第35話 ヤスイヤ商会②
自治会の仕事で遅くなりました。
忙しい。でも、13人もブックマーク
してくれたら、毎日アップしたいです。
頑張ります。
魔法使いの闇呪縛状態を確認し、クロシアとシロエにお願いして、土魔法で
大きな穴を掘って盗賊30人の死体を放り込み焼却処分してもらう。それから
流れた血を水魔法で洗浄し、風魔法で臭いを飛ばしてもらった。これで、魔物
をわざわざ引き寄せることは、なくなった。私は、その間に思念通信で、ママ
に連絡を取り、捕らえた魔法使いの記憶を送って、ヤスイヤ商会のカール会長
にも連絡してもらい、キートに居るであろうゴルカスを逃がさないように監視
して置いて欲しいと伝えた。それからヨシアの作ったマジックアイテムを思い
出したので、異空間収納にある材料で作ってみることにした。内容も構造も理
解しているので、先ず少量のミスリル鋼を取り出し、魔鉄と組み合わせ手枷を
作る。これに魔術式を書き込み出来上がりである。簡単な、減摩力リストバン
ド手枷バージョンである。魔族クラスの魔力量だと、容量オーバーですぐに壊
れるが、人間の魔力量程度だと、その人間の魔力を常時放出し続けるため、魔
法を、使えなくできるもので、嘗てヨシアがある国の国王から魔法使いの犯罪
者が、魔法で逃亡出来ない様にする魔道具の製作依頼を受けて作ったものだ。
闇呪縛で縛っていた魔法使いの両手を背中にまわし、その手枷を嵌める。そ
して闇呪縛をとく。先程、記憶を全て丸裸にされたためか、暴れる様子はない。
口を塞いだ影縛りは、そのままにして、ママに引き渡すつもりだ。
ふと、この魔法使いが使用していた杖が目に停まった、拾い上げてみると、
なかなかの力を備えた古代の遺物であり、鑑定の結果、伝説の召喚術士カグラ
の杖と判明する。ようやく、引っ掛かっていた答えがわかった。この男程度の
魔法使いが、どうしてワイパーンのようなBランクの魔物を召喚出来たのか不
思議でならなかった。この杖がこの男の力を倍以上に増幅させていたようだ。
それに、材料:世界樹の枝 と表示されていることから、古びた木の杖が、聖
剣並みの希少品であり、また、この男がワグル帝国の魔導師ギルドでギルドマ
スターを毒殺して、ギルド秘蔵のこの杖を盗んだことも記憶から確認できた。
鑑定結果
魔法の杖:召喚術士カグラ作
原材料 :世界樹の枝
レベル :国宝級
能力 :使用者の魔力を3倍に増幅
使用者 :設定機能無し
価格 :金貨10,000枚相当
使用者設定も出来ないただの杖が、金貨10,000枚なんて高すぎると思
うのは、私だけかなと考えてしまう。通常魔道具屋で売られている魔法の杖で
も1.5倍に増幅で最高ランクになることを考えたら妥当かもしれない。
サーチで父イルシャ達を探すと、まだ30キロぐらいのところまでしか来て
いない。荷馬車と一緒だから仕方がない。クロシアとシロエが暇そうなので、
パパ達が着くのは日暮れ前になりそうなこと、今日はここで野営になると知ら
せ、峠の上の広場に山小屋を設置して夕食の準備を始めたいから、この魔法使
いを見張っていてくれるようにお願いする。商人達も今日はここに野営するよ
うで、十台の荷馬車を円形に広場に配置してテントの用意を始めた。シロエが
見張りを引き受けてくれたので、私は、広場の端に山小屋を出して設置した。
商人達が、突然山小屋が出現したのに驚いていたが、無視して、クロシアと夕
食の準備をする事にした。まず、うちのメンバーが4人、御者親子2人と、こ
こに居る商人14人、でもヤスイヤ商会の商人は4人で残り10人は御者であ
る。これに盗賊のアジトを急襲にいった護衛隊16人を入れると合計36人に
なる。昨日解体した岩トカゲの肉を30キロ取り出し、クロシアと二人で焼く
準備をしていると、商人たちが寄ってきて自分達の食べる分もあると聞いて、
手伝い始める。そうこうしていると、盗賊のアジト襲撃から護衛隊が帰ってき
た。【暁の双弓】のコルシュさんが近寄ってきて、
「食事の用意までしてくれてるのか?こちらは、助けられた方なんだから、
反対に俺たちが持て成さなきゃいけないんだが、世話をかけます。それから
奴らのアジトには、見張り2人しかいなかったので、すぐ制圧できた。結構
ため込んでたので、良い稼ぎになりました。礼をいいます。」
「良かったじゃないの。肉は充分あるから、遠慮せず食べてよ。皆にもそう
言ってね。」と言うと、「みんな、白銀のブリザード様のお嬢さん達に礼を
言え! 好きなだけ肉を食っても良いってよ。」コルシュさんが叫ぶ。
凄いペースで肉が焼かれ、凄いペースで胃袋に入っていく。商人も護衛も関
係ない。初めて岩トカゲの肉を食べた時の私達のように無我夢中で租借し、飲
み込んでは齧り付く。自分達も昨日はああだったのかと恥ずかしく思ったが、
クロシアにはそんな羞恥心は無いようで、護衛達と一緒に肉に囓りついていた。
見張りを頼んでいたシロエが気になったので見回すと、殴って気絶させたのか
失神した魔法使いを椅子にして肉に囓りついていた。これはちょっとニューセ
ルム辺境伯令嬢として問題があるが、見なかったことにする。このままでは、
父達が到着するまで肉が持たないと思い、そっと、もう30キロ追加しておく。
やっと父達が到着した時には、食い過ぎで腹を膨らませた商人と護衛30人と
10才の二人の娘が、仰向けに大地に寝転がった状態であった。私は焼き上が
った3人分の岩トカゲの肉を父と、狼人族の親子に手渡した。何も言わず。




