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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第40話 サエの背中は誰のもの

 今日の朝は自分達4人なので、ゆっくり朝食を取ることが出来る。タップリ

のサラダと、白く柔らかいパン、ここにコーヒーが有ったらと、前世の習慣が

顔を出すが、無いものねだりはどうにもならないにで、この世界にも存在した

紅茶を入れてみた。クロシアとシロエの猛抗議で、クロシアには、焼き魚と岩

トカゲ肉のスープをチョイスし、シロエには、オーク肉のベーコンエッグと、

やはり岩トカゲ肉のスープを出した。たまには、紅茶と、サラダとパンのよう

に、あっさりした朝食もいいのにと思うのは私だけのようだ。パパもこっそり

焼き魚と岩トカゲ肉のスープを取っていた。そんな朝食を終え、出発準備に山

小屋と馬小屋を異空間収納に収め、馬車の準備をしていると、ハクオウとサエ

が現れた。チェ、来やがったか。心の中で呟く。見透かされないように、他の

話題をふる。

 「昨日、Sランクハンター白銀のブリザードから連絡があって、息子さん達

 大活躍だったみたいね。今日、ワグル帝国の奴隷狩り集団を5組ほど叩くよ

 うですよ。」と、息子達の話を振ってみる。

 「うむ、昨日はさすがに良く飛んだようだな。飛竜どもは向こうに着いただ

 けで疲れ果てておったそうな。息子達と、そなた等の母上と、もう一人のS

 ランクハンターで、偵察して敵を見つけたそうじゃ。褒めてやったわ。」

 とうれしそうに、息子達との意識の繋がりから詳しい情報を披露してくれる。

 こいつ、チョロイなと、思いながら、サエに馬車の後ろに付いて来てくれる

ようにお願いする。馬たちが、ハクオウとサエの出現後、そわそわしており、

恐怖に暴走しないよう馬たちの目から姿を隠してほしかった。サエは快く了承

してくれたので、簡単にハクオウに別れを告げ、ハイエルフの国エデンを目指

し出発する。ハクオウも一緒にきたいのだろうが、群れを放り出す訳にはいか

なく、素直に見送ってくれた。


 馬車の後ろに付いてくる白飛狼のサエと話をするため、私は馬車の屋根に乗

り後方に足を出して腰掛けていた。山道のため非常に良く揺れるが、バランス

感覚の訓練と思って諦める。そんな私を見てサエが、

 「そんなところからじゃ、私に身体強化の魔法を教えられないんじゃないで

 すか。なんなら、私の背に乗ってくれて良いんですよ。」というが、

 「でも、私 馬にも乗ったことが無いのよ。貴方の背に乗れるとは思えない

 んだけど。」と私が答える。

 「白飛狼の背は、馬のように不安定なものでは有りません。貴方を落とす様

 なことは、絶対ありません。」と強く言う。

 「じゃあ、お願いするね。」私はフライを使い、彼女の背に移動する。確か

 に上下動もなく、まるで前世の車でアスファルトの道を行くような安定した

 のり心地だ。それに真っ白な毛がもふもふで思わず顔を埋めたくなる。馬車

 の窓から、クロシアとシロエが顔を出して、自分達も乗りたいアピールが半

 端ない。そっと、サエの方に思念で、『あとでいいから、クロシアとシロエ

 も乗せてやってくれるかな?』とお願いすると、『勿論、仲間なんだから、

 いつでも良いわよ』と答えてくれたので、先に身体強化魔法をサエに教える

 ことにした。

 「これから貴方の頭の中に、身体強化魔法の知識を送ります。」そう言って

 サエの頭脳に身体強化魔法の知識を転写する。「さあ、これで身体強化魔法

 について理解出来たから、やってみて。これは少しでも魔法が使えたら、出

 来る魔法よ。あなたの中の魔力を血の流れに沿って全身に行き渡らせる事で、

 全ての筋力と強度をパワーアップ出来るわ。」私の言葉にサエは身体強化を

 かけている。「凄い! 時間の流れがものすごくゆっくりに感じるわ。これ

 なら、クロシアの動きについていけるかも。」と感動しているが、

 「そんなに簡単にはいかないわよ。この状態で、クロシアやシロエと訓練を

 積まなきゃ、身体が付いてこないのよ。だから後は実戦を重ねるだけよ。」

 私の言葉に、サエは何度も頷いて、早く訓練がしたいようである。しかし、

 エデンに予定通りに着くのが、一番の目的である以上、馬車について駆けて

 もらう以外ない。「朝早くや、夕方以降に少しずつでも訓練しよう。」とい

 うと、納得してくれた。このまま お昼まで乗せていって貰おうと思ったが、

 目の前の馬車の両側から半身を出して、こちらを見つめるクロシアとシロエ

 が、早く替われと催促する視線を向けていた。しょうがないので、フライで

 馬車に戻り、ジャンケンで順番を決めシロエがサエの背に先に辿り着いた。

 もふもふのサエの毛に顔を埋めてシロエがサエの背を堪能している間、馬車

 の中でウロウロする鬱陶しいクロシアがいた。

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