第49話 ミューシャ女王
はじめて評価して頂きました。
ありがとうございます。
頑張る気力になります。
世界樹の結界に守られた都市国家エデンには、世界樹の意思を代弁する選ばれた
ハイエルフの娘たちが居る。その娘たちの中で最も霊力の高いものが、エデンの女
王に選ばれる。勿論それを選ぶのも世界樹の意思である。そして、その女王を補佐
するのが、長老評議会であり、オグリオ・ロカの父はその筆頭長老である。
今日、ミューシャ女王との謁見のための迎えの馬車の中でママの選んだ可愛いド
レス姿の私たち3姉妹と、クミロワ大公国第5公子としての父イルシャが、エデン
国の国家組織について、オグリオ氏の説明を受けていた。また、今回私たち3姉妹
が招待されたのも、世界樹のお告げによるものらしい。それから、元々、エデンに
は王族等は存在せず、その都度世界樹の意思が新たな女王を選ぶため、エデンに住
むハイエルフの娘なら誰が女王になってもおかしくないとの事である。ゆえに、謁
見と言っても、玉座に座った女王と貴族が立ち並ぶ大広間でする一般的な王国の謁
見ではなく、女王の部屋に案内され、応接室に通されて対面し、話し合うだけです
とのオグリオ氏の話だった。これを聞いて3姉妹はほっとした。いや、父イルシャ
もほっと安堵していた。クロシアとシロエは、流石に今日はドレスと言うことで、
アイテムボックスの獲物袋は持って来ていない。私の異空間収納の中に収納してい
るので、いつでも出せるが、私に言わなければいけないのが不満なようだ。見た目
のダサイ獲物袋より、パパの持ってる腕輪タイプのアイテムボックスの方が、こん
な場合、便利なんだと気付きすぐに作ってあげようと決意する。そんなことを考え
ていたら、馬車は城内に着いていた。オグリオさんは、結構偉い方なのか、城内の
合う人たちが、全て道を譲ってくれる。衛兵たちも黙礼し、一言の質問もなく、通
路を開け、すぐに女王の部屋に着いた。扉を護る衛兵に、
「オグリオ・ロカ、クミロワ大公国第5公子イルシャ・クミロワ氏とその3人の
お嬢様方をご案内して参りました。入室の許可をお願いします。」とオグリオ氏
が、言うと、衛兵の一人が中に入りすぐに出てきて扉を開けてくれた。ひかえめ
なティアラを着けた、ドレス姿の女性が、出迎えてくれる。
「ようこそイルシャ公子様とお嬢様がた、私がエデンの女王を勤めていますミュ
ーシャです。」と、非常にフランクに話しかけてきた。一瞬詰まってしまったが、
「初めてご尊顔を拝し光悦至極に存じます。クミロワ大公国第5公子イルシャ・
クミロワです。ここに引き連れましたのは、娘のアリアナ、クロシア、シロエに
ございます。以後よしなにご指導の程、お願い致します。先ずは、クミロワ大公
の親書を受理願います。」と、はじめて聞くような言葉をパパがのたまう。
「はい、確かにお受けしました。それから公子様、わたくしは現在エデンの女王
を勤めていますが、本来庶民です。格式張った言葉使いを苦手としていますので、
できましたら、もっとフランクに話して頂けませんか?」と、女王が言うと、女
王自ら応接間に案内して、ソファーを進めてくれる。
「ありがとうございます。」と一言いって、私たちが座ると、正面に女王が座り
オグリオ氏がその後ろに立った。まず、女王が、
「先に、このオグリオ他49名のヤグル族討伐隊を、何の拘束もなく、クミロワ
から送り出して下さった、公子様の奥様と3人のお嬢さんにお礼を言わせて下さ
い。本来なら侵略行為と取られても不思議では無いのに、本当にありがとうござ
いました。そのこと一つ取っても、今後エデン王国はクミロワ大公国と、末永い
友好関係を、結びたいと考えています。これは既に長老評議会に置いても承認さ
れており、クミロワ大公国が、今回の突然な招待に対応いただけ、皆おおいに喜
んでいる次第です。」と、話し出す。
「エデンへのご招待は、非常に有難いことなのですが、何故この娘たちも招待い
ただけたのか、お伺いしたいのですが?」と父が聞くと、
「こんな可愛い御孫さまを、遠くの国に送り出すのは、大公様も躊躇されたと思
います。只、今回の招待については、世界樹の意思が働いています。このオグリ
オたちがエデンに帰還し、世界樹に報告に行ったとき、この者たちの記憶を世界
樹が見て、3人のお嬢様方に大変興味を持った様なのです。そして世界樹が巫女
たちに世界樹祭へお呼びするよう指示しました。このようなことは、今まで一度
も無かったので、慌てた巫女たちは直ぐに長老評議会に報告し指示を仰ぎました。
勿論、前例の無いことですが、我々にとって世界樹の意思が全ての最優先事項と
なりますので、今回、不躾な事とは思いましたが、お嬢様方を招待させて頂きま
した。お受け頂けて本当に安堵したものです。」
女王の言葉に、父が大きく頷くが、
「あの、ちょっと良いですか?世界樹って言葉を喋るんですか?」
思わず聞いてしまった。それに対して女王は優しく微笑み、
「いいえ、多分貴方もお会いすれば解るとおもいますが、頭の中に直接語りかけ
て来られるような感じと言いますか、不思議な会話ですね。」と言うので何とな
く解った。それからとりとめも無い話をして、レストハウスに案内され、お行儀
のよい昼食を頂いた。クロシアとシロエは、早くオーガを解体して肉を思い切り
食べたいようだが、今日はおとなしくしている。いつまで持つかは解らないが、
午後からは、政治の話との事で、私たち3姉妹はオグリオ氏の部下のシグネス氏
に送ってもらい宿泊施設に帰りついた。但し、勝手にハンターギルドの依頼は受
けないように釘を刺されたが。早くオーガ肉の食べたい私たちは、忍び装束に着
替え、そのハンターギルドに飛び込み、キャスルさんの受付に行く。
「どうしたんですか?昨日、指名依頼を達成されたばかりなのに、また訓練です
か?」と聞かれ、「そうじゃないの、今日はオーガの解体をギルドにお願いでき
ないかと思ってきたの。勿論、依頼料は支払わせていただくよ。」と答えると、
「解体ですか、オーガの場合2体で金貨1枚ぐらい係りますよ。それに上位種で
は、一体で金貨1枚になると思いますが、何体解体しますか?勿論、皮や魔石を
引き取らせて頂けるのでしたら反対に買い取り費用のほうが高くなりますから、
相殺してもこちらが支払う方になると思いますがどうします?」と聞いてくる。
勿論、肉以外要らないから、「お肉以外要らないから、それで良いよ。」と答え
た。すぐに解体場に案内されたので、首のない50体のオーガを獲物袋の異空間
収納から出して並べる。解体担当者たちが口を開け驚いているが、見なかった事
にする。解体場の責任者に聞くと2日後には完了すると言うので、お願いして街
の探検を再開することにした。




