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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第50話 お詫びの品です。

 今日は、午後だけのエデン探検だから、この前行った魔道具屋街に行く事にきめ

た。食べ歩きは今日は宮殿で昼食を頂いたあとなので、この前買ったイカ焼きを3

本出し、クロシアとシロエに1本づつ手渡して勘弁してもらう。まず、前回変な事

になってしまいちゃんと話せなかったセフィールさんの店を目指す。前に来たこと

があるので、すぐに見つけることが出来たが、何故かまたヤスイヤ商会のおじさん

が、店の前にいる。なんか顔を合わせ辛いが、意を決して声をかける。

 「おじさん、この前は、私の暴走を止めて頂いて、本当にありがとうございます。

 あの時は、恥ずかしくて転移してしまいました。」というと、

 「おお、アリアナ様、お待ちしていました。ご心配にはおよびません。ピエル王

 子様も反対にお詫びしたいと、仰っていましたから。今日はゆっくり出来るんで

 すか? セフィールさんも貴方ともっと、魔道具についてお話がしたいと仰って

 ますよ。」と言ってくれた。

 一緒に店の奥にいくと、セフィールさんが私を見つけて飛んで来た。

 「セフィールさん、この前はお騒がせしてしまいました。御免なさい。」とまず

 謝っておく。

 「ああ、気にしないの、あんたの御陰で、ピエル王子も魔弓を諦めてくれたから

 こちらとしてはお礼言いたいくらいだよ。それより奥の部屋で、あんたたちが持

 ってる魔道具について教えてくれないかい?」と、ちゃっかりしたことを言う。

 「別に良いですが、素人の私が作ったものですよ。」と一言ことわっておく。

 店の奥にある応接間に案内され、セフィールさんと向かい合って座る。クロシア

とシロエは私を挟んでソファーに座り、セフィールさんの横にヤスイヤ商会のおじ

さんが座った。セフィールさんが、私たちの装備を見て

 「まず、その短剣を見せて頂戴。マジックアイテムには見えないけど、普通のミ

 スリル鋼の短剣とも違うわよね。」というので、腰から外し差し出す。

 鞘から抜いて、真剣に鑑定しようとしているが、剣の鑑定能力は無いようで、ア

サシン特化の魔短剣とは解らないようだ。しかし、普通のミスリル鋼の短剣では実

現不可能な切れ味を持っていることは解るようだ。余り悩まれてもと思い、

 「それは、剣に魔剣が存在するように、短剣が魔剣化した魔短剣です。使用者の

 魔力を纏って切れ味を増す能力があり、作った後、鑑定したら金貨1,000枚

 相当って出たよ。」と教えてあげる。その言葉を聞いたセフィールさんは、

 「魔短剣て、貴方が鍛冶魔法で錬成したの?それが、魔短剣になってしまったと

 言うの?」「うん、そうよ。ミスリルの短剣が欲しかったのよ。」と答える。

 「そんな、ミスリルの短剣が欲しくて魔法錬成したら魔短剣ができたなんて聞い

 たこと無いよ。じゃあさあ、ここでミスリル鋼のインゴットから同じ魔短剣を作

 ることが出来るの?」と慌てて聞いてくるので、「あの後、ママとパパの分が無

 いのって強請られてもう一度作ったら、同じだったよ。あ、そうだ。その時の2

 本が余ってるから、この前のお詫びにセフィールさんにあげるよ。」と言うと、

 「へ、これ貰えるの?」と、今見ている魔短剣をまた見つめるので、「いいえ、

 それは私が使い続けた短剣だから私の魔力に馴染んでしまっているから、反対に

 使いにくくなってると思うわ。この新しい2本は、まだ誰の魔力も纏って居ない

 から、これあげる。」と言って獲物袋から2本取り出し差し出した。先程まで見

 ていた魔短剣を慌てて返し、2本の新しい魔短剣を両手で持って、1本をヤスイ

 ヤ商会のおじさんに渡し、「私が1本貰うから、もう1本はコムルさんが貰っと

 きな。」とセフィールさんが言った。初めてヤスイヤ商会のおじさんの名前がコ

 ムルさんだと知った。セフィールさんから手渡された魔短剣を見ながら、「私が

 金貨1,000枚もする魔短剣を使いこなせるのでしょうか?」と、考え込むコ

 ムルさんを見て、「魔短剣は、使用者の魔力を纏って最も効果的な働きをしよう

 とするから、倒した魔物の剥ぎ取りなんかは、熟練者のように綺麗にできるよう

 になるよ。一度試してごらん。」とフォローしておく。確かに料理の腕も上がる

 ようで、最近のポリーさんは3本目を渡してからは、新しい魔短剣を料理専用に

 使用していた。父と母に強請られてもう一つミスリル鋼のインゴットで魔短剣を

 10本錬成し、全員に3本づつ行き渡らせたのは、ラフィーナル婦人の淑女教育

 に疲れ果て、夜、他の事をしてストレス解消するために魔法錬成を使った結果の

 副産物である。セフィールさんもコムルさんも、何度も鞘から抜いたり納めたり

 して、見とれている。ちょっと呆れて、「でも、それ魔道具じゃないよ。なんの

 魔術式も組み込んで無いし、勝手に魔短剣になっちゃっただけだもの。」と、私

 が、一言いうと、非常に怖い顔になったセフィールさんが、「アリアナ様、魔術

 式を組み込んだマジックアイテムの短剣は幾らでも有りますが、使用者の魔力を

 大量に消費します。このように、ほんの微量の魔力を受けるだけで、短剣自身が

 魔力を増幅して纏い、絶大な効果を出してくれる魔短剣など、作ろうとしても作

 れないのです。金貨1,000枚の価値とは、只、ミスリル鋼の値段でしか有り

 ません。この魔短剣に値段を付けたなら、間違いなく金貨10,000枚以上の

 価格がつきますよ。」と、説教された。その値段を聞いたコムルさんは慌てて魔

 短剣を返そうとしたが、セフィールさんにも諭されてようやく受け取ってくれた。

 そこに、店員の人が来て、セフィールさんに耳打ちしたあと、「そう言えば、今

 日はお父様は、お城で女王さまや友好国の方々と会議されて居たのですね。」と

 確認してくるので、「うん、午前中は私たちも一緒だったけど、お昼からは政治

 のお話だからって返されたの。」と答えると、「そうですか、ではもう少しゆっ

 くりされても大丈夫ですね。お茶とケーキでも用意しましょうね。」とセフィー

 ルさんが言うと、今まで退屈で居眠りしていたクロシアとシロエが揃って「頂き

 ます。」と返事した。

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