第3話 黄金の女神謝る
やっと、次からストーリーに入れそうです。
眠ろうと思うと、周りの映像が消えた。便利なものだなあ!
ちょっと眠ったとおもったら、99才6ヶ月の山野岩男の姿で白い廊下に立っていた。突き当たりに扉があるので、そちらに進んでいく。扉を開けて中に入ると金髪の女が土下座していた。思わず引いてしまった俺は、
「何なんですか?これは」と声を上げてしまった。その女性は徐に顔をあげて
「誠に申し訳ございません。今回の転生は、わたくしの手違いに起因しております。本来、貴方様は、寿命を全うされ、地球の輪廻転生の中で過ごされる筈でした。思わぬ事故で、身代わりに異世界転生してしまいました。ここに謹んでお詫びいたします。」
俺は驚きに口を開けて、「思わぬ事故ってなによ?」と問いかける。
「はい、本来こちらに転生して来るのは、貴方様が、橋の下で抱き留めた娘の筈でした。僅か12才で、失恋したぐらいで、自殺するような娘には、生まれて3日の寿命で十分。それでマースに蔓延るアンデッド共を浄化してしまえるなら。ところが、貴方様が彼女を抱き留め、倒れて石で頭を打って亡くなられ、彼女が生き長らえたために、自動的に貴方様が、この世界に転生されてしまったのです。」
「いやもうヨシアのおかげで死なずにすんだからいいけど、あなた誰?」
「あ! これは不調法を、わたくし、マースにおいて光と繁栄を司る黄金の女神アリアです。今回のアンデッド浄化計画は、他の神々も了承されており、よもや貴方様が、魔法制御を理解して、聖光の放出を止められるとは思っておらず、われらが介入する準備をしていました。幸いにも、ヨシアなる魔術師の介入で事なきをえた次第です。重ね重ね後手に回ってしまいました事も、併せてお詫びいたします。」
「ほう、こちらには本当に神様っているんだ。それはそうと、俺の魂の姿って、おじいちゃんじゃないか。この姿であの娘の魂って、違和感しかないんだけど。」
「魂に姿は固定されませんが? 若い頃の姿にも成れますし、貴方様が思い描く姿を形成できます。なんでしたら、わたくしの姿を使用ください。成長したあの娘は間違いなくわたくしと同じ古代人の姿になると思います。」
「いやいや、神様の姿なんて恐れ多いですよ。」
「かまいません、いえ、ぜひ使ってください。そのように設定します。それからお詫びといってはなんですが、いずれ貴方様が元の世界で愛したものたちと再会できるように取り計らいます。また、わたくしに用が発生しましたら、この鈴を鳴らして下さい。万端を排し、駆けつける所存です。」
「そんな!神様呼びつけるなんて、結構です。」断る俺の手に無理やり鈴を握らされて、自分の手が黄金の女神アリアとそっくりになっているのに、驚いていると、
「それでは、今日はこのへんでお暇いたします。気軽にお呼びください。」その言葉とともに、白い部屋も女神も消えてしまった。
「かわいいいな・・」そんな声が聞こえてきて、頬に温かい手が触れている。
「俺がお前の父 イルシャ・クミロワだ。クミロワ大公国の第5公子だったが、お前の母マリアと駆け落ちして呪樹海近くの辺境で、ハンターをしている。俺は、お前のような娘を授かったことで、俺たちの決断は間違っていなかったと、今、確信した。」
「何を、目も開いていない娘に言ってるんですか?」これは、母の声だな。
「何を言う。この娘の魔力は、我らの5倍はあるぞ。ハイエルフの倍近くだ。これだけの魔力があれば、目が見えなくても感知できるに違いない。」
ちょっと待ってよ、俺は今、魔力制御で1%以下に魔力を抑えているのに、それでも両親の5倍もあるのか?古代人てどんだけ飛びぬけてんのよ。と心の中で叫んでいた。




