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黄金の魔女王  作者: 釣り師
34/92

第34話 ヤスイヤ商会①

旅の途中の2話目ですが、

思わぬ展開になってきて、話が長くなりすぎました。

次話につづく展開です。

 次の日、早く起きた4人は朝食を済ますと、すぐに山小屋と馬小屋を収納し、

馬車を準備して出発した。パパは昨日の遅れを取り戻すつもりか、昨日よりちょ

っと早く馬を走らせている。最初の見張りは私なので、パパの横に座り、周囲を

サーチしていると、間道の前方20キロ付近をこちらに向かって歩いてくる人の

存在を感知した。只、非常に弱弱しい歩きかたのため、これじゃゴブリン一匹に

でも殺されてしまいそうに思えた。パパに話すと、

 「アリアナ、先に飛んで行って保護しておいてくれ。すぐに馬車で追いつくか

 ら」と言う。「解った。」私は、風魔法フライを使い、飛んでいく。すぐに、

 ふらふらしながら歩いてくる狼人族の獣人を発見する。どうも御者のようだ。

 ハンターには見えない。武器も持ってない。傍に降下すると、驚いて一歩下が

 った。「おじさん、大丈夫?どうしたの?」と聞くと、子供と解り安心したの

 か、「いや、この先30キロぐらいの所で荷馬車が脱輪してしまって、助けを

 呼びに戻ってきたんだが、この間道は、人も馬車も少ないから、途方にくれて

 いたんだ。」「じゃあ、ちょっとまってて、パパ達の馬車がもうすぐ来るから

 何とかなるよ。」というと、「はあ、助かった。」と座り込んでしまった。ど

 うも昨夜から歩いていたようだ。しばらくすると、私達の馬車が着いた。おじ

 さんを馬車に乗せ、少し急いで荷馬車のもとに馬車を走らせる。その間、見張

 りをシロエに任せ、昨夜から何も食べていないというおじさんに、スープを異

 空間収納からだして、食べさせる。「肉も焼こうか?」と聞くと、息子が、荷

 馬車の傍で、頑張っているから、合流してから頂きたいというので、練習に作

 った疲労回復のポーションを1本出して、飲ませる。少し疲れがとれたようで

 顔いろも良くなった。約3時間半ほど全速で馬車を走らせ、やっと脱輪現場に

 到着する。おじさんが荷馬車に駆け寄ると、15才くらいの少年が、飛び出し

 てきて、抱きついた。よく魔物に襲われなかったものである。

 「じゃあ、荷馬車あげようか。」といって私が風魔法で荷馬車を浮かせ、間道

 の中央に戻す。あまり呆気なく処理されたので、おじさんも、息子さんも口を

 開け、驚いている。ちょうどいい時間なので、ここで、昼食にしようとパパが

 いうので、間道の上で肉を焼きテーブルを出して6人分のスープを出し、買い

 込んでいるパンを人数分置く。余程お腹が空いていたのか、おじさんも息子さ

 んも一心不乱に肉をパンを食べている。私たちも、今日はオーク肉を焼いたの

 で、ちょっと不満の見えるクロシアとシロエは無視して食事をする。話を聞く

 と、おじさんはヤスイヤ商会の荷物運搬を受けていて、今回、エデン王国への

 ヤスイヤ商会の商隊に参加してついていく予定だったのが、当日荷物の手配が

 どうしても間に合わず、1日遅れて商隊追いかけることになったそうだ。護衛

 のハンター達は商隊に同行しており、おじさん達は追いつくまで護衛無しの強

 行軍を強いられたようだ。必至に急いだために手綱が狂い脱輪したそうだ。し

 かし、そんなことをヤスイヤ商会のカール会長がさせるだろうかと不思議に思

 い、ママに思念通信で、経過を説明する。ママの方でカールさんに確認を取っ

