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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第43話 出逢い いろいろ

ピエルは公子ではなく、王子でした。

訂正しました。

 チョットクロシアとシロエを懲らしめて気分を良くした私は、夕食までまだ時

間があるので、エデンの街中を散策したくなった。久々の街である。山中や森の

中じゃない。少し普通とは違うが、街に変わりはないと、シロエとクロシアを誘

う。今日は朝から女の子らしいママの選んだ洋服で大人しくお嬢様を演じていた

ので、パパも「行っておいで」と快く了承してくれた。すぐに忍び装束に着替え、

小太刀は異空間収納に残し、ミスリル鋼魔短剣を一本腰にさしていくことにした。

退屈だったのかクロシアもシロエも準備が早い。3人揃って、宿のフロントに行

き、「探検に行ってきます。」と元気に声をかけると、

 「お嬢様方だけで、出かけられるのですか?」と心配そうに聞かれた。

 「大丈夫、私たちこれでもAランクハンターだから、心配いらないよ。」とい

うと、余計に驚かしたようだ。しばらくビックリしていたが、落ち着いたのか、

 「解りました。お気をつけて、いってらっしゃい。」と送り出してくれた。


 「さあ、何を見に行く?」と二人に聞くと、「屋台!」と揃って答えられた。

 「食べ歩きは何時でもできるでしょう。それに今食べたら、高級宿泊施設の夕

 食が食べられなくなるからだめ。それより魔道具屋を覗いて見ようよ。面白い

 武器があるかもよ。」と言うと、「うん、それでいい。」と賛同してくれた。

 サーチで大体の位置を確認してから、それらしき店舗のある通りへ向かった。

 店の前にいろいろ並べている魔道具を見てみるが、余り大した物がない。これ

 では店内を見る気がしないので、素通りし、次の店を目指す。次の店はちょっ

 と面白いものがある。点火棒という小さなゴブリンの魔石で、火を着けるライ

 ターのようなものや、懐中電灯のようなものまで、よく考えた生活に密着する

 アイデア商品で賑わっている。店を覗くと、知った顔がいる。

 「あれ、ヤスイヤ商会のおじさん、何してるの?」と声をかけると、

 「なんだ、嬢ちゃんたち、もうエデンに着いたのか。この店に自動洗浄トイレ

 を売ってもらうんだよ。ここは、便利な魔道具を沢山開発している店でね、俺

 たちもいろいろ勉強させて貰ってるんだ。」と教えてくれる。

 「うん、面白いものが沢山あるね。生活に直結した魔道具開発ってすごいよ。」

 と相槌を打っていると、

 「まだ、ガキなのに、良く解ってるじゃないか。」と後ろから声をかけられた。

 「あ、セフィールさん、お帰りですか。」と、ヤスイヤ商会のおじさんが声をか

 け、「こちらが、白銀のブリザードの御嬢さんたちです。」と紹介してくれた。

 「ああ、道理で、すごいもの持ってるから何者かと思ったんだ。Sランクハンタ

 ーの子供たちなら納得できたよ。」という。おじさんが不思議そうに

 「すごいものって何です。」と聞くと、セフィールさんが呆れたようにおじさん

 を見て、「この子達の着ているこの不思議な恰好の衣装も、すごいマジックアイ

 テムだよ。そんじょそこらの鎧なんか太刀打ちできない防具だし、腰につけてる

 その袋もアイテムボックスだよ。まだ、腰のナイフも、ミスリル鋼の魔短剣と思

 われるし、そんじょそこらのAランクハンターじゃ太刀打ちできない装備だね。」

 「はあ、そうなんですか?」とおじさんが聞いてくるので、頷いておく。

 「セフィールさんは武器は作らないのですか?」と私が聞くと、困ったような顔

 になり、

 「私はさあ、ハンターじゃないし、戦いの経験もないんだ。だからどんな武器が

 どう使われるのか理解できない。その人が何が得意で何を補えばいいのかは、使

 う人それぞれ異なるでしょ。最初、みんなが望むものを作ろうと、魔法の矢を打

 ち出す弓を作ったんだ。弦を引いて離すだけで、魔法の矢が打ち出せる魔道具を

 作ったんだ。ハンターの親友にそれを送ったまではよかったが、彼女はその弓を

 使いメキメキランクを上げて、Bランクハンターまでになっていた。そして過信

 が生まれた。マジックアイテムは、使用者の魔力で、魔法の力を使用者に提供す

 るものなのに、使用者自身の魔力が強くなった訳ではないことを忘れてしまうも

 のなの。そして、魔力が尽きたとき彼女の命も尽きたの。それ以来武器を作るこ

 とは出来なくなったの。」

 これは、申し訳ない質問をしてしまった。素直に

 「変なこときいて御免なさい。」と謝った。

 「ははは、昔の話よ、それよりも、子供が変に気を回すんじゃないよ。」と笑い

 ながら、背中を思い切り叩かれた。その時、表の通りが騒がしくなった。


 「ごめんください。セフィール・ウォルク様はいらっしゃいますか?」

 二人の騎士を従えた、貴公子が入って来た。すぐにセフィールを目に止め、

 「良かった。今日はご在宅でしたか。先だってよりお願いしている風の矢の魔弓

 を、ぜひ私に作って頂きたい。」この言葉の直後、彼等は、一言も喋れない状態

 に、陥る。私の白銀のブリザード譲りの魔力を込めた殺気に晒されたのだ。

 「彼は何処の馬鹿貴族ですか? 傲慢に人の話し合いに割り込む不遜さは、その

 命で賄ってもらいましょうか。」と、氷より冷たい私の声が響いた。恐怖に膝を

 ついた二人の騎士の首には、クロシアとシロエの魔短剣の切っ先が当てられてい

 た。馬鹿貴族は私の前に恐怖で膝をつき声も上げられない。

 「アリアナ様、どうかお止め下さい。この方はカムール王国の第2王子ピエル様

 でございます。どうか、お怒りを静めて下さい。」とヤスイヤ商会のおじさんが

 止めてくれたのだ。またやってしまった。


 

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