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黄金の魔女王  作者: 釣り師
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第10話 ママ、解ってたの?

 瞼を開けると、ママの顔のアップ。心臓に良くない。

 「アリアナちゃん、どこへ行ってたの?」と、問いかけてくる。思わず、

 『パパのところ』と思念で答えてしまった。

 『フーン、心へ直接答えられたんだ。ママには初めてよね。他の人とも話ているの?』ママ何か怖いです。正直に答えるしかないと思い、

 『パパとね、生まれた時に助けてくれたヨシアという魔法使いのおじいちゃんだけだよ。』と答える。目を丸くしたママは、

 『ヨシアって、大魔導師ヨシアのこと?』と驚くが、

 『本人が言ってた。白いマントの骸骨だけど、やさしいよ。』というと、

 『ええぇぇ・・、白いマントのリッチなの?』

 『うん。』

 『その人ならママも会ってる。3年前にひとりで、ギガホーン討伐に行ったとき、その魔導師が現れて、ギガホーンの動きを止めてくれたの。そのおかげで完全氷結ブリザードで、氷漬けに出来たの。でも、すぐに消えちゃって、お礼も言ってないし、報酬も半分わたせなかったわ。アリアナ、ヨシア様に連絡とれるの?』

 『うん、思念を送ったら繋がるよ。』

 母マリアのたっての要望のため、すぐにヨシアと思念を繋げ、転移して来てもらった。本体のヨシアが現れた途端、母マリアは片膝を床につけ、

 「大魔導師ヨシア様、3年前は、ご助力いただきありがとうございました。あの時は、何も知らず、お礼のひとことも言えずに終わりましたこと、改めてお詫びもうしあげます。」

 「いやいや、白銀のブリザードのマリアさんや、もう3年も前のことはどうでもいいのじゃ。我の方こそ、とんでもない事をそなたの娘にしてしまったのじゃ。実はの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 と俺の誕生から聖光の暴走とヨシアの全知識を記憶転写した経過を説明してしまった。口をポカンと開けて放心してしまったママもかわいいな。と思っていると、急に思い当ったように、

 「では、この娘は生まれたばかりで、ヨシア様の全ての魔法がつかえるんですか?あんな強力な大魔法を?」

 「はは、我より魔力量がはるかに多いから、もっと強力なのが使い放題じゃよ。じゃが心配しなくてもよいぞ、この娘は類まれな精神力を兼ね備えておる。そなたの心配するようなことにはならんぞ。たとえ、赤子といっても、我の5000年の人生も経験として取り込んでおるからの。」

よけいなことを言う、じいさんだなと思いながら、母マリアを見ると、喜びに溢れている顔がある。母マリアにとって、大魔導師ヨシアは神と同じ崇拝する存在のようだ。そろそろ帰るというヨシアを引き留め教えを請う姿は初めて目にする母だった。

 ようやくヨシアが転移で帰っていったあと、

 「やっぱり、あなたは私の宝物ね。」と、抱きしめられ、ここ2日間の呪樹海探検隊への思念体での同行について、すべてはかされた。でも、ミルクの合間の思念体探検はお許しが出た。

 但し、2個の甘魔桃が、ワイロとして母マリアの口に入った。俺いや、私はまだ、ひとつも口にしてないのに。それから、自分のことを俺と言うのは母マリアに無期限禁止されてしまった。


 呪樹海探検隊は、大きなトラブルもなく、順調に調査を進めることが出来ている。魔物の数は、むしろニューセルム周辺の方が多く、野生動物や果物、薬草等の恵みは、非常に豊富で、もはや呪樹海ではなく、恵みの樹海である。あれほど溢れていたアンデッドの痕跡は、骨も残さず浄化されていた。元の獣人たちの故郷の集落があった場所まで10日かけて探索したが、一人の負傷もなく、むしろ多種多様な薬草や、果物を採集しながら、アウトドア生活を満喫することができた。最初の3日間くらいは、私も楽しい冒険であったが、1週間すぎると、飽きた。この12人のメンバーからいえば、問題となるような、強い魔物の存在も感知しないので、朝一回顔を見にいく程度になってしまった。

 とうとう19日目になり、帰りの河の渡河も終わって唯一の魔物の群れであるエンキラーの縄張りに近づいてきたので、また思念体を飛ばし偵察にいくと、100匹以上いたエンキラーが半分の50匹ぐらいに減っていた。200匹以上のイノシシとの戦闘は、風魔法を使うエンキラーにとっても、犠牲の大きい戦いだったようである。ブチャイクで私は嫌いな魔物であるが、敬意を表して今回は甘魔桃は採らずに探検隊に戻った。行きの行程を逆に辿り、問題なく、呪樹海を出る。

 『パパ、明日は帰ってこれるね。ママに知らせとくから。』と父イルシャに思念を届け、山小屋のベビーベッドに帰る。

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