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黄金の魔女王  作者: 釣り師
33/92

第33話 岩トカゲ美味しい

 山岳地帯に入った地点からの旅のスタートは、順調に始まった。間道の幅は

3m程度しかなく、馬車が擦違う幅はない。が、他の旅人にこの間道で擦違う

心配は必要ないと思われる。見渡す限り前方も後方も一人の旅人もいない。こ

れでは、盗賊も寄り付かないと思われる。馬車でゆっくり進みはじめて2時間

ほどたったが、何事もなく進んでいる。結構魔物の多い山岳地帯の筈が、ちょ

っと物足りない。まだ、山岳地帯に入ったばかりのところであるから、しょう

がないと言える。今クロシアがパパの隣で見張りをしているが、先ほどまでは

私がパパの傍で見張りをしていた。見張りに傍に座るだけで、パパには嬉しい

のか、始終ニコニコ馬車を走らせている。クロシアが何か見つけたようだ。

 「右前方500mの岩の上に岩トカゲ発見にゃ。」クロシアが報告して、駈

け出そうとするが、

 「ダメよ、クロシア、さっきジャンケンで順番決めたでしょ。最初はシロエ

 の獲物よ、次が私でクロシアは三番目の獲物に決まったでしょ。」と、私が

クロシアを止める。三人とも既に忍び装束に着替えており、シロエが馬車を飛

び降り、一直線に岩トカゲ目がけて駆けていく。岩トカゲは全長3m体高1m

ほどの大きさで、Dランクの魔物であるが、魔物図鑑には、肉が非常に美味で

あると但し書きがあったくらいだから、今日の昼食に決定である。岩の上で、

獲物を待ち伏せしていた岩トカゲが、不穏な気配を感じ、シロエの方を振り返

った時には、既にシロエの身体は岩トガゲの頭上にあり、小太刀あやめを振り

かぶっていた。落下と同時に振り抜かれたあやめにより、岩トカゲの頭が、間

道上に落ちてきた。血を吹き出しながら首から下も間道へ落下した。十分血抜

きができたのを確認して、シロエは獲物袋に岩トカゲの頭と、身体を収納した。

その後、岩の上と間道の血を水魔法で洗浄して馬車が到着するのを待っていた。

 その岩を通り過ぎると、山手側に空地があったので、そこに馬車を入れ、昼

食休憩を取ることにする。早速シロエに獲物袋から岩トカゲを出してもらいミ

スリル鋼魔短剣で解体作業に入る。パパも同じ短剣で器用に皮をはぎ取ってい

る。ママとパパにはこの前拗ねられたので、私の4本の中から、1本づつ渡し

てある。

 「アリアナ、この短剣凄いな、岩トカゲの皮は鎧の原料になるほど硬いのに、

 この短剣だと、まるでくだものを剥くように剥ぎ取れるぞ。もう二三本作っ

 てくれたらありがたいんだが。」「解りました。そのうち作っとくわ。」と

返事しながら、岩トカゲの肉をブロック状に切り分ける。今食べる分以外を私

の闇魔法の異空間収納に保存しておく。薪を集めすぐに肉を焼きだす。皮と頭

は、買い取り部位となるので、シロエの獲物袋に戻す。次にパパがマジックア

イテムから串に刺した魚を出して焼き始める。私は異空間収納からテーブルと

イスを出し、皿を並べる。キートへの引っ越し旅のお蔭で、食事の段取りもス

ムーズになっている。肉が焼けシロエが切り分ける。焼けた魚をクロシアが皿

に置いていく。鍋ごと屋台で買い込んでいたスープを新しい皿に取り分ける。

準備完了。いつもママとポリーさんのする事を見様見真似で再現できた。

 「さあ、お昼にしよう。」パパの言葉で、クロシアが焼き魚に囓りついた。

 私はまず、岩トカゲの肉を食べてみる。「うわぁ、なにこのお肉、塩を振っ

 て焼いただけなのに、肉汁が口の中で溢れてくる。美味しい」思わず声が出

てしまった。シロエも肉から食べたみたいで、目を丸くして美味しさを堪能し

ている。あまりの美味しさに10キロ近くあった肉一ブロックは4人の胃袋に

瞬く間に収まってしまった。魚とスープも何とか食べきったので、全ての皿を

洗浄魔法で洗ってから異空間収納に納め、4人顔を見合わせる。

 「パパ、岩トカゲの生息地ってこの辺が一番多いのよね。今日はここに山小

 屋を出して野営する事にしましょう。それで、出来るだけ岩トカゲを狩って

 こようよ。最低10匹以上欲しいよね。どうかな?」「そうしよう。」全員