 てもらうことにして、そろそろ出発することにした。息子さんが、指笛を吹く

 と、どこからともなく4頭の馬が現れた。彼が荷馬車に馬をセットして出発す

 る。なんでも、荷馬車に繋いだままでは、魔物に襲われるリスクが高いので、

 脱輪後、すぐに荷馬車から解き放っていたのだと教えられた。運搬業を営む彼

 らにとって、馬は財産であり、家族とのこと、繋がりがちがうのだろう。思わ

 ず、うちの馬たちを見るが、無視された。溜息が出る。そうこうしている内に

 ママから連絡が入る。「アリアナ、カールさんはそんな計画変更は聞いていな

 いそうよ。それから今回の商隊を計画した担当者が2日前から行方不明になっ

 てるみたい。ちょっと匂うわね。あ、担当者の名前はケプラー、狼人族だそう

 よ。荷馬車の御者さんも狼人族よね、知り合いじゃないか聞いてみて。」「う

 ん、解った『おじさん、今回の変更は、ケプラーさんから指示されたの』」と

 聞くと、「そうじゃ、奴とは昔からの付き合いじゃからな。断れなんだのよ。」

 と、返事が来る。パパと目を見合わせ、「パパ、これって、本体が襲われるか

 ら、知り合いのおじさん達を助けようとしたんじゃないかな?」「うん、たぶ

 んそうだろな、しかし、情報がすくないな。」とパパは考え込む。わたしは、

 「おじさん、ケプラーさん、他になんかいってなかった?」ときくと、「そう

 いや、間道は狭いから、できるだけゆっくり追いかけろとか、訳の解らんこと

 を言ってたな。」と答えが帰ってきた。「パパ、間に合うか解らないけど、3

 人で本体の救援に行こうと思うんだけど、いいかな?」「おお、おれは、ここ

 から離れられないから、頼む。無理すんなよ。」「解った。シロエ、クロシア

 盗賊退治よ、すぐに飛ぶよ。」と二人に声をかけ、全速力で風魔法フライを使

 い飛行する。50キロ前方のちょうど峠の手前あたりを、ゆっくり進む商隊を

 発見する。追いつけるのは、峠にさしかかるぐらいと思われるが、峠の向こう

 側で待ち構える一団を発見する。30人ぐらいだが、何かおかしい。その周囲

 をよく調べると、岩の影に一人の魔法使いが、ワイパーンを従え潜んでいた。

 「あんなのに空から襲われたら、護衛のハンター達じゃ守りきれないよ。」私

 達はさらに速度を上げ、商隊に追い付こうと飛んでいた。もうすぐ追いつくと

 思ったとき、緒もむろに潜んでいた魔法使いが立ち上がりワイパーンに何か命

 令した。ワイパーンは峠の反対斜面に向かって飛び立った。商隊の背後に回り

 込むつもりだ。助かった。これなら間に合う。私達はやっとのことで、商隊の

 最後尾に降り立った。「盗賊が、峠で待ち伏せしています。戦闘準備してくだ

 さい。私達は、奴らが使役しているワイパーンを倒します。」と、護衛達に声

 をかけ、ワイパーンが現れる山の稜線を警戒する。「来た。」クロシアが叫び

 ワイパーン目がけて飛び立つ。後ろから襲うはずだったワイパーンは、先に迎

 え撃たれることになり、一瞬躊躇うという致命的なミスを犯す。一瞬硬直した

 ワイパーンのその横をぼたんを抜き打つクロシアが飛び過ぎる。片翼をつけ根

 から切断されたワイパーンには墜落しか道はない。その落下地点目がけすでに

 シロエが走っている。ワイパーンは二人に任せ、私は商隊の上を飛び越え、盗

 賊たちの正面に飛び込む。魔法使いが杖を突きだし、ファイアーボールを打ち

 出してきた。瞬時に障壁を張り打ち消す。闇呪縛で、影を使い魔法使いを縛り

 上げる。詠唱させない為、口も塞いでおく。後は盗賊のみなので、金縛りをか

