところ、人は家の中に逃げ込んで難をのがれたそう

 ですが、家畜はかなり犠牲になったようです。ワイパーンが山に帰っている夜に

 村を抜け出して、昨日駆け込んできたんだが、Bランクモンスターのワイパーン

 3匹では、行かせるハンターが居ないんだ。君らは、いわゆる国賓なんだから、

 依頼しに行くわけにもいかず、明日にでも、私と引退しているキャスルで討伐に

 行こうと考えていたんだ。ところで、今日はどんな要件で、おみえになったのか

 な?」というので、

 「そのワイパーン頂戴。この4人ですぐ仕留めてくるよ。」とクロシアが口を挟

 む。前回のワイパーンは召喚獣であったため、仕留めた途端に消えてしまい、シ

 ロエと二人食べられなかったことを、まだ根に持っていたようだ。

 「それは、勿論ありがたいが、いいのか?」オグリオ氏を見ながら、キーマさん

 が問い返すと、「私も同行いたしますので、問題ありません。」とオグリオ氏が

 答えた。

 「私たちは、今すぐでも行けますが、オグリオさんは準備にどのくらい掛かりま

 すか?」と聞くと、

 「近衛詰所に帰って装備を付けて戻ってくると30分位かかると思います。」

 「じゃあ、ここで待ってますから、すぐに行って来て下さい。」と私が言うと、

 オグリオさんはギルドマスターの部屋を飛び出して行った。

 私たちが余裕でお茶を飲んでいると、キーマさんが、

 「飛竜は無理だが、馬くらいは用意できるが?」と聞いてきたので、

 「この前のオーガの砦があった場所なら転移できますから、問題ないですよ。」

 と、答えると、「転移魔法も使えるのか、すまんが、私とキャスルも連れて行っ

 てもらえないかな?」とキーマさんが申し訳なさそうに聞いてくる。

 「いいですよ。丁度オーガのお肉も手に入ったから、お腹も空いてきたし、オー

 ガの砦跡でバーベキューパーティーでもしましょうか?」と私が言うと、クロシ

 アとシロエが大喜びで賛成してきた。キーマさんとキャスルさんは、口を開けて

 呆れている。


 30分で本当にオグリオ氏は帰ってきた。前にクミロワで見た鎧姿である。ギル

ドマスターの部屋で全員で手を繋ぎ輪になる。闇属性転移魔法で、オーガの砦跡に

飛ぶ。さすがに、このあたりには魔物の気配がないので、未だに転移に驚いている

3人は放っておいて、クロシアとシロエに手伝わせ、バーベキューの用意をする。

 土魔法で簡単な竈を作り、クロシアが枯れ木を切って薪をつくる。シロエは網を

獲物袋から出して、竈に乗せ、タレの準備をする。ニューセルムで小さい時から毎

日していたことは身体が覚えているようだ。私は、オーガの肉を20キロ近く出し

魔短剣でステーキの形に切っていき、網の上に並べていく。焼けてきた順にシロエ

がタレを塗っていき、香ばしい臭いが立ちこめる。臭いに刺激されたのか転移に驚

いていた3人が肉の側に寄ってくる。私たち3姉妹は予備の魔短剣を一本づつ3人

に渡し、網の上で焼けたステーキを一口サイズに切り魔短剣で刺して口に運ぶ。

 「うまい!」思わず叫んでしまった。クロシアもシロエも無言で肉を口に運んで

いる。それを見て3人も魔短剣で肉を切る。その切れ味にも驚き、口に運んだ肉の

味にも目を丸くしながら、食べる事は止めない。「オーガの肉ってこんなに旨かっ

 たんだ。エールが欲しいな」オグリオ氏がしみじみと言う。キーマさんもキャス

 ルさんも肯いている。10才の子供の身体にエールは問題なので、オレンジジュ

 ースを異空間収納から出して、カップに入れ皆に配る。自由に注げるように大き

 なボトルを近くの岩の上に置いておく。その間も周囲のサーチをしており、まだ

 臭いの届かないところにワイパーンは居るのだろうと寄って来るまで、ゆっくり

 食事をすることにした。一人2キロも食べれば充分だろうと考え焼いていたが、

 既に残り5キロくらいだ。このへんで止めないと、クロシアとシロエの食欲は底

 なしだから、肉の追加はしない。私はもうお腹いっぱいのため、焼くことに専念

 していた。最後の一切れを網に乗せたとき私のサーチに3つの赤い光点が現れた。

 まだ、かなり遠いが、一直線にこちらに向かって飛んでくる。

 「釣れました。ワイパーン3匹もうすぐここに飛んで来ます。」と、オグリオ氏

 や、キーマさん、キャスルさんに大声で教え、

 「クロシア、シロエ、1匹ずつよ。準備いい?」と妹たちを見る。肉を慌てて飲

 み込んだ二人が、背中の小太刀に手をかける。3姉妹が横に並んで南方向を見つ

 めていると、3匹のワイパーンが並んで飛んで来た。シロエが光属性の光学迷彩

 魔法で透明化し、風属性の飛翔魔法を使い、左端のワイパーンに向かっていく。

 彼等には消えたとしか理解出来ない筈である。私とクロシアも飛翔魔法を纏った

 状態で短距離転移でワイパーンの首の横に転移し、小太刀を振り下ろす。シロエ

 も殆ど同時に小太刀を振り下ろし透明化を解く。3匹のワイパーンは、同時に首

 を落とされ、地面に突っ込んでいく。私は風魔法のエアークッションを落下する

 ワイパーンにかけて、そっとバーベキューをしていた場所に下ろした。そこには

 只、口を開けて呆然とする3人がいた。

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