意見の一致で、すぐに空き地の奥に山小屋を出し、傍に馬小屋を出して馬車か

ら外して、馬たちを中に入れた。サーチで20キロ周辺を探すと、居るわ居る

わ、二三匹でチラホラ全方位にいるのが解った。大体の位置と匹数を全員に教

え4人で分散して狩ることにした。勿論、山小屋と、馬小屋には結界を張り、

だれも進入出来ないようにして、岩トカゲ狩り競争開始である。制限時間2時

間にする。 「じゃあ、皆準備できた? それじゃスタート!!」

 全員、思い思いの方向にフライで飛んで行く。私は大物が多い間道の下の方

に向かった。10分も飛ぶと、4m以上はある岩トカゲが3匹、目に入る。気

配遮断と光学迷彩透明化で姿を消し、地竜を倒したときのように背後に回り、

1匹づつ、延髄に短剣をさして狩っていく。5分で3匹を仕留めたので、すぐ

に異空間収納に納め、次を探しに飛ぶ。10匹目を仕留めたら丁度1時間が経

っていた。これ以上は乱獲になると思い山小屋に戻ることにした。


 山小屋に帰ったが、やはり誰もまだ帰っていなかった。サーチで皆の様子を

確認すると、パパがこちらに向かって飛んで来ている。シロエは丁度岩トカゲ

を仕留めたところだった。獲物袋に収納したようで、岩トカゲが消えた。どう

やらシロエも、もう帰ってくるようだ。クロシアは、まだ20キロ程北東の方

向を飛びながら獲物を探しているようだ。その方向には、もう何も居ないのに

と思いながら、山小屋の居間に入り、ソファーで寛いでいた。居間のテーブル

に昨日買った果物を少し出して、囓りながら待っていると、パパとシロエが入

ってきた。

 「どうだった?何匹仕留めたの?」と聞く。

 「パパは10匹だ。」「あたしも10匹。」と言うので、

 「何だ、みんな10匹で止めたんだ。」と私も返した。

 「クロシアはまだなの?」とシロエが聞くので、サーチで確認して、

 「今、こっちに向かって飛んで来てる。もうすぐ着くよ。」と教える。

 果物を食べながら待っていると、クロシアが入って来た。

 「何だ、皆もう帰ってたの。あたし一人飛び回ってたのかにゃ、10匹仕留

 めたんだけど、皆どうだったのにゃ?」と言う。

 「引き分けよ。全員10匹で同数でした。」と私が教える。

 一応外に出て、全員が、獲物袋から岩トカゲを出す。最初にシロエが間道沿

いで仕留めた一匹は、3m程だったが、今回4人が仕留めてきた岩トカゲは、

すべて4m以上の大物ばかりである。その中でも、クロシアの獲物の中には6

m以上の超大物があった。これは仕方がないので、大物賞として、甘魔桃3個

異空間収納から出し手渡した。シロエとパパには1個づつ敢闘賞として渡す。

まあ、欲しいといえば、後であげるんだからいいでしょ。一応岩トカゲ40匹

は、容量無制限の私の闇魔法のひとつの空間魔法の異空間収納に全部いれてお

くことにした。少し早いが、夕食の準備をしてから食事をし、今日ははやく休

むことにした。

 眠る前に、ママに釘をさされていた思念通信による報告をする。

 「ママ、今日お昼前にシロエが岩トカゲ仕留めたの。お昼に食べたらすごく

 美味しかったの、でね、旅は中断して、お昼から岩トカゲ狩りを皆でやった

 の。40匹取れたよ。」

 「ちょっと待ちなさいアリアナ、岩トカゲそんなに居たの?『ポリー、岩ト

 カゲ取れたって、食べたいよね。』よし、アリアナ今からキートの屋敷に転

 移してきなさい。岩トカゲ忘れずに持ってくるのよ。早く来て、待ってるわ」

 「へえぇ、しょうがない、ちょっと行ってくるか」私は諦めて、キートに転

 移する。ママとポリーさんが待ち構えていた。二人に庭へ連れられて20匹

 置いていけと、命令される。しょうがないので、私とパパの仕留めた20匹

 を庭に出すと、獲物袋に19匹仕舞い、1匹をすぐに解体しだした。捨て台

 詞が、「アリアナ、まだ居たの、帰っていいわよ。」とママが言えば、ポリ

 ーさんも「美味しい獲物狩ったら、また持って来てね。」だった。本当に、

 この二人は、ぐぐぐと思ったが、文句を言えば私が負けるのは火を見るより

 明らかなので、すごすご引き下がる。「じゃあ、帰るよ。」と断わって、山

 小屋に転移する。 もう寝る。

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