 ける。身動きできなくなった盗賊に護衛のハンターが襲い掛かる。私は、闇呪

 縛で縛り上げた魔法使いの前に降り立つ。クロシアとシロエがなにやら非常に

 怒って私の傍に飛んできた。「ワイパーン、どこに隠したのにゃ、首を刎ねた

 ら消えてしまったにゃ。」と魔法使いに詰め寄る。それで解った。この男が、

 ワイパーンの翼を切断されても、気に留めていなかった訳が。「クロシア、シ

 ロエ、あのワイパーンは食べられないよ。あれは召喚獣だったの。この男が呼

 び出した魂に魔力で身体を与えていたの。だから、殺したら消えてしまうの。

 解った?でも、この男には今回の襲撃について全て教えて貰わなくっちゃいけ

 ないから、ちょっと殺すのは待ってね。」と、二人を宥め、魔法使いの額に手

 を当てる。記憶を読む。少し抵抗しているが、この程度では何も隠せない。ケ

 プラー氏は既に殺されていた。人質にされていた家族と一緒になぶり殺しにさ

 れていた。今度の襲撃は、キートの商人ゴルカスからの依頼であった。ヤスイ

 ヤ商会が独占する自動洗浄トイレを強奪することで、ヤスイヤ商会に打撃を与

 えることと、奪った荷馬車10台分の自動洗浄トイレを、通商禁止国ワグル帝

 国で10倍の価格で売り捌き暴利を得ることがゴルカスの計画であった。また

 ゴルカスはワグル帝国の奴隷商たちとも親交があり、セルム湖以東の森林地帯

 の行商で知った獣人やダークエルフ達の集落の位置をワグル帝国の奴隷商に売

 っていた。この魔法使いを含む盗賊の半数は、ワグル帝国からの侵入者であり、

 奴隷狩りにも参加しており、奴隷商とゴルカス両方から利益を得ていた。この

 魔法使いの記憶を大きな声で読み上げて商隊の商人や護衛たちに知らせておい

 て、金縛りにしていた盗賊たちを殺そうと振り返ったら、護衛たちが先に留め

 をさしていた。そりゃあ、ケプラーさんを家族諸共嬲り殺しにされたのを聞い

 たら、しかたないかと思う。が、首領だけは生かしておいて欲しかった。ゴル

 カスを捕らえ罪を暴くには、一番有効な切り札になったかもしれなかったが、

 この魔法使いも盗賊団の参謀のような存在なので、魔法さえ使えない様にすれ

 ば、ゴルカスを処罰できると判断できた。護衛達のリーダーが寄ってきたので、

 自分達は、Aランクハンターチーム【忍者3姉妹】であり、ヤスイヤ商会に自

 動洗浄トイレを卸しているSランクハンター白銀のブリザードの娘であること

 を知らせる。少し安心した護衛隊のリーダーが、

 「俺は、Bランクハンターのコルシュだ。Bランクハンターチーム【暁の双弓】

 のリーダーをやってる。今回の護衛隊の中で、ランクが一番上だったので、護

 衛隊のリーダーも任された。さっき、この盗賊団の連中を処分する前に吐かせ

 たんだが、奴らのアジトが近くにあるらしい。Aランクチームのあんたらが、

 しばらくここに居てくれるんなら、俺らでそのアジトを急襲してきたいんだが、

 頼めるか?」「いいよ、こんな目に遭ったんだから、何かボーナスぐらいあっ

 て当然だものね。それに私たちはここで父イルシャを待つ約束だから。」

 「へっ! Sランクハンター【首薙ぎ公子】も来られるんですか?」と傍の護

 衛が声をあげる。「ああ、その異名、パパ嫌いだから前で言っちゃだめよ。」

 「はい、解りました。それじゃ俺たち、これから奴らのアジトを潰して来ます

 ので、あとお願いします。」商人達も、白銀のブリザードの娘達が居てくれる

 と解ったので、「しっかり稼げよ。」と見送っていた。

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