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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第16話 オークキング対白銀のブリザード

 《ド・ドッカーン》

 丸太で出来た柵が、吹き飛んだ。母マリアの放ったファイアーボールが着弾

した途端、炎の爆発を引き起こした。突然の爆発音に、近くに居たオークたち

が身構える。そこに飛び込んで来た父イルシャが斬馬刀を横薙ぎにする。5匹

のオークの首が飛んだ。その右側をショートソードを持ったポリーさんが駆け

抜ける。驚き棒立ちになったオークたちの間をすり抜け首を刎ねていく。瞬く

間に10匹のオークが首を刎ねられる。更なる斬馬刀の横薙ぎが、さらに5匹

の首を刎ねる。その後方から、4個のファイアーボールが、四隅の見張り台に

飛んでいく。直径1mは有ろうファイアーボールが着弾すると、見張り台は、

そこに居たオーク共々爆散し、燃え尽きる。徐に、柵が吹き飛んだ間から、母

マリアいや、この場合 白銀のブリザードの登場である。合わせたように中央

にある大きな小屋から、敵役のボス、オークメイジ4匹、オ-クソルジャー6

匹、オークジェネラル2匹、オークキング1匹が飛び出してきた。でかい。

オークジェネラルでも2m以上はゆうにあるが、オークキングにいたっては、

3m近くある。惨状を見て、オークキングが吠える。それまで、ポリーさんと

父イルシャに翻弄されていたオークたちが、天使の刃の3人を取り囲む肉の壁

をつくる。4匹のオークメイジがポリーさんと父イルシャに魔法攻撃を放つ。

火球やウォーターボール、風の刃、土の矢が二人に襲いかかる。日本刀を抜い

た母マリアが横薙ぎに一振りすると、全ての魔法攻撃が無効化される。目を見

張る4匹のオークメイジに母の放った氷の矢が4本すごいスピードで飛んで行

く。慌てて防御障壁を張ろうとするが間に合わず、3匹のオークメイジは眉間

を貫かれ、絶命する。唯一オークキングの傍にいたオークメイジは、オークキ

ングの大剣に守られる。オークソルジャー6匹とオークジェネラル2匹は、直

ぐさま攻撃陣に飛び込んで、力で押し切ろうと声を張り上げる。突然、ポリー

さんと父が、母マリアの傍に飛び下がる。同時に母の声が響く。「ブリザード

氷結」真っ白な吹雪が、オークの群れを包み込む。5分後吹雪の晴れたそこに

は、氷漬けにされて、絶命した200匹近いオークが残されていた。ソルジャ

ーもジェネラルも関係なく、全て凍りついていた。一番遠くにいたオークキン

グだけがなんとか自力で氷を割り脱出していた。その姿を見た母が、「あら、

ちょっと押さえ過ぎたかしら?」と囁いて、右手の日本刀を振り抜く。途端に

100本近い氷の矢がオークキングに降り注ぐ。顔を驚愕にそめ、全身に氷の

矢を受けたオークキングは、そのまま絶命し仰向けに倒れた。

 周囲の木々の隙間から、ゴブリンやコボルトが様子を覗っていたが、あまり

に一方的な殲滅攻撃で、恐怖に顔を引きつらせ、一目散に逃げ帰った。

 「なんか、拍子抜けするくらい、手応えが無いわね。さあ、手分けして収納

 しちゃいましょ。」とママが言えば、「ランクBなんて、こんなものよ。」

 と、ポリーさんが答える。 「せめて、ランクAの魔物がいれば、もう少し

 戦い甲斐があるんだがな。」と父が相槌を打つ。

 面倒そうに3人は刀と剣で氷を砕きながら、獲物の収納を始めた。戦い始め

てから、30分しかたっていないのに。これが、クミロワ大公国に初めて誕生

したSランクハンターチームの実力なのだろう。


 私は、少し離れた高い木の上から、おいしいところを全て持って行く天使の

刃の戦いを、遠見魔法で見ながら、ホッペタを膨らましていた。

 「しょうがない。ママに逆らったら、後が怖いし。」

 と囁いて、東側の柵の側にある檻の馬車へ向かった。飛び降りて、中を覗く

と、あんな轟音がしても放心した儘の二人の子供の姿に驚く。さくらで檻の鉄

柵を切り裂き、中に飛び込み 「助けにきたよ。」と声をかけ、抱きおこそう

として、余りに軽く飢えで死ぬ寸前の状態なのに気がついた。

 「ひゃあ、大変だ。死んじゃだめ!」

 私は二人に聖魔法の完全治癒をかける。しばらくすると、二人の頬にうっす

ら赤みが出てきた。生命力は半分以上回復したので、一旦、治癒魔法を止め、

意識調査をしようと、それぞれの額に手のひらをあてがう。二人とも夢をみて

いた。その夢が、私自身の前世の記憶と重なった。そしてこの二人こそ、私が

前世で愛したものの転生者だと確信した。愛おしく二人を抱きしめ、檻から出

て近くの木陰にやさしくおろす。二人を揺り起こし、すぐにお腹になにかいれ

るように進める。首輪と鎖が無いことに戸惑いを見せるが、私が手のひらの上

で、首輪と鎖を土塊にして投げ捨てると、安心したように、「今はいらない。」

と答えたので、「なにか食べなきゃだめ!」と、二人に甘魔桃を一個づつ渡し、

「他の人たちを助けて来るから、ここで待っててね。」と言う。頷いてくれた

ので、すぐに柵を跳び越え、女達のいた小屋に飛び込む。犯され尽くして、ボ

ロきれの様になった3人の女が、放心した状態でそこにいた。

 「助けにきました。すぐに、鎖を外します。」といって、3人の首輪と鎖を

土塊に換え、外に引き出す。近くの柵をさくらの一振りで吹き飛ばし、そこか

ら、二人の子供のところに連れて行く。オークに見つからないかと、おろおろ

する3人に、

 「オークは全てAランクハンターチーム【天使の刃】が殲滅しました。」

と、説明すると、人族の女が

 「私の主人達が、まだどこかで捕まってると思うんですが?」

というので、生きていても助ける気は全然なかったが、目の前の柵の内側に無

造作に積み上げられた骨を指し示した。それを見て泣き崩れる人族の女をよそ

に、二人の兎人族の女達は ほっとした微笑みを浮かべた。

 「心配しなくても、クミロワ大公国では、奴隷制度は違法であり、奴隷商達

 はここでは犯罪者となります。貴方は、大公国の役人に引き渡されます。」

 と、人族の女にトドメの言葉を浴びせた。二人の獣人族の子供を、飢え死に

寸前まで虐待した奴隷商とその妻には、オークたちより怒りが湧いてくる。

 なんか気分が悪くなったので、獣人族の子供達の傍にいって、様子を覗うと、

二人とも甘魔桃を食べきっており、少し元気になったようだ。

 「もう一ついかが」と聞くと、すごくキラキラした目が帰ってきた。二人同

時に首を縦に何度もふる。すぐに、異空間収納から甘魔桃を2個出し、二人に

手渡す。ふと見ると、兎人族の二人の女がうらやましそうに甘魔桃を見ている

ので、慌てて2個取り出し、手渡す。子供達の傍に戻ると、天使の刃一行がこ

ちらに向かってきた。